東芝~適正意見無いまま異例の決算発表 高嶋ひでたけのあさラジ!
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4/12(水)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③
東芝の信頼性ますます揺らぐ
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター鈴木哲夫(ジャーナリスト)
3度目の延期回避し、監査法人の適正意見無いまま決算発表経営再建中の東芝は、去年4月から12月期の連結決算について、監査法人から決算が適正という意見を得られないまま、純損益を5325億円の赤字と発表しましたが、監査法人は東芝の事業継続に重要な疑義があると表明しました。適正意見が無いままの異例の決算発表に東芝の決算の信頼性は揺らぎ、上場維持へ正念場を迎えています。
高嶋)いやあ、とにかく最大の儲け頭のフラッシュメモリーを売りに出さにゃいかんという。東芝さんどんなに小さくなってもいいから、上場廃止だけは免れたいと。それでこじんまり出直すのだというようなことですけど。今度は監査法人と決定的に対立の関係になったということで、またまた大騒ぎです。まずその辺の状況を、ニッポン放送報道部の森田耕次解説委員です。
森田)東芝の監査法人は「PwCあらた有限責任監査法人」なのですが、この監査法人と提携関係にありますアメリカの「PwCプライスウォーターハウスクーパース」が東芝系列のアメリカの原発大手「ウェスティングハウス・エレクトリック・カンパニー」を担当しました。それでPwCはウェスティングハウスの幹部が部下に圧力を掛けて決算で損失を小さく見せかけた可能性を疑いまして、過去の監査のやり直しも徹底的にやれと、このように要求しておりまして、ウェスティングハウスの決算が確定しておりませんでした。この為手続きが進んでいなかったのですね。
ですが東芝は2度延期してきていた去年4月から12月の連結決算について昨日3度目の延期を回避しようということで、決算が適正だという監査意見を得られないまま異例の開示に踏み切りました。東証一部に上場する大企業の決算には適正意見が付くのが通例でして、適正という意見が付かなければ東証の上場廃止基準にも抵触するのですけれども、東芝の綱川社長は昨日の記者会見で次のように述べています。綱川社長)今後独立監査人から適正意見の表明をいただける目処が立たないことから、極めて異例ではございますが、独立監査人からの結論の不表明という状態で第三期四半期決算について公表させていただくことと致しました。
森田)このままだと同じことの繰り返しだということで、今後監査法人変更の可能性もほのめかしていたのですね。いずれにしましても東芝は今年3月期の決算を発表、それから損失を穴埋めする為半導体事業、フラッシュメモリーの売却交渉を控えておりまして、崖っぷちの経営は続いております。
半導体事業の一時入札には10社近くが参加しまして、アメリカや台湾の企業が2兆から3兆円近い金額を提示しているのですが、日本企業は資金の手当てで二の足を踏んで見送っております。こうした中菅官房長官は昨日の記者会見で、政府主導で日本企業連合による出資を目指すことに前向きな姿勢を示しております。官民ファンドの産業革新機構の活用も取り沙汰されているという状況ではあるのですね。
ようやく政府が動き出すか 今まで動かなかった理由とは?高嶋)鈴木さん、政府がようやくみたいな感じなのですけど、これ遅くないですか?
鈴木)前回も少しお話したかもしれませんが、永田町ではもっと早いタイミングで経済産業省あたりが何かしら入って行っても良いのではないかと。東芝ですからね。それなのに何か動きが鈍いねというようなことです。
それは背景にはある自民党の議員が言っていましたが、根っこに原発というのがあるのではないだろうかと。つまり経産省というのは当然原発をある種推進して、しかも海外に輸出することまでも一生懸命やっているわけです。ある意味では今回の東芝のケースというのは原発が仇になってということではないですが、こういう状況になってきたということで考えれば、中々そこに手を出しにくかったのかなということです。
去年4月から12月の連結決算についての公表が、3回目というのも異例だけども、逆に監査の意見も無いままというこれもまた異例。どっちにしたって異例でマイナスの会見ですよね。だからこういう状況に、“負のスパイラル”に入ってきている、そういう意味ではもうちょっと早く経産省が動くというのもひとつ方法があったのかな……だけどそこに原発があったから動けないと。
政府が動こうとしているのは半導体事業を守る為?高嶋)まあ巨大な銀行なんかの場合は昔バブル崩壊とかいろいろあった時に、巨大すぎて潰せない、銀行潰すとそこからお金を借りている民間会社などがどれだけ被害を被るかわからないなどと言って、そちらには素早く動いたのに、東芝はあくまでも民間会社ですからね。ここに来て言うようになったのはやっぱりフラッシュメモリーの技術がいろいろ敵国というか、ちょっと疑わしいような所に流れるのは困るぞという。それを問題にしているのですよね。
鈴木)可能性はあります。そうですね、そこでようやく腰を上げたというような感じで見ていいのではないでしょうかね。
高嶋)それで地方銀行なんかはもう貸すのは嫌だと言っている所もあれば――
鈴木)かなりもう警戒しています。最初は地方銀行も引き続きと言っていましたけれども、どうもやっぱり内情を訊いてみるとかなり慎重になっていますよ。
高嶋)半導体を買っているところが皆割り勘で東芝を支えようみたいな、それもありましたけど、どうも皆あまり良い顔をしないということで、漂流しています。
鈴木)そうですね、この会見ひとつ取ってもガバナンスが遂に後手に回っているというのですかね。負のスパイラルとさっき表現しましたけど、ちょっとそんな印象を持ちます。
高嶋)まあ株主40万人とか43万人とか、それに社員、関連会社、それからいろいろ商売している会社といったら大変な数になる訳ですから、どんな結果が待っているのかドキドキします。