幼少期を神戸、大阪で暮らし、日本企業にも勤務経験のある、ウクライナの首都キーウ(キエフ)在住の会社経営者、ボグダン・パルホメンコ氏が3月25日、ニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。「停戦に際し、ロシアが実効支配する地域の取り戻しを巡っては、男女間で考え方に差がある」と現地から伝えた。
現地時間21日、ロシア軍がウクライナの首都キーウ(キエフ)に対し、約1カ月半ぶりとなる大規模なミサイル攻撃を行った。ウクライナ空軍はロシア軍が発射した31発のミサイル全てを撃墜し、死者は出ていないものの、落下した破片などにより十数人の市民が負傷している。メディアの報道はモスクワ郊外のコンサートホールで発生した銃乱射事件が大きな割合を占める状況だが、大規模ミサイル攻撃を受けたキーウの今はどんな状況なのか-。
辛坊)ロシアはウクライナの領土の約2割を実効支配しており、この地域を手放すとは考えにくいです。こうした状況の中、約2割の領土を取り戻すことなく、ロシアに“割譲”したまま停戦せざるを得ないと考えるウクライナ国民は、どれほどいるのでしょうか。
ボグダン)まだまだ少ないと思います。多くても全国民の4割ほどではないでしょうか。
辛坊)それでも、そんなに多いですか。
ボグダン)それぐらいに増えてきました。ただ停戦に際し、ロシアが実効支配する地域の取り戻しを巡っては、男女間で考え方に差があります。男性だけで見ると、おそらく7割ほどは約2割の領土をロシアに残したまま停戦しようという意見になるはずです。これは、男女間で徴兵を巡る危機感の違いがあるからです。ウクライナでは男性は徴兵逃れを防ぐため、原則的に出国できません。一方、原則的に徴兵されない女性は比較的容易に出国できます。
ですから女性の場合、ロシからの攻撃を避けるため、例えばポーランドへ逃げることができます。また、世界各国にはウクライナからの避難民を支援するプログラムが少なくなってきたとはいえ、まだありますから、住居や毎月の生活費の面倒をある程度みてもらうこともできます。そうなるとウクライナに残る必要はなくなり、危機感が薄くなってしまうんです。そうした環境下で、停戦についてわざわざ考える必要はなくなります。
一方、男性は明日には前線へ行かされ、死ぬかもしれない危機感があります。また、仲間が次々に戦死しています。こうした中、停戦するかしないか、領土をどうするかを選択すると、「戦争はもう2年も続いているし、このまま戦争は終わらないかもしれない」という思いになり、「そろそろ戦争はやめてほしい」と考える男性は多いです。
番組情報
辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)