スポーツの世界大会といえばいろいろありますが、2年に1度の世界水泳が、ことしの7月、ハンガリー・ブダペストで開催されます。
そして今年は世界水泳だけではなく5月には世界卓球がドイツであり、13歳の張本智和選手が大活躍。また8月にはサニブラウン選手の出場が内定している世界陸上が、ロンドンで行われます。
気づけばスポーツの「世界●●」という大会が増えたような気がしませんか?
そもそも日本人目線でスポーツの世界大会というと夏と冬のオリンピック、そして1998年日本が出場するようになってからはサッカーのワールドカップが定着しました。
その中で世界水泳や世界陸上は、いつの間にか日本人に、定着したような感じがします。
そこできょうは、この世界水泳や世界陸上が、日本でどう広がっていったのか?
その歴史に迫っていきたいと思います。
まずは今年で第16回大会を迎える「世界陸上」。
第1回のフィンランド・ヘルシンキ大会が行われたのが1983年。
そう、1983年と聞いて、スポーツ好き、特にオリンピック好きの方はピン!ときたのではないでしょうか?
世界陸上がはじまったきっかけというのは、国際陸上競技連盟が1980年のモスクワオリンピックで、ボイコットした選手が出場できる国際大会を作ろう!と企画され、翌年に迫った1984年のロサンゼルス・オリンピックの前哨戦の意味合いもかねていたそうです。
この当時の日本では「世界陸上」と略すマスコミは少なく「陸上の世界選手権」などと報じていました。
ちなみに正式名称は「世界陸上競技選手権大会」。
この第1回大会には153の国・地域から1,355人の選手が参加。
日本からは22人の選手が参加。ハンマー投げの室伏広治選手のお父さん、室伏重信選手も出場しましたが、日本人選手は残念ながら誰もメダルに手が届きませんでした。
当時「世界陸上」はオリンピックの前哨戦と捉えられていたので、4年に1度オリンピックの前年に行うように計画されましたが、日本では、あまり有名な大会ではありませんでした。
では日本で「世界陸上」という名前が定着したのはいつか?
1991年の第3回大会で、会場は東京でした。167の国・地域から1,517人の選手が参加。
あのカール・ルイスが男子100mと4×100mリレーで世界新記録を達成。
そしてこの大会では、日本で開催されるスポーツの国際大会としては初めて民放テレビ局1局による、地上波独占放送が行われました。
それまでも「バレーボールのワールドカップ」などの大会で1つのテレビ局の独占放送はありましたが、100ヵ国以上の国から選手が参加するスポーツのイベントを1つのテレビ局が、独占放送したのは異例中の異例だったのです。
この時、独占放送したのは日本テレビ。
現在「世界陸上」はTBSが独占放送していますが、この時は日本テレビでした。
陸上に興味のない視聴者も取り込もうと考え、特別レポーターとして長嶋茂雄さんと、当時18歳だった宮沢りえさんが選ばれ、超満員の国立競技場、男子100m決勝を終えたカール・ルイスに長島さんが「ヘイ・カール!ヘイ・カール!」と呼びかけたのは、その後、何度もテレビで放送されるほどインパクトがありました。
スポーツの国際大会に、著名人をゲストに呼ぶテレビ番組の演出が増えたのも、この1991年の世界陸上東京大会がきっかけと、言われています。
また、この東京大会以降4年おきから2年おきの開催に変更。さらに2007年の第11回大阪大会からは奇数大会がすべてアジアで行われるようになり、時差も少なく、日本人には「世界陸上」が身近な存在になっているそうです。
2011年の13回は韓国のテグ。
2015年の15回は中国の北京。
2019年の17回はカタールのドーハ。
となっています。
さてそれでは続いて「世界水泳」です。
こちらもすっかり日本では、世界水泳という言葉は定着しています。
第1回大会はミュンヘンオリンピックの翌年の1973年ユーゴスラビアのベオグラードで47ヵ国686人が参加。
日本からはミュンヘンオリンピック男子100m平泳ぎ金メダリストの田口信教選手らが出場し、男子100m平泳ぎ/男子200m平泳ぎで、銅メダルを獲得。
また、第1回大会では、当時まだオリンピックで種目ではなかったシンクロナイズドスイミングも公式種目として採用されていました。
当時の水泳界は、オリンピックこそ最高の国際大会という概念は根強く「世界水泳」は始まってはみたものの、開催される年はバラバラで、2年後の場合もあれば4年後5年後など、なかなか正式な国際大会として、定着することはできませんでした。
それが2001年の第9回大会以降2年ごとの国際大会として定着します。実はこの2001年の第9回大会の開催地は福岡。
はじめて日本で開催された「世界水泳」には134ヵ国 1,498人の選手が参加。
そしてテレビは、テレビ朝日が地上波独占放送しました。
1つのテレビ局が日本で開催される100ヵ国以上が参加する国際スポーツ大会を独占中継したのは、先ほどご紹介した世界陸上東京大会以来2度目のこと。
テレビ朝日は、水泳中継で初めて、世界新記録の赤い縦線を、コースごとに選手の国の国旗をバーチャルで映し出しました。
ちなみにこの大会での世界テレビ視聴者数は、およそ60億人と言われています。
この福岡以降2年に1度の国際大会として「世界水泳」は定着。現在ではオリンピックの水泳競技の参加者を超える180ヵ国以上、およそ2,000人の選手が参加する世界一の国際大会に発展しているそうです。
ちなみに2001年の福岡大会の成功が評価されて、2021年に再び福岡での「世界水泳」の開催が決まっています。
現在では、世界水泳も世界陸上も、現在、夏季・冬季のオリンピックが開催されない年で、さらにサッカーワールドカップも開催されない年に、2年に1度、開催されるようになったそうです。
夏季オリンピック前年の大会では、前哨戦!
夏季オリンピック翌年の大会では、オリンピックで引退した選手に変わり新勢力が台頭する大会として注目されるようになっています!
ことしの世界水泳は7月14日からハンガリー・ブダペスト、世界陸上は8月4日から、ロンドンで開催されます。
またまた、眠れない夏がやってきます!
6月26日(月) 高嶋ひでたけのあさラジ!「三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より