【新人記者(仮)あいばゆうなの取材記】6月14日(報道部45日目)
6月14日水曜日、築地市場からの移転で揺れる豊洲市場の一般向け見学会があるということで取材しました。見学会への申し込みは、60名の予定参加者枠に1055件と殺到しました。急きょ見学者の枠を増員して、午前午後、合わせて100名としましたが、倍率はおよそ15倍だったということです。移転問題への関心の高さが伺えます。午前中の参加者はおよそ35名。男性が約6割、女性が約4割。年齢別では40歳代から60歳代が多く、全体の6割以上を占めていました。
豊洲市場の敷地面積はおよそ、35.4ヘクタール。市場は大きく、3つの区画にわけられています。環状2号線と補助315号線で十字に四分割された土地のうち、市場のある3つの区画がL字形に並びます。有明北橋側環状2号線を挟んで南西に、水産卸売り場がある7街区、北東に青果卸売り場がある5街区、補助315号線を挟んで豊洲大橋側に水産仲卸売り場がある6街区。全ての棟は連絡通路で繋がっています。
午前の部、10時から開始された見学会の冒頭、管理施設棟にある講堂で説明が行われました。管理施設棟は、正面がガラス張りの近代的な建物で、講堂も真新しいペンキの匂いが残っていました。説明会では、市場の概要や見学ルートなどを確認したほか、地下ピットに溜まっていた水が捌けた様子などが紹介されました。また市場上部の空気の測定結果なども細かに説明されたあと、順次街区を回り、売り場などを見学しました。
豊洲市場では築地市場では分かれていない、市場関係者と観光客とで使用する通路が分けられ、整備されています。今回は、観光客向け通路だけでなく、市場関係者が使う通路も使うよう、見学ルートが組まれていました。
はじめに訪れた7街区は、水産卸売り場。コンクリート打ちっ放しのシンプルな作りで、柱ごとに数字が割り振られている他、積載量6600キロの巨大なエレベーターや気温管理のためのファン、クーラーなどが備え付けてありますが、まだ物はなく、がらんとしています。実際に見学者と報道陣も一緒に巨大なエレベーターに乗って移動しました。また巨大な冷蔵庫棟があるのもこのエリアです。まだ冷やしてはいないものの、冷やし始めると冷蔵庫棟の周辺もおよそ10.5度に室温管理されるということです。
上の写真の6街区の水産仲卸売り場の屋上には、芝生が貼られた緑化広場があり、開場すれば一般開放されるということです。眺めが良いだけでなく、海風も心地よく、見学者の方からも「これはいいね」と声が上がっていました。夕方や夜景も非常に綺麗だということです。
また見学中、改めて地下水の染み込みや汚染物質のチェック、処理方法などされているかなどの説明もありました。見学者から複数質問もあり、土壌汚染対策に対してかなり知識を持った上でこの見学に参加していることがうかがわれました。実際に見学後にお話を聞いても、ニュースでみて関心を持って来たという方がほとんどで、「報道で見るよりも安全だと感じた」や、「政治的な判断が待たれる」といった意見も聞かれました。
十分な土地が確保され、幹線道路沿いの物流センターとして便利な機能を備えた豊洲市場。銀座などから徒歩でも来られることから観光客の賑わいと築地ブランドが両立する築地市場。都議選告示前に小池都知事の移転の決断はあるのか、注目が集まります。