上場廃止直前の東芝!生き残れるか?高嶋ひでたけのあさラジ!
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5/16(火)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③
綱川社長が記者会見で謝罪「早い時期の発表を目指す」
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター富坂總(ジャーナリスト・拓殖大学教授)
「ウェスタン・デジタル」が半導体事業の売却中止を求める東芝の綱川智社長は昨日記者会見し、監査法人の証人を受けた今年3月期決算が発表できなかったことについて謝罪し、「早い時期の発表を目指す」と説明しました。一方東芝が進める半導体事業の売却をめぐり、事業に共同出資しているアメリカの会社が売却中止を求めたことについて、綱川社長は「売却を止める根拠は無い」として強行する構えを見せました。
高嶋)東芝のサバイバルは果たして成功するのでしょうか、どうでしょうか。まずニッポン放送報道部森田耕次解説委員です。
森田)東芝は昨日、今年3月期の連結決算の純損益が過去最悪の9.500億円の赤字になる見通しを発表しました。系列のアメリカの原発会社「ウェスティング・ハウス・エレクトリック・カンパニー」の破綻処理に伴って、合わせて1兆3,600億円の損失を計上した為で、今年3月末で5,400億円の債務超過となる見込みです。
ただ今回東芝が発表した業績は監査法人が適正という意見を付ける見通しが無い為に東芝独自で集計したものです。東芝の綱川社長は「現在のPwCあらた監査法人と協力して、決算を含む有価証券報告書を6月末の期限までに提出できるよう最善を尽くす」と語りました。この提出期限の延期が認められない場合には、1ヶ月後の7月31日までに上場廃止となってしまいます。
一方東芝の半導体事業の売却手続きをめぐっては、共同投資をするアメリカの「WD-ウェスタン・デジタル」が「売却が契約違反にあたる」としまして、中止を求める仲裁の申立書を国際商業会議所の国際仲裁裁判所に提出しました。ウェスタン・デジタルは「第三者への売却に拒否権を持つ」と主張しておりまして、東芝に優先交渉権を求めてきていたのですね。これに対し東芝の綱川社長は昨日の記者会見で次のように反論しています。綱川社長)WD(ウェスタン・デジタル)側がプロセスを太めるというような根拠は無いと、このように考えておりますので、懸念を払拭していくように努力するということでございます。
森田)こう述べて続きを強行する構えを見せておりまして、売却先を自主的に決める二次入札に向けてウェスタン・デジタルの説得を続けるということです。
半導体事業の売却先は「産業革新機構」やアメリカファンドなどによる「日米連合」が今有力候補に浮上しているのですが、このウェスタン・デジタルが強行な姿勢を崩さなければ売却自体が頓挫するおそれも出て来ている。
東芝がこの半導体事業を来年3月一杯までに売却できないと2年連続で債務超過ということで、これまた東証のルールで上場廃止となってしまうのですね。
上場廃止直前の東芝 “あの東芝”のまま生き残れるのか?高嶋)まあとにかく監査法人の認め印鑑も無いということで(笑)。要するに正式書類としては認められないというようなことで。そしてあのお友達のはずだったウェスタン・デジタルが急に訴えを起こすというような。
これ前にあった「スズキ株式会社」と「フォルクスワーゲン」のやつ、あれ4年間掛かったっていう。森田)はい、4年間仲裁手続きですね。
高嶋)果たして東芝が、“あの東芝”のまま生き残っていけるのか、それとも会社全体が雲散霧消してしまうのか、非常に際どいところに来ました。
富坂)そうですね。私これは債務さえ切り離せば順調な部分結構あると思いますので、その債務の切り離し方というのが一番大事で、今はどっちかというと上場を守るというところで攻防しているのですよね。それでこれ逆算していったときに第一の躓きがやはりウェスティング・ハウスの処理に少し手間取った。これは安全保障に関わるので、米側からちょっと文句がついたということですよね。この処理をちょっとボトボトっとやったことに加えて、今回実は半導体というのも相当に安全保障の問題に関わってくるのですよ。
これは産業をほかのところに移転するにしても、枝葉のところはできるのですけど“幹”にあたる半導体というのはやはりけっこう持てないですね。だから中国もこれ欲しくてしょうがない訳ですよ。ところがやはりアメリカはそこを許さないところがあるので、だからこのウェスタン・デジタルの動きも少しなにかいろいろとそういう背景があるのかなと、ちょっと私は深読みをしてしまうのですけどね。高嶋)なるほどね。いろいろな国の思惑を含めてね。
富坂)そうですね。だから何が何でも上場を守るということで動いちゃうということではなくても良いのではないかもしれないなという気もしますけどね。
共同出資の「ウェスタン・デジタル」が売却中止を求める訳とは?高嶋)ウェスタン・デジタルとしては、やはり今まですごく上手くいっていたのに、一緒に一生懸命四日市工場なんかに投資もしていた。いざこうなったら「じゃあ独占的にうちにやらせろよ」というような、そういうような思惑があった訳ですけども。全く崩れてしまって。頭に来ちゃったのでしょうね、きっと。堪忍袋の緒が切れるというような。
富坂)まあ東芝としても元々「大体ウェスティング・ハウスが1兆円、売れるのは2兆円」という風な勘定でやっていたと思いますけどね。
高嶋)東芝はもう現金化しないと背に腹は代えられないものね。
森田)その通りですね。もう債務超過の状況2年続いたら上場廃止ですからね。
高嶋)「アップル」が出て来たり「ソフトバンク株式会社」が出て来たり、あと「鴻海(ホンハイ)精密工業」と肩を組んじゃったりなんかして(笑)。
富坂)今は本当にもう半導体は売り時ですよね。だから大きな投資を出来るところじゃないと買えませんので。ある意味買い手は限られるし、本当に今良い状況なのですがね。守りたいと思いますよね。
高嶋)この訴えについて出た結論はなんか強制力があるという風に言われていますね。
森田)そうですね。
高嶋)ということは、明日はどうなのだろう……ということでね。東芝さんはただ「関係無い!」って叫んでいますけども。ウェスタン・デジタルだってどっかを買ったときに「うちに全然了承なんて得なかったじゃないか!」みたいなことを言っていますけども。こういう風になるとそこの判定次第で右にも左にも転ぶのでね、ちょっと分かりませんね。