4つのNo!で米朝関係は軟着陸か?高嶋ひでたけのあさラジ!
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5/19(金)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!①
北朝鮮に圧力かけるも中国にとっては必要な緩衝国
6:29~ニュースやじうま総研!ズバリ言わせて!:コメンテーター宮家邦彦(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹・外交評論家)
「4つのノー」核開発の放棄しなければ逆になる高嶋)昨日の産経新聞の1面は「米朝関係は軟着陸か」でした。アメリカ太平洋軍のハリス司令官が、都内の講演で「正気に戻すことが大事」だと言ったようです。正気ではない人を戻すには、どうするのですかね?こういうときは、「4つのノー」とか、いろいろ言われていますけれど。
宮家)要するに、条件はあくまでも「核開発全体を放棄する」ということですよね。
高嶋)それがもう、前提条件ですよね。
宮家)「それを北朝鮮はできるのですか?」と。「ちゃんとやるなら体制打倒はしませんよ」ということなのですが、 逆に読めば「核兵器を作り続けるのなら体制をぶちこわすぞ」と言っているのと同じではないですか。ですから決して優しい言葉ではないのですよ。
高嶋)「4つノー」を簡単に言いますと「北朝鮮の体制返還は求めない」「金正恩政権の崩壊を目指さない」「朝鮮半島を南北に分けている北緯38度線を越えて侵攻することはない」「朝鮮半島の再統一を急がない」この4つですね。
宮家)はい。だから、核兵器を続けるのなら、逆に「体制を変え」「崩壊を求め」「38度線を越えて」「再統一を急ぐ」、ということです。
高嶋)裏を読め、と。おだやかそうに表面的には見えるけれど、実際は相当のことを言っているのだぞ、と。
宮家)ものすごいことを言っていると思います。だけど、本当に止めさせられるかどうか、というのはまた別の話です。北朝鮮にとっては、これ(核)が最後の切り札ではないですか。しかも94年からずっと何十年も掛けて作っている。言われたくらいでは、止めるわけがない。
北朝鮮の兵器開発は進みレッドラインに近付く高嶋)凍結でも駄目ですか?
宮家)凍結は以前、原子炉か何かの棟を壊したり、したではないですか。あれは結局、ウソだったしょう。なんだかんだ言いながら、止めてなかったではないですか。だから、本当に止めて貰わないと駄目なのだ、と。厳しく言えばね。
高嶋)これはきっちり伝わっていますかね?
宮家)バッチリ伝わっていると思います。前から言っていることだから。基本的にはね。
高嶋)よく大陸間弾道弾ミサイル(ICBM)が、アメリカ本土に届くようなことになったら、とか。あるいは核弾頭の開発で、大気圏内突入が技術的にできるようになる、とか。そうなった段階がレッドラインだとよく言いますけれども。いまはどの程度だと読んでいますか?
宮家)今は、まだICBMが開発段階で。だけれど、この間撃った1発が成功して、金正恩は非常に喜んでいた。
あれは、2,000キロ上に撃つ、ということはICBMではないけれども、かなり近い形で、大気圏に突入できるような状況を作れたのではないですかね? ということはやはり、ICBMは撃っていないけれども、着々と準備は進んでいると考えるべきだと思います。緩衝地帯として北朝鮮が必要な中国は微妙な圧力のかけ方
高嶋)そしてもう1つは、中国が、けっこうトランプさんの意向というか、素直に従っているとは言わないけれど、文句を言わずに聞いているような風があるのですが、これは本当のところはどうですか?宮家)それは思惑が一致しているということですね。最終的には違うのだけど、要するに、北朝鮮がこのまま勝手なことをやると、緩衝国家として意味のあった北朝鮮が、それこそ本当にお荷物になる。そうなった場合に、やはり北朝鮮に圧力を掛けなければいけない。しかし潰れて貰っては困る。だから圧力は掛けるけれど、最終的に死に追いやるようなことはしない、と微妙に圧しているわけです。ですが、それだけでも北朝鮮には相当響くから、だから騒いでいるのです。
高嶋)中国にとっては大変な緩衝地帯であるようですね、北朝鮮は。
宮家)そうですよ。北朝鮮がつぶれたらどうなるか。大変なことになりますよね。
高嶋)少しずついろいろな情報が入ってきて、動いているようですが、まあ最初の話で結論ありきで、「北が核開発を止める」などということはまずありえないと。
宮家)止めてほしいけれど、無理でしょうね。そうではないことを前提に考えなければいけないと思います。