東芝、米子会社が破産法申請~半導体事業売却は致命的!?高嶋ひでたけのあさラジ!

By -  公開:  更新:

3/30(木)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③

赤字は過去最悪の1兆1,000億~半導体事業だけは守るべき!
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター佐藤優(作家・元外務省主任分析官)

東芝の海外連結子会社、ウェスチングハウス・エレクトリック社が破産法適用を申請。会見冒頭、紹介を受け頭を下げて挨拶する東芝の綱川智社長=20170329午後港区 写真提供:産経新聞社

東芝の海外連結子会社、ウェスチングハウス・エレクトリック社が破産法適用を申請。会見冒頭、紹介を受け頭を下げて挨拶する東芝の綱川智社長=20170329午後港区 写真提供:産経新聞社


東芝の純損益1兆1000億円の赤字は過去最悪

経営再建中の東芝はアメリカで原子力発電事業を手掛ける子会社が、日本の民事再生法に相当する「アメリカ連邦破産法11条」の適用を申請したと発表しました。最大の懸案が決着した形ですが、東芝の今年3月期連結決算の純損益は、金融を除く国内事業会社で過去最悪の1兆1000億円の赤字になる見通しです。

高嶋)東芝さんは何をして食っていこうとするのですかね。名前は残るけどその東芝の偉大さは殆ど棄損されてしまうと、そういうような感じです。それでは現在の動きをニッポン放送報道部の森田耕次解説委員です。

森田)東芝は2006年にアメリカの原発会社「ウェスティングハウス・エレクトリック・カンパニー」を6000億円規模で買収しまして、海外での原子炉製造技術を手に入れました。
中国で原子炉を受注したり、イギリスやインドでも建設を計画したりしたのですが、工事の遅れで巨額損失を出し続ける事態となりました。これ以上損失が拡大するのを防ごうということで破産法を申請した訳です。
これによって東芝の負債総額はおよそ1兆円に上りますけれども、連結決算の対象からウェスティングハウスが外れることで損失の根源をまず遮断しようということを優先した形です。
ただ建設中のアメリカの原発にはアメリカ政府が債務保証をしておりまして、破綻処理によってアメリカ国民に負担が生じれば、「アメリカ・ファースト」を掲げるトランプ政権と軋轢が生じる恐れもあります。また負債が資産を上回る債務超過額は6200億円にまで膨らむ異常事態となっておりまして、東芝は今日の臨時株主総会で半導体事業を分社化する計画の承認を求めます。


半導体事業の売却は致命的 なぜ政府は“知らん顔”?

森田)半導体売却の最初の入札は昨日が締め切りでして、2兆円以上を提案した応札もあったということです。東芝の綱川社長は昨日の記者会見で応札状況を訊かれ次のように話しています。

記者)メモリー(半導体事業)の売却で、キャッシュイン・利益共に目途は立っているという理解でよろしいでしょうか?

東芝・綱川社長)全部のオファーが来た訳ではないのですけども、まだ一部しか来ていませんが、それに十分耐えるものが来ていると認識しております。

森田)これまでに関心を示していた海外のファンドや競合企業など、およそ10社がこの半導体事業に応札したと見られておりまして、東芝は5月中にも売却先を決める方針です。ただこの中にはシャープを買収した台湾の「鴻海(ホンハイ)精密工業」や中国企業も応札している可能性があるということなのですね。
それで今後東芝の原子力事業は国内の保守点検や廃炉が中心となりまして、成長は見込めなくなります。今後の事業展開ではエレベーターや鉄道システムといった社会インフラを主力に据える方針なのですが、どこまで収益の伸びが期待できるのかという声も聞かれているのですね。

高嶋)根本的な話で、佐藤さん、なんで政府は知らん顔しているのだというのがあるのですね。

佐藤)私は、悪い意味で“神獣主義”が完成してしまったと思うのですよ。弱肉強食・自己責任。「知らないよ、お前らの所の自己責任だろう」と。だから金融だったら大きすぎて潰せないのですよ。ただ金融の世界を除けばメーカーの所で乱暴な言い方をすると「たかだか1兆円以下じゃないか、そんなもの自己責任じゃないか」と、こういう雰囲気が蔓延していると思いますね。
ただここで怖いのは、日本政府として製造業にどういう姿勢を取るか。そりゃあ東芝は東芝で自分たちが責任を取ってもらわないといけない、それはあるのですけども、製造業の責任、あるいは日米関係に与える影響、今も森田さんの解説にもあったように。さらに、電子技術や汎用技術は軍事利用できるのですよ。それが日本にとって敵対的な国家に行った場合に、日本の技術、東芝が開発した技術で日本が首を絞められることになる。こういうようなことを総合的に考えなければいけない訳ですよ。できてないですね。

高嶋)本当だったらこの東芝を当たり前の二流三流の企業に貶めて名前だけ残したって何の意味も無いじゃないですか。だから半導体だけは売らしちゃいけないのですよ。

佐藤)私もそう思いますよ。

高嶋)半導体だけは命懸けで政府も応援しなければいけないですよ。

佐藤)しかもその東芝が開発したと言ったって、その東芝が開発する基礎の技術者の教育というのは、これはやっぱり国家はお金を沢山投入している訳ですよ。そうするとそこにおいて日本国家と国民税金と全く無縁の所で日本企業の発展がある訳ではないのですよね。そのベースを考えた場合に、企業はいろんなことにおいて失敗はする、じゃあその時に日本として守らなければならない技術というのは何なのかという、そのグランドデザインが無いですよね。

高嶋)だからあの西田・佐々木・田中のあのチャレンジ、まあ聞くと腹立たしいことを一杯やっていますよ。だけどあのいわゆる3.11のひとつ被害者でもあるのですよね、東芝は。それでウェスティングハウスだって世界に打って出た時、みんなで拍手したじゃないですか。それで政権は原発って、小泉さんが今やっている訳じゃないのだから、止めない訳ですよね。推進とは言わないけども安全なものをって。

佐藤)しかも外国に売っていくということは推進で、これはアベノミクスのひとつの大きな柱でしたよね。だからそういう所の整合性が崩れていると。何か「ばっちいものがあったら触らない」みたいな感じでね。これは変な話だけれども「籠池さん応援します、素晴らしい理念での学校を作っています」という風に言うのだけども、こういうことになると誰一人として「そんなの知りません」とこういうような感じになる。それと体質似ていますよね。


“日本に敵対する国家”が半導体事業を買収した場合どんな懸念が?

高嶋)それでみんなまた鴻海の傘下なんかになって、どうしようっていう。

佐藤)いや、鴻海だったらまだ体制一緒ですよ。厳しい所になって、それで攻撃用ロボットができたとかそういう風になったら「根っこの所は全部東芝の技術でした」みたいになったらどうするのですか。

高嶋)だけどそういう話って出て来ないのですよね。

佐藤)だから思いつかないのですよ。それで、まだ中国と決めつけない、“ある国”が半導体を発展させる所にバックドアかなんか付くようにして、それでそこの機材を使うと何かあった時に必ず情報が抜けるとか、あるいはダウンするとか、技術的に可能なのですから、そういう所が怖いのですよ。

高嶋)なるほどね。これで今言われているようにトントンと行ってしまうのですかね。

佐藤)だからこれは絶対に守った方が良いです。高嶋さんがおっしゃるように、半導体部門だけは国策として守った方が良いと思いますよ。

高嶋)だってこれを取ってしまったら、この間の稀勢の里じゃないですけど、稀勢の里は左腕、右腕付いていたから良いですけど、腕が無くなってしまうようなものでね。何の意味も無い、ただ“昔あった東芝”になってしまうのですよ。

佐藤)機関車にしたってエレベーターだって、複雑なアルゴリズムを使いながら電子制御になっていく訳ですよ。そうしたら半導体の無い所での機関車とかエレベーターというのは、全然意味の無い話ですよね。

この話を聴き逃したあなたは、下のバナーをクリックしてradikoのタイムフリーで聴いていただくことができます。

radiko_time_0407

高嶋ひでたけのあさラジ!
ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

Page top