写真提供:時事通信フォト
4年に1度のビッグイベント欧州(ヨーロッパ)選手権。
今年はフランスで開催され、きのう10日の決勝は、地元フランスとポルトガルが対戦。0-0のまま延長へもつれ込む死闘を演じ、延長後半ポルトガルが1点をあげて初優勝しました。
そこで今日はそのポルトガル代表のクリスティアーノ・ロナウドのお話。
背番号7のカリスマプレーヤーに悲劇が訪れたのは前半7分です。
フランスのパイェに左ひざを蹴られ、じん帯を損傷。応急処置を施してピッチへ戻りましたが、激痛が走り、思うように走れない。
前半24分、自らベンチへ交代を促すサインを送り、涙を流しながら退場。
そのシーンをみて、ディフェンスのペペが、ピッチ内の選手へ「これからはチームのために戦う時間ではない。クリスティアーノのために戦い、そして勝つ。」と大声でゲキを飛ばしたのです。
ポルトガルはこれまでタイトルを獲得したことはありません。
大会前、イギリスのブックメーカーが示したオッズでは、1番人気がフランスの4倍、2番人気のドイツ、4.5倍と続いて、ポルトガルは21倍で7番人気のダークホース。
とはいえ、ロナウドが、主将としてチームをまとめグループリーグから、ジワリジワリとチームを熟成させていきました。
これまでは鮮やかな個人技ばかりで知られていますが、どうしてどうして、31歳のベテランになり、他の選手のプラスアルファを引き出すまでに成長していたのです。
18歳でA代表デビューを飾り、翌19歳で迎えた04年の欧州選手権は、ポルトガルで開催。決勝までコマを進めたものの、ギリシアの堅い守りの前に0-1で敗れ、ロナウドが大泣きするシーンが映し出されたのです。以来、ユーロ出場は4度目。年齢的に、次はないかもしれないという決意がロナウドを闘将に変えたといえるでしょう。
交代すると、ロッカールームに戻って治療を受け、左ひざを懸命にアイシング。
痛みをこらえながら、ハーフタイムに選手が引き上げてくると「おれは、みんなと一緒に戦う!」と鼓舞した。
さらに、90分間で決着が付かず、前後半各15分の延長戦へ突入すると、再び、ベンチへ姿を現した。
それだけではありません。試合中も、監督、コーチ、通訳以外は立ち入りが禁止されているはずの、テクニカルエリアで指示を。
通常なら、主審からベンチへ戻れと注意を受けるのが当然ですが、あまりの気迫、それから相手のフランスもケガをさせた手前、何もいえなかったようです。
余談ですが、素晴らしいのは、テクニックだけではありません。
イケメンに加え、ほれぼれする肉体美は週3回12種類の筋力トレーニングと、1日6回の食事でつくりあげたもの。
タバコはもちろん、お酒も飲まない。お父さんが、アルコール依存症が要因で、早逝したからです。
サッカー選手はタトゥーを入れるのがトレンドにもかかわらず「それでは献血をすることができない。」欧州ではタトゥーを入れていると、献血がNGになるとか。ロナウドは社会貢献に熱心な一面ももっています。
そんなロナウド、途中退場になりましたが、ポルトガルはヨーロッパ選手権で念願の優勝を遂げることが出来ました。ヨーロッパは大騒ぎだそうです。
(原文)青木政司
7月12日(火) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」