4/3(月)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!④
原発事業の巨額損失は半導体売却で補てんできるのか?
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター須田慎一郎(ジャーナリスト)
半導体事業を手放した東芝 厳しい株主の声
経営再建中の東芝が半導体事業を受け継いだ新会社“東芝メモリ”を発足させました。新会社の株式は今年度中に売却され、アメリカの原子力発電事業で発生した巨額損失を穴埋めします。
高嶋)虎の子の半導体を、ということですが。
畑中)先週開かれた臨時株主総会でも、株主からはこんな厳しい声が聞かれました。
株主A)東芝という会社はしょせんこの程度だ。あとが長くないだろう、この会社は。一番儲かるはずの半導体事業を売って、製造部門を全部手放して社会インフラだけでやっていこうなんて、甘いよ、あの連中の考えていることは。もうダメだね。
株主B)経営者の方が「申し訳ない」と思っている姿勢が見えない。「僕が先頭に立ってやってやるぞ!」という意気込みが伝わってこない。大丈夫かな? と思う。
株主C)昔、東芝に勤めていた。けっきょく半導体を失うと、ハッキリ言って相当大変だと思う。1年先どうなるか分からないね。
畑中)東芝メモリの事業価値は2兆円規模とされております。現在のところ、アメリカのウエスタンデジタル、台湾の鴻海精密工業、韓国のSKハイニックスといった外国勢の企業の名前が取り沙汰されていますが、日本勢の参加は無かったようです。ただし、半導体分野はご存知の通り軍事分野にも転用が出来るということで、韓国や中国勢への売却には政府が難色を示しているようです。なかなか一筋縄では行かないようで、6月の株主総会までにこの問題が解決するかどうかは、非常に微妙な状況になっています。
こうなってしまった原因は処理を先送りしたことによる高嶋)東芝問題を須田さんはどのように分析されていますか?
須田)半導体部門を売却しなければ、東芝も曲がりなりにも企業の存続は無理なのだろうと。先ほど事業価値が2兆円ある、と言ってその部門をどれだけ売るのか。どれだけ売ればウェスティングハウス等々での原子力発電部門の含み損を穴埋めできるか。ただ、これもどれだけその部門の損失が膨らむのか、見通しが効かないのですよ。一体いくら売ればそこに着くのか。その辺りの見通しが効かないのは東芝にとって1番の大きなリスクだと思いますね。
高嶋)この間のニュースで「(会社を)切り離したからこれから生じてくるウェスティングハウスの赤字とはもう関係ない」とは言えないのですか?
須田)言えないですね。これは最終的に東芝が責任を持たなければ。つまりどういうことかというと、アメリカで4基の原子炉を受注したわけですよね。それに対しての安全性を確保するためにどんどんコストが上がっていくのですよ。上がったコストに関しては、法的には東芝がそれを補填するという仕組みになっていますから、膨らむところがどの程度膨らんでくるか、見通しが全く効かないのが一番の問題だと思いますね。
高嶋)3.11という未曽有の大災害に見舞われて、東電が波にやられて原子炉があんな風になってしまって、それで規制基準が一気に厳しくなりました。ということは、東芝は運がなかったと言えるのですか? 逆に日立は上手く行っているじゃないですか。うまく事業を転換して。その辺どう思いますか?
須田)もちろん運がなかった部分もあります。アメリカの原発の設置基準が上がってしまったというのもあります。しかし、問題なのはそれをその場で処理せずに先送りしてしまった。つまり損失を先送りしてしまったのです。これが今まで尾を引いていると考えて頂ければね……
高嶋)経営陣は事の重大性に経営陣が気付いていなかったのか、気が付いていて知らん顔していた?
須田)自分が泥をかぶりたくなかったのでは、と思いますね。勇気がなかった。
高嶋)それでチャレンジになってしまった。
須田)ある意味大企業病に侵されていると言えますね。
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