不起訴になった「安倍派幹部7人」が政倫審で説明することで幕引きか

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ジャーナリストの須田慎一郎が2月5日、ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」に出演。自民党派閥の政治資金規正法違反事件を受け、自民党が関係議員の出席に応じる方向で検討に入った政治倫理審査会について解説した。

家宅捜索を受けた自民党安倍派(清和政策研究会)の事務所が入る建物から出る証拠品を積んだとみられるワゴン車=2023年12月19日午後2時54分、東京都千代田区 写真提供:共同通信社

家宅捜索を受けた自民党安倍派(清和政策研究会)の事務所が入る建物から出る証拠品を積んだとみられるワゴン車=2023年12月19日午後2時54分、東京都千代田区 写真提供:共同通信社

自民党派閥の政治資金規正法違反事件、自民党が関係議員の政治倫理審査会への出席を検討

自民党は2月4日、派閥の政治資金規正法違反事件を受け、野党が求める関係議員の政治倫理審査会への出席について応じる方向で検討に入った。自民党の浜田国対委員長は4日のNHKの番組で「審査会を使って真摯に説明責任を果たしていければと考えている」と話した。

新行)国会の政治倫理審査会は政治倫理の確立のため、議員が行為規範やその他の法令の規定に著しく違反し、政治的道義的に責任があるかどうかを審査して、適当な勧告を行う機関です。野党側は今回の事件で関係議員の出席を求めていました。

自民党内で安倍派議員から聴取

須田)「政治資金規正法違反事件」と長い名前がついていますが、一言で言えば裏金事件です。この幕引きをどう図るのか。捜査としては、最終的に東京地検特捜部・検察が判断したように、注目されていた安倍派の7人の国会議員……「5人衆」に加えて塩谷座長、そして下村博文・元共同代表。この7人は不起訴処分になりました。

新行)そうですね。

須田)のちに検察審査会に送られることにはなりますが、事件の捜査としてはほぼ幕引きです。政治的にはどう決着をつけるのかという話ですが、現在、自民党のなかでは森山裕総務会長を座長とする体制で調査チームを編成し、聞き取り調査を行っている最中です。

政治倫理審査会での説明責任と裏金議員の金額ランキングリストの提出が野党の要求

須田)野党が求めていることは2つあります。まずは野党からの質問を受けて、きちんと説明することです。その説明責任を果たす場が、政治倫理審査会での答弁になります。ただ、全員がその場に出てくると膨大な時間になるので、もう1つの要求、裏金があった議員のリストをつくって「誰にいくらの裏金の還流があったのか提出しなさい」と。現在はこの2つの要求を突きつけている状況です。

新行)なるほど。

須田)自民党としては、どこに着地させるのか。一時期、茂木幹事長が暴走して「安倍派の幹部は離党しろ」という話もありましたが、「それでは党内が持たない、やりすぎだろう」と批判する声があり、茂木さんはその任には当たらない方向になりました。代わりに、自民党の議員のなかでも信頼がおける森山総務会長がチームのトップについて聞き取り調査を行い、決着に向け進めています。自民党的なけじめのつけ方としては、「1年間の役職就任停止」が着地点なのかなと思います。野党が納得する形だと、やはり政倫審になると思います。ここに誰が出てくるのかと言うと、少なくとも検察が不起訴という判断を下した7人が出てくるのが最低ラインだと思います。

不起訴になった安倍派幹部7人が政倫審の場で説明することで幕引きか

新行)実際はどうなのでしょうか?

須田)その辺りの政治決着については、与野党の国会対策委員会が進めているのだと思います。野党・立憲民主党の安住国対委員長と森山総務会長は、非常に強い信頼関係があるのです。前国対委員長・高木毅さんは、5人衆のうちの1人で安倍派の幹部ですが、この方に対して安住さんは「高木さんは相手にしない。私が相手にするのは森山さんだけだ」と言うほどの信頼関係です。

新行)そうなのですね。

須田)つまり党内での決着のつけ方と、国会での決着のつけ方が連動しているのです。その辺りのバランスを取りながら、森山さんが安住さんと水面下で交渉し、どこで決着を図っていくのか。不起訴になった7人に政倫審の場で説明してもらうことが、1つの幕引きのポイントだと思います。

献金の金額で線引きをするべき

新行)連座制を導入するのか、あるいは政治資金パーティー自体を何とかするのか。

須田)政治資金パーティーについては、自民党内でも「派閥が主催する政治資金パーティーは禁止」という方針ですから、政治資金パーティー自体も禁止されていくでしょう。しかし、また抜け穴を探していくかも知れません。「企業・団体献金は禁止」という流れがあり、その抜け穴として政治資金パーティーが使われているわけです。

新行)献金禁止の抜け穴として。

須田)政治資金パーティーを「やる・やらない」ではなく、「企業・団体献金をどうするのか」を考え、抜け穴をすべて塞がなければダメだと思います。企業・団体献金を禁止するのはいいですが、5万円や10万円程度の企業・団体献金では、そこに対して便宜を図ることはありません。つまり、問題は金額なのです。個人でも1億円出したとなれば、その個人に対して便宜を図るようになりますよね。ですから金額で線引きすべきです。あとは企業・団体献金だろうが個人だろうが、「どうぞ」という形にすればいい。それで不都合が起こるかどうかだと思います。

新行)各党、政治資金規正法の改正をどうするのかなど、いろいろな部分が出ていると思います。例えば政策活動費をどう使うか「明確に(金額を)出した方がいいのではないか」という意見と、「そこまでは」という意見がありますよね。

須田)政治的な意図があると思います。政策活動費を「1円単位に至るまですべて透明化しろ」というのが立憲民主党の主張です。今回の件だと、神戸学院大学の上脇教授が裏金問題について刑事告発していますが、上脇さんは専ら与党・自民党の政治資金収支報告書を徹底的に分析し、何か問題があるとすぐ刑事告発する方です。上脇さんが行うことの善し悪しはさておき、共産党と連携しているので、この動きは与党に限った話なのです。立憲民主党などの方向には向かないという状況にあり、ましてや共産党の方にはまったく向かない。「1円まで全部出せ」という主張や、共産党が要求するように「ネット上ですべて公表しろ」という意見がいいのかどうか。それを考えなければいけないと思います。

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