黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「黒木瞳のあさナビ」(12月15日放送)に小説家の凪良ゆうが出演。第20回本屋大賞を受賞した著書『汝、星のごとく』について、また、最新作『星を編む』について語った。
黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「黒木瞳のあさナビ」。12月11日(月)~12月15日(金)のゲストは小説家の凪良ゆう。5日目は、最新作『星を編む』について---
黒木)11月に『星を編む』という最新刊が出ていますが、それぞれの人生がリアルなのですよね。
凪良)リアルさが命だなと思いました。『汝、星のごとく』と『星を編む』は、どちらもあらすじだけをかいつまむと、よくある話なのですよね。「ありふれた」という言い方でもおかしくない。それを読んでいただくには、人物1人ひとりのリアルさや2人の息遣いをどこまで感じてもらえるかが勝負だと思っていたので、その辺りに気を付けながら書きました。
黒木)最初のプロットには少しミステリー要素もあったけれど、坂元裕二さんが脚本をお書きになった映画『花束みたいな恋をした』のような、普通の恋愛小説を書いてみようというお気持ちがあったそうですね。
凪良)最初はとても怖かったです。こんな変哲もない話を誰が楽しく読んでくれるのだろうと。読者の方が楽しんでくれるようなミステリー的な設定も考えてはいたのですが、最終的には、担当編集者さんから「この話は余計な仕掛けをする話ではない。直球で勝負しましょう」と言ってもらって、やっと心が決まりました。でも、書いている間もすごく不安でしたね。
黒木)櫂(かい)が病気になったとき、お母さんが見舞いに行けない場面がありますよね。ああいう淡々としたところ、普通なところにすごくリアリティがあると思いました。凪良さんの小説には「自分は自分の人生を歩く」という考え方が根本にありますからね。
凪良)そうですね。その人なりの人生を全うしていけば、それは誰にも文句を言われるものではないと思っているので。「どこまで自分を生きていけるのか」が大事なのかなと常に思っています。
黒木)それがたとえ正しい道ではなかったとしても、その人の人生をその人が生きるのだと。
凪良)作中にもあるのですが、他人は誰も責任を取ってくれないので、最後は自分の判断で生きていくのがいいだろうと思っています。
黒木)本当ですね。とても共感します。本のなかで、暁海(あきみ)が手を施したウエディングドレスが出てきますよね。あそこは泣きました。何だろうな、あれは……。暁海の人生全部がウエディングドレスに詰まっていたのかな。
凪良)あそこを暁海の気持ちで読んでくださったのですかね? また少し違う?
黒木)うーん。でも、やはり北原先生のことも気になります。
凪良)そうですね。北原先生の気持ちだとあそこは泣いていますね。
黒木)では北原先生になっていたのかな。だって北原先生の人生は本当にすごいですもの、あの方。
凪良)そうですね。なかなか。
黒木)あんな人がいたら本当にすごい。神ですね。
凪良)でも、神が神になるまでには、やはり彼なりの葛藤があったというところを描けたのはよかったです。
黒木)そうですね。本当に素晴らしい文章、美しい文章で書かれた2冊の小説『汝、星のごとく』と『星を編む』。2冊続けてお読みになると読書の楽しみが出てくると思いますし、お正月休みにもいいですしね。
凪良)2冊ゆっくりと楽しんでいただけたら嬉しいです。
黒木)クリスマスプレゼントでもいいのではないですか?
凪良)『汝、星のごとく』と『星を編む』の2冊を包むことができるラッピングペーパーもあります。
黒木)本好きの女性に、あるいは男性に。それぞれの人生ですから。女性でも男性でも。
凪良)プレゼントして欲しいですね。
凪良ゆう(なぎら・ゆう)/小説家
■2007年、『花嫁はマリッジブルー』で著書デビュー。
■2014年、『美しい彼』を刊行。2021年には連続ドラマにもなった人気シリーズ。
■2017年、BL作品ではない『神さまのビオトープ』が非BL作品として高い評価を受ける。
■2019年に『流浪の月』と『わたしの美しい庭』を刊行。2020年には『流浪の月』で第17回本屋大賞を受賞。2022年には実写映画化。2020年刊行の『滅びの前のシャングリラ』で2年連続で本屋大賞にノミネート。2023年、『汝、星のごとく』で第20回本屋大賞受賞。直木賞候補となった。
■2023年11月、『汝、星のごとく』の続編となる最新作『星を編む』を刊行。
番組情報
毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳