プロのコーチが本職にできるようなサポートや支援も必要-峰村史世リオパラリンピック水泳日本代表監督インタビュー

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ニッポンチャレンジドアスリート・峰村史世(リオパラリンピック水泳日本代表監督インタビュー(4)】

このコーナーは毎回ひとりの障がい者アスリート、チャレンジドアスリート、および障がい者アスリートを支える方にスポットをあて、スポーツに対する取り組み、苦労、喜びなどを語ります。

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 峰村史世(みねむらふみよ)
群馬県出身。1997年に青年海外協力隊員としてマレーシアに派遣され、現地で水泳を指導。2004年、アテネパラリンピックではマレーシア代表のコーチを務めた。帰国後、パラリンピック水泳日本代表のコーチに就任。現在は代表監督を務める一方、自身のクラブチームMinemura Para Swim Squad を結成し、パラリンピックを目指す選手たちへの指導も行っている。

 

-練習場所の確保も障がい者スポーツにとっては悩ましい問題だ。健常者の選手が使う施設を障がい者アスリートも一緒に使えるようになるのが理想的だが、その点について峰村はマレーシアが進んでいたという。
峰村 2004年のアテネ大会の時でも、私とパラリンピックに出場した3選手はマレーシアのナショナルトレセンに入りまして、4か月ほど集中したトレーニングをさせてもらうことができました。
日本と比べると規模も違い1つのプールを利用するのに人数が少ないため、条件的にはできるということもあるんでしょうけど、その時ですらマレーシアはオリンピック・パラリンピックの垣根が無く、日本ははるかに進んでいたと思います。

-最近は日本でもオリンピック日本代表が使っているナショナルトレーニングセンターをパラリンピック代表選手も普段の練習で使えるようになったり状況は改善されつつあるようだ。
峰村 JISS(国立スポーツ科学センター)のプールを利用させていただいてる時も、日本代表のトップ選手がいる隣で、我々が練習する環境は増えてきています。
ナショナルトレセン以外のところで考えると、例えばスイミングスクールだと多くの教室があり人もたくさんいて、午前中や昼の空いている時間で『できる限りどうぞ』ということで、門を開いているところも増えてきています。
少しづつ環境は前に進んでいます。

-いよいよリオパラリンピックまで5カ月後。日本の出場枠は男子が12、女子が7となり、代表メンバーも発表された。現在の日本代表の状況、そして目標とするメダルの数は?
峰村
 リオでメダルを目指す選手については順調な強化ができていると思っています。前回のロンドン大会では、水泳でメダルを8つとりましたが、それを超えるメダル数を目指したいですね。

-峰村にリオでキーマンになる選手を聞いてみた。
峰村 まずは、去年の世界選手権で優勝した木村敬一選手ですね。さらに、去年の世界選手権でメダルをとり、枠取りに貢献した鈴木孝幸選手や山田拓朗選手、田中康大選手。昨年の世界選手権での活躍をそのままステップアップして、リオでの活躍につなげていきたい選手です。
女子は、みなさんご存じの成田真由美選手。大ベテランで復活してそれなりの(レベルに)なると私も思っていたんですが、まさか、あそこまで上げてくるというのは本当に脱帽です。

-峰村にはコーチ生活の支えになっている大好きな曲がある。
峰村 遠征にいくときも車の運転するときも聞くのは、プリンセスプリンセスのstay there という曲です。自分が落ち着ける、一呼吸おいてさぁ頑張ろうという時に、聞きたくなる曲です。

-プリンセスプリンセスは東日本大震災の被災地復興のため、期間限定で再結成。復活ライブを行った。
峰村 2012年、復活したあのときはチケットが予約と同時に購入してラッキーにもいくことができて、久々にはしゃいでいきました。

-峰村は現在、日本代表の監督とは別に「Minemura Para Swim Squad」というクラブチームを結成。パラリンピックで3大会連続メダルを獲得した鈴木孝幸選手や将来代表を目指す選手たちを指導し、プロのコーチとして活動している。このクラブを結成した理由は?
峰村
 一番の理由は鈴木選手を長い間指導をしてきて、鈴木を目標にする若い選手や鈴木を見てパラリンピックに出たいと思う選手が増えてきて、ぜひ指導をしてほしいという声が上がってきたので、
チーム結成に至りました。
基本的には選手からの指導料を頂く事で、お互い責任をもってやるという形です。

-日本で初めて、障がい者アスリートを専門に指導する、プロのコーチになった峰村さん。代表を強化するために指導者の育成は欠かせないが、日本の障がい者スポーツの指導者は、ほとんどがボランティア。峰村さんに改善策を聞いてみた。
峰村 障がい者スポーツの指導員とかその資格制度というのが広がりを見せていて、興味を持って関わる人はたくさん増えています。
ですが、例えば水泳でいうと、障がい者に教えるときに『障がいのことがよくわからない。できるならやりたいんだけど』と言うんです。
あとは『障がい者スポーツ指導員の資格を取っても、なかなかそれを生かす機会がない』という声もあります。
多分、指導者の普及と育成というのは、選手強化と同じくらい急務ですし、今もなお、ほとんどがボランティアで成り立っている、ということを考えると、やはりプロのコーチが本職にできるようなサポートや支援も、もう少し具体的にできるようになってくると助かりますね。

(4月4日~8日放送分より)

ニッポンチャレンジドアスリート
ニッポン放送 毎週月曜~金曜 13:42~放送中
(月曜~木曜は「土屋礼央 レオなるど」内、金曜は「金曜ブラボー。」内)
番組ホームページでは、今回のインタビューの模様を音声でお聴き頂けます。

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