大阪・関西万博「いのち輝く未来社会のデザイン」とはなんだったのか? 184日間の歩みを振り返る

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ニッポン放送アナウンサーの熊谷実帆です。2025年4月13日~10月13日まで184日間に渡って開催された大阪・関西万博。約2,500万人以上の人が来場し、大盛況で幕を閉じました。

今回の万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。それは、一体何だったのか、私の目線から考えてみました。

EXPOオブジェの前での一枚

EXPOオブジェの前での一枚

開幕日は雨模様。朝9時に入場すると、公式キャラクターのミャクミャクが「いらっしゃいませ」と迎えてくれ、記念写真を撮影。大屋根リングの迫力に圧倒されたのも束の間、4月とは思えない寒さと強い雨風に、多くの来場者が屋根の下で雨宿りをしていました。私も震える手でマイクを握り、中継を行ったことを今でも鮮明に覚えています。

そんな寒さの中で最初に飛び込んだのが、サウジアラビアパビリオンでした。「サウジの石」で造られた真っ白な外壁。その周りには現地から運んだというたくさんの植物たち。中に足を踏み入れるとスーク(市場)の街並みを再現した精巧な空間。中では、現地さながらの雰囲気でお土産が買えて、“トーブ”に身を包んだスタッフが、現地でしか味わえないようなコーヒーを黄金のポットで振る舞ってくれました。普段飲むコーヒーとは一味も二味も違い、とても新鮮で印象的でした。

サウジアラビアパビリオンでのコーヒーを堪能

サウジアラビアパビリオンでのコーヒーを堪能

ひとつのパビリオンにこれほどのこだわりが詰まっていることに驚き、158の国と地域が集う万博への期待が一気に高まりました。実際に訪れた方の多くも、同じような感動を覚えたのではないでしょうか。それぞれのパビリオンのもてなしと工夫に感銘を受け、もっとほかのパビリオンも見たい! と何度も足を運んだ人も少なくなかったと思います。

異国の文化に触れ、実際に体験する。そんな万博ならではの体験を通して、それまで遠く感じていた国々がぐっと身近に感じられました。今、世界では戦争や紛争が絶えません。しかし、大屋根リングの下では、世界は「多様でありながら、ひとつ」であることを感じられました。国境を越えて文化を尊重し合える時間は、今の時代において特に貴重な時間だったと思います。

それだけではありません。大阪ヘルスケアパビリオンでは25年後の自分と向き合い、日本館では藻類の可能性や、生ごみがエネルギーに循環する仕組みを実感できました。空飛ぶクルマに乗った時の振動も体感できました。

開幕前は「デジタル社会の今、手元のスマートフォンにあらゆる情報が詰まっている」と言われていましたが、私たちの可能性を“体験”できるのは万博だけでした。万博を通じて、未来にワクワクする気持ちを取り戻せたように思います。

空飛ぶクルマシアターを体験する来場者

空飛ぶクルマシアターを体験する来場者

「いのち輝く未来社会のデザイン」とは何だったのか――

その答えは、人々の「いのち」そのものが、いきいきと輝いていた“あの景色”だったと思います。老若男女問わず、目を輝かせて会場を巡る姿。そこには確かに、「いのち」の輝きがありました。万博で得た学びや感動を、これからどう未来社会に活かしていくのか。万博に関わったすべての人たちの想いを胸に、万博で得た知見を日々の生活に少しずつ取り入れていけたらと願っています。

閉幕の日。最初に訪れたサウジアラビアパビリオンの植物たちは、より青々と葉を茂らせ、生き生きと輝いていました。それはまるで、この半年間の万博の歩みと、人々の「いのちの輝き」を象徴するような光景でした。

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