テレビ東京・解説委員の山川龍雄が1月24日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。能登半島地震の被災者への「生活と生業支援のためのパッケージ」について解説した。

【能登半島地震】地区の集会所で避難生活を送るお年寄り＝2024年1月21日午後、石川県珠洲市（鴨川一也撮影）　写真提供：産経新聞社

能登半島地震の被災者支援パッケージの全容判明

政府が1月25日にも取りまとめる予定の、能登半島地震の被災者への「生活と生業支援のためのパッケージ」の全容が判明した。政府のパッケージには「緊急対応策」として、生活の再建、生業の再建、災害復旧等の3つの柱が示された。

飯田）生活だけでなく、「経済の部分も回さなければ生活がままならない」という指摘もあるようです。元日に地震が起きたので驚きましたね。

山川）自衛隊の方にも聞きましたが、元日だったので休んでいる方が多かったようです。また、石川県辺りは陸上自衛隊が手薄になっている地域でもあります。私は熊本出身なのですが、熊本地震で2回目に揺れたときには親元にいたため、自分も被災しました。

先々の見通しを早めに示すことが大事

山川）熊本には大きな陸上自衛隊の基地があるので、指揮命令系統がはっきりしていて行動も早かったのですが、今回は地形の問題もあり、自衛隊の派遣が難しいという話もあります。

飯田）そうですね。

山川）今回のパッケージに関して言うと、毎年のように災害が起きているので、言い方が難しいのですが、少し慣れてきた部分があるのかも知れません。目の前の生活支援から先々の支援まで、「パッケージで全部見せることができている」と感じます。被災者も人それぞれなので、だいぶ先のことを心配する方もおられるため、早めに見通しを示すことが大事だと思います。

飯田）岸田総理も自分のX（旧Twitter）などで、積極的に発信しています。

被災した地域はインフラも進む。熊本のような例もあるので悲観しないで欲しい

山川）あの地域も半導体関連や精密部品などの工場があります。被災すると「地震が多いので企業が逃げてしまうのではないか」などと心配されますが、いまの熊本を見てください。TSMCの効果がとても大きい。（熊本地震は）実際のところ大変だったのですが、むしろインフラ整備がすごく進み、駅も空港もきれいになって、道路も整備されました。ですから先々、被災した地域はいろいろなインフラも進みますし、熊本のような結果もあるので、あまり悲観せずに見ていただきたいと思います。

飯田）熊本地震のときはソニーの工場も破損しましたが、いまや……。

山川）ソニーは増産しています。

飯田）東日本大震災の被災地の自治体に話を聞くと、大変だったけれども予算がついたので、「千載一遇のチャンスだと思って頑張った」と言っていました。三陸道も全通しましたし。

山川）先々のことも見据えながら、いろいろ考えていただければと思います。

熊本地震、東日本大震災と違うのは季節が冬であること

山川）今回は季節が気になります。これからいちばん寒くなる時期なので。水道の復旧まで含めると、集団避難など、数ヵ月だけ他の地域で待機することなども考えなければなりません。熊本地震は4月で、東日本大震災は3月でしたので、それに比べると季節的な部分の打撃があります。そこは考えた方がいいと思います。

飯田）県や国が2次避難を促進するのは、季節的な要因が大きいのでしょうか？

山川）故郷から離れたくないという心情はわかります。ただ、今回は特に水の問題もあるので、寒い間をしのぐためにも一旦集団避難する方向で、積極的に周りが環境を整えてもいいのではないでしょうか。

飯田）2次避難先でのマッチングのために、県が1.5次避難所を開設しています。そこへ杉良太郎さんが炊き出しに行った。

山川）あの方はいつも素晴らしいですよね。

飯田）勘所を本当に掴んできますね。

山川）私も取材しますが、偏在の問題があります。我々メディアの自戒を込めて言えば、テレビの報道は映像的に激しいところに集中しますが、そういうところは意外に物資もお金も集まるのです。むしろ他の地域をケアする必要があると思います。