北京五輪、ロンドン五輪、リオ五輪、3つの大会で陸上短距離選手を指導されてきた日本陸連苅部俊二男子短距離部長にお話をうかがいます。
『指導者に直撃!メダリストの育て方』今日はその後編です。
やっぱり日本人初の100m9秒台は、400mリレーの銀メダルを穫ったメンバーから出そうですか?
苅部)そうですね。ただ、他にも俺が出してやると狙っている選手はいると思います。本当にいつ出るか分からない状況で、1つ1つの試合が見逃せないですね。
いつ出る?男子100mの9秒台?
苅部)来年出ると思います。
どんな条件が揃うと出るんですかね?
苅部)色んな条件があると思います。一番大きいのは風です。追い風2.0まで公認なんですけど、1.8mから2mくらい吹いてくれると。あとは、路面のカタさ、走路が柔らか過ぎるとダメですし。
場所はどうですか?
苅部)日本で言うと、広島がいいですね。広島ビッグアーチ。ここは風も良くて、トラックの反発もあるし、記録が出る条件が揃っています。
そこで次はいつレースが?
苅部)だいたい来年の4月末あたり。織田記念という大会。注目して欲しいです。桐生選手の好記録も広島でした。
お立場上、言えないかと思いますが、腹の中では「アイツじゃないか?」という選手はいますか?
苅部)いますね。一番近いのは彼だろうなっと。言えないですけど。ただ、僕が法政大学で見ている選手の中にも、可能性がある選手はいます。今年は難しいので、一冬越して、狙ってやろうかなと。
伸びる選手のタイプは?
苅部)回転力で行く選手もいますが、細くて、柔らかい動きをする選手が私は好きですね。
日本人は昔、長距離向きと言われていましたが、最近、何で短距離が速いんですか?
苅部)最近はハーフの選手が強いですね。ケンブリッジ選手やサニブラウン選手など。中学でも高校でも上位に入る選手が多い。サニブラウン選手はリオはケガで出場出来なかったんですが、4年後の東京五輪にはリレーの4選手に入る可能性もあります。
じゃあ、4年後は期待できますね。
苅部)今の4人(リレーの)はウカウカしていられないですね。伸びている選手もいますし。狙っている選手もいると思います。
来年のゴールデンウィークあたり、9秒台楽しみにしたいと思います。
苅部)もしかしたら、複数の選手が出すかもしれません。
いい事をおっしゃるじゃないですか(笑)。ますます、よき指導をお願いします。
指導者に直撃!金メダリストの育て方~日本陸連男子短距離部長苅部俊二 [前編]はこちら>
指導者に直撃!金メダリストの育て方~日本陸連男子短距離部長苅部俊二 [中編]はこちら>
■リオオリンピック 男子400メートルリレー決勝日本チーム(※年齢は全て当時)
①山県亮太(やまがた・りょうた)24歳
②飯塚翔太(いいづか・しょうた)25歳
③桐生祥秀(きりゅう・よしひで)20歳
④ケンブリッジ飛鳥(あすか)23歳
■タイム:37秒60(日本新&アジア新)*金メダルはジャマイカ:37秒27
日本陸連男子短距離部長 苅部俊二(かるべ・しゅんじ)1969.5.8生まれ(47歳)
1994年広島アジア大会400mハードル金メダル
1996年アトランタオリンピックマイルリレー1走で5位入賞
1997年パリ世界室内選手権400m銅メダル、マイルリレー1走で6位入賞
1998年福岡アジア選手権&バンコクアジア大会・両大会マイルリレー金メダル
1999年前橋世界室内選手権マイルリレー4走で5位入賞
2000年シドニーオリンピック出場
元400mハードル日本記録保持者
現在法政大学スポーツ健康学部准教授
日本陸連男子短距離部長としてリオデジャネイロオリンピック男子400メートルリレー決勝で日本チームを銀メダルに導いた
10月21日(金) 高嶋ひでたけのあさラジ!「三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より