今日がラン、明後日がミキの誕生日!手元に置きたい“キャンディーズ”【GO!GO!ドーナツ盤ハンター】

By -  公開:  更新:

昨今のアナログ盤ブームで、改めて注目されているのが歌謡曲のレコード(ドーナツ盤)。
デジタル音源より音に厚みがあり、またCDでは味わえないジャケットの大きさも魅力の一つ。
あえて「当時の盤で聴きたい」と中古盤店を巡りレコードを集めている平成世代も増えているようです。
そんなアナタのためにドーナツ盤ハンター・チャッピー加藤が「ぜひ手元に置きたい一枚」をアーティスト別・ジャンル別にご紹介していきます。

いまJR西日本のCMに出演、変わらぬ美貌で話題になっているのが、元キャンディーズのセンター・ランこと伊藤蘭さんです。今月13日がバースデーなのですが、とても還暦過ぎとは思えない若さには驚くばかりです。
実は、ミキこと藤村美樹さんは今月15日が誕生日。ランの1つ下ですが、かつてキャンディーズを熱烈に応援していた方々は、この週末、二人の誕生日を祝いつつ、また当時の曲を聴き直していたりするんじゃないでしょうか。ちなみにスーこと故・田中好子さんは4月8日生まれ。ラン>ミキ>スーと学年が一つずつ違います。
来年はデビュー45周年、後楽園ファイナルカーニバルからちょうど40周年ということで、何か動きがありそうですが、今回はぜひ手元に置きたいキャンディーズの名曲を、当時のジャケットとともにご紹介していきましょう。

【ビギナー向け】・・・『春一番』(1976)

春一番

キャンディーズは活動期間中、デビュー曲の『あなたに夢中』からラストシングル『微笑がえし』まで、合計17枚のシングルをリリースしましたが、これは9枚目、ちょうど中間点にあたる曲で、彼女たちの代表作にもなりました。
キャンディーズはコンサートで洋楽カヴァーを歌ったり、バンドサウンドとの融合を積極的に試みたアイドルグループでしたが、特に会場でファンに人気があったのがこの『春一番』です。冒頭から疾りまくるエレキギター、豪快なドラミング…制作側の「彼女たちは単なるアイドルじゃない。ライヴアーティストなんだ」という心意気を感じます。
またそれに応える三人も素晴らしい!最初から最後まで全編ユニゾンで押しまくるのもこの曲の特徴ですが、ハモっていない分、ラン+スー+ミキ、三つの声が一つにまとまるグルーヴが味わえるわけです。これぞキャンディーズ!
本作はもともと、1975年に発売されたアルバム『年下の男の子』に収録されていた曲ですが、「シングルにしてほしい」というファンからの要望に応える形で、異例のシングルカットが実現しました。なおシングルヴァージョンは、ホーンが加わってより賑やかになっています。
曲を書いた穂口雄右は、初期キャンディーズに作曲・編曲面でずっと関わってきた人物ですが、この作品では作詞も手掛けています。次作『夏が来た!』(1976)でも詞曲を手掛けた後、一時キャンディーズから離れますが、『わな』(1977)で復帰。ラストシングルの『微笑がえし』の作曲・編曲も手掛けた、キャンディーズの楽曲面を語る上で欠かせない人物です。
この穂口と、『春一番』でギターを弾いている水谷公生、当時渡辺プロの音楽プロデューサーでキャンディーズ担当だった松崎澄夫(元アミューズ社長)は、グループサウンズ『アウト・キャスト』の元メンバーで、つくづく歌謡曲におけるGS人脈の深さを感じずにはいられません。出物は多く200円前後で入手可能かと。

【上級者向け】・・・『哀愁のシンフォニー』(1976)

哀愁のシンフォニー

12枚目のシングルですが、作詞になかにし礼・作曲に三木たかしを起用したバラード。それまでのアイドル的楽曲から、アダルト路線に舵を切った曲で、キャンディーズにとって転機の一曲になりました。ユニゾンだけでなく、ソロパートあり、二声和音+三声和音のハモリありと、歌う側にとってはかなりの難曲なのですが、しっかり歌いこなしているあたり、三人の音楽的成長が窺えます。そしてジャケットの、どこか憂いのある大人びた表情にも注目。全17枚の中でも、個人的にはこれがいちばん好きです。Perfume『ポリリズム』のジャケットの構図にも似てるなあ…と思ったり。(蛇足ですが、Perfumeが所属するアミューズの大里会長は、元キャンディーズのマネージャーです。)
コンサートでは「紙テープが一斉に舞う曲」として有名で、サビ入りの「♪こっちを向いて~」のところで、バーッと赤青黄、三色のテープが舞う様はいまビデオで観ても壮観です。その仕切りをしたのが、おなじみ「全キャン連」で、現在のアイドルシーンで見られる応援スタイルのフォーマットは、キャンディーズファンによって創られたのです。キャンディーズなくして、AKBもももクロもなし。300円〜500円ぐらいで入手可能です。

【その他、押さえておきたい一枚】

『あなたに夢中』(1973)

あなたに夢中

記念すべきデビュー曲。衣裳に時代を感じるが、ジャケットの通り、当時のセンターはスー。3人のハモリが初々しい。やや希少で500〜700円程度。

『年下の男の子』(1975)

年下の男の子

5枚目のシングルで、この曲からランがセンターに。最初のヒット曲になった。「L・O・V・E」のハンドサインも印象的。300〜500円程度。

【チャッピー加藤】1967年生まれ。構成作家。
幼少時に『ブルー・ライト・ヨコハマ』を聴いて以来、歌謡曲にどっぷりハマる。
ドーナツ盤をコツコツ買い集めているうちに、気付けば約5,000枚を収集。
ラジオ番組構成、コラム、DJ等を通じ、昭和歌謡の魅力を伝えるべく活動中。

Page top