キャスターの辛坊治郎が3月25日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。自民党の二階俊博元幹事長(85)=衆院和歌山3区=が同日、次期衆院選に立候補しない意向を表明したことを巡り、「本来は“ウハウハ”になるはずだった人物が微妙に……」と解説した。
派閥の政治資金パーティーを巡る問題で、岸田文雄首相が安倍派(清和政策研究会)の塩谷立元文部科学相、西村康稔前経済産業相、世耕弘成前参院幹事長、下村博文元文部科学相の4人に対する聞き込みを行い、その結果を踏まえて「選挙における非公認」以上の処分を科す意向が報じられている。こうした中、二階俊博元幹事長が会見を開き、次期衆院選に立候補しない意向を表明した。二階氏の議員引退表明は安倍派の処分に影響する可能性がある。
辛坊)当選13回を数える自民党の二階俊博元幹事長が議員を引退するとなると、次期衆院選の候補者をどうするのかという問題になります。二階氏は衆院和歌山3区選出ですが、後継候補は微妙なことになります。
自民党の世耕弘成前参院幹事長は和歌山県選出の参院議員です。ただし、長く国会議員を務めていても、参院議員では首相にはなれません。首相の地位を目指すなら衆院議員にくら替えしなければならないという思いが、世耕氏にはあります。先例では、同じ自民党の林芳正官房長官がいます。もともと山口県選出の参院議員だった林氏は、衆院議員にくら替えし、現在の官房長官の地位にたどり着きました。首相の地位も目指しているでしょう。
世耕氏も派閥の政治資金パーティーを巡るスキャンダルがなければ、間違いなく次期衆院選では参院議員からくら替えして立候補するところだったはずです。問題は、参院議員から衆院議員にくら替え立候補するときに、どこの選挙区から立候補するかです。
今回、和歌山3区選出の二階氏が議員引退を表明しました。和歌山3区は次期衆院選では新和歌山2区となります。もし二階氏が議員を引退しなければ、この新和歌山2区から立候補してくるはずでした。では、世耕氏がどうするかというと、和歌山3区がもともとの地盤であることから、新和歌山2区から立候補しようとしているとみられます。ですから、二階氏が議員を引退しなければ、世耕氏とガチンコの戦いになる可能性がありました。
それが、ここにきて二階氏の議員引退表明です。世耕さんとしては、本来なら“ウハウハ”だったはずです。ところが、スキャンダルの中心人物の1人になってしまいました。そんな立場で、首相の地位を目指して参院議員から衆院議員にくら替え立候補をするのかと、かなり微妙な情勢なっています。
一方、議員引退を表明した二階氏が、後継者を立てるかどうかという問題もあります。二階氏には後継者になり得るお子さんがいます。いわゆる世襲です。実際に二階氏のお子さんが新和歌山2区に立候補した場合、世耕氏はそれでもくら替え立候補を目指すのか-。
なおかつ、世耕氏はスキャンダルによって、次期衆院選で自民党の公認がもらえないかもしれないという情勢になりつつあります。おそらく、世耕氏は自民党の公認がもらえなくても、参院選なら楽々、当選できるでしょう。衆院選でも有力な対抗馬がいなければ、新和歌山2区に鞍替え立候補しても、まず当選するだろうというぐらいの勢いが地元ではあります。ですから、二階氏の世襲候補とガチンコの戦いになると、かなり面白いことになりそうです。
二階氏は今のところ、後継者について明言していません。政治家が明言しないときというのは、周囲が邪推も含めて「こういうふうにするのではないか?」と思っていることが、本人にもあるときです。本人が言いたくないときに何も言わないというのが、政治家が明言しない大方のパターンです。
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辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)