写真提供:産経新聞社
世界最速のボルトが、陸上男子100mで五輪史上初の3連覇を達成。
それにしても強い。
2017年の世界選手権を最後に引退表明しており、いわばオリンピックでは今大会がラストラン。
「1度勝つなら誰でもできる。勝ち続けることが難しい。(100mのタイムは)それほど速くはなかったけど、勝つといっただろう。」
と満足そうに話していました。
2011年の世界選手権、スタートでフライングを犯して失格となった以外は、8年間の公式戦で負けなし。
最大のライバル、米国のガトリンは「ジャマイカの選考会も出てこない選手に負けるわけにはいかない。」と言い、決勝前には「特別な作戦がある」レースを観戦すれば一目瞭然のように、ロケットスタートを決め、逃げ切りを図ることでした。
経験豊富なベテランの渾身の走りも、ボルトには歯が立たない。それだけに、「後悔はない」と勝者をたたえています。
今大会のボルトは、関係者が一様に「負けるのなら100m」と解説。
左太もも裏の故障が長引いていたからです。
何しろ、五輪選考会を兼ねた7月のジャマイカ選手権を棄権。
レースの上位3人が代表切符を手中にすることが当然でしたが、実績ある選手の救済というウルトラCで、3度目の五輪へ。
なぜ、速いかといえば、やはりストライドの差でしょうか。足幅は身長程度といわれているものの、ボルトは自身の1m96cmを超える2m75cmものストライドを生み出してしまう。
また、身長の高い選手はスタートに難がありますが、これまた幼少時から体幹を鍛えることで技術を磨いてきました。
「子どもの頃から、たくさんの犠牲を払ってきた。いつもトラックで過ごし、夜遊びなんてしたことがない。好きなファストフーズだってしばらく食べてはいない。すべては世界一になるためだから。」
世界一でありつづけることは、どんなことをもたらすのでしょう。やはり、オリンピック最大のスーパースターは、収入もケタ違い。
レースでは賞金など約2億7000万円を稼ぐだけですが、スポンサー収入だけで、軽く30億円を超えてしまいます。
それも、世界最速だからこそ。
一方で、ジャマイカの子どもたちのために基金を作って、就学率が10パーセントに満たない現状を「20パーセントに伸ばす」と走り続けています。
そうはいっても、母のジェニファーさんは
「子どもたちのために走ることは、もういい。私に孫をプレゼントしてほしい。早く結婚を…。息子が走る姿を見るだけで涙が止まらなくなる。」
と言っています。
ボルトも8月21日で満30歳に。
今大会が五輪最後ということで、残るレースは200m、400mリレーの2種目に出場します。
とりわけ、日本時間のきょう16日から予選がスタートする200mは気合満々。
2009年にマークした自身の世界記録19秒19をはるかに上回ることがターゲットです。
「19秒台のカベを破る」ことが大目標。
ボルトがよくあげる3大ヒーローは、サッカーのペレ、ボクシングのモハメド・アリ、バスケットボールのマイケル・ジョーダンですが、3大会連続の3冠達成で「肩を並べることができる」とボルテージが上がっています。
8月16日(火) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」