ロシアの外交・安全保障戦略が専門の笹川平和財団主任研究員、畔蒜泰助(あびる・たいすけ)氏が3月26日、ニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。ウクライナへの侵攻を続ける一方、首都モスクワでイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)による銃乱射テロを許したプーチン政権の今後について、「ウクライナ戦争は主要なアジェンダ(行動計画)であり続ける」と解説した。
22日(日本時間23日)、ロシアの首都モスクワのコンサートホールで複数の人物が銃を乱射したテロ事件が発生した。ロシア連邦捜査委員会はこれまでに137人が死亡したと発表、182人が病院に運ばれ手当てを受けているとしている。容疑者として拘束した11人のうち、実行犯とされる4人についてはテロに関与した罪で起訴した。
畔蒜)今回のテロはISの犯行ではありますが、ロシアのプーチン大統領はテロの実行には注文者がいると唱えています。明確な証拠は示していませんが、その注文者はウクライナであり、西側諸国である可能性を政府の会議で示唆していて、クレムリン(ロシア大統領府)のウェブサイトでも公開しています。こうしたことから、プーチン大統領は今回のテロをまず国内のダメージコントロールに使うでしょう。
今回のテロは、明らかにプーチン大統領の失策です。そういう意味では、プーチン政権にとって今回のテロはISにやられたことにするよりも、より強大なアメリカにやられたことにするほうがダメージは小さいです。全てをウクライナ戦争という文脈で国民に説明すれば、ある程度のダメージコントロールができるからです。そう考えると、ウクライナ戦争はプーチン大統領としては引くことはできません。ですから、ウクライナ戦争はプーチン政権の主要なアジェンダ(行動計画)であり続けると思います。
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[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)