安倍首相「獣医学部全国展開」発言で波紋広がる 高嶋ひでたけのあさラジ!

By -  公開:  更新:

FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③

安倍総理「全国展開を目指して獣医学部の新設を認めていく」
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター鈴木哲夫(ジャーナリスト)

東京都議選2017候補の応援に初めてかけつけた安倍晋三総裁=20170626午後東京都文京区 写真提供:産経新聞社

東京都議選2017候補の応援に初めてかけつけた安倍晋三総裁=20170626午後東京都文京区 写真提供:産経新聞社


今治市は公平公正な手続きを求める意見書を可決

安倍総理大臣が獣医学部の新設について全国展開を目指したいと発言したことが波紋を広げております。野党は学校法人加計学園ありきだとされた批判をかわそうと、総理が唐突なルール変更を打ち出したとみて批判の矛先を向けております。一方、愛媛県今治市議会は昨日の本会議で、公平公正な手続きを求める意見書を可決しました。

安倍総理の発言は24日土曜日の神戸市の公演で行われました。政府の国家戦略特区制度による獣医学部新設計画を巡り、一校に限定したけれども中途半端な妥協が国民的疑念を招いたと主張した上で、次のように述べています。

安倍総理) 改革精神の立場からは今治市だけに限定する必要は全くありません。速やかに全国展開を目指したい。地域に関係なく、二校でも三校でも意欲あるところにはどんどん獣医学部の新設を認めていく。

総理は規制緩和の観点から各地で獣医学部を増やしていく姿勢を示しましたが、野党としては唐突なルール変更だということで追及を続ける構えです。野党側がとくに問題視をしているのは、政権自身が例外的に認めるという趣旨で獣医学部の新設の対象を絞ったのではないかと。つまり公益的に存在しない地域に限り新設を認めるという方針を示していたのに、全国展開となると今回の総理の発言は全く相いれないということで、民進党の野田佳彦幹事長は一昨日の会見で次のように述べております。

野田幹事長) これまでの説明を根底からひっくり返す発言であり、総理の焦りを非常に強く感じる発言だと思いました。思い付きが新しい総理の御意向だと思いますので、極めて乱暴な考え方だと思います。

森田解説委員) これに対し菅義偉官房長官は昨日の記者会見で次のように反論しています。

菅官房長官) とにかく一校でも早く、岩盤の壁をぶち破って、全国展開をしていきたい。それが国家戦略特区の諮問会議の基本方針ですから。そのように言ったということは当たり前のことではないでしょうか。

森田) ただ政権内からも二校、三校と増やすと将来の需要の予測はどうなるのかと不安の声も漏れております。加計学園の獣医学部の定員が160人でして、これが実現しますと全国の獣医学部の定員が930人なのが、総定員がおよそ2割増えることになります。ベテランの獣医師は「国家試験に合格できない学生が増えるおそれがある」と懸念している他、獣医師免許を交付する農水省のある中堅幹部も「どういう需要に対応して獣医学部を新設するのかわからない」と首をかしげる人もいます。萩生田光一官房副長官の発言をまとめたとされる新しい文書の中には、愛媛県の要望を反映するように指示したとも受け取れる記載がありまして、「不透明な誘致を喜べない」と愛媛県や今治市からも戸惑いの声が上がってきております。一方安倍総理は同じ24日の公演の中では「秋に想定される臨時国会に自民党の憲法改正案を提出したい」と発言しましたが、これについても自民党の細田博之総務会長が昨日の記者会見で「国会や党の意向もある。スケジュールありきはいけない。内容で合意が成立しなければならない」と述べて拙速な議論は避けるべきだという考えを示しております。


総理と官邸のすり合わせができていない

高嶋) いろんな視点がありますけど、国会で憲法改正のときに安倍さんが「読売新聞に詳しく書いてあるから読め」と言って。

鈴木) 単独インタビューですね。

高嶋) 前川喜平前文部事務次官のバー通いを出したのが読売新聞。これは裏からリークされたに違いないと。安倍さんと読売新聞は蜜月状況だと勝手に思っていましたけど、「安倍一強に陰り」とでっかい記事が出ておりまして。「都議選は逆風にさらされている」とか「安倍首相は森喜朗首相と電話で会談し、都議選について相談を持ちかけた。思うようにいかないと嘆息する首相に、森氏は『小泉進次郎くんを引っ張り出して小池都知事にぶつけなければ駄目だ。いまのままでは大負けする』と語った」と。雑誌『正論』では神戸市の公演で「獣医学部を全国へ」と。これはどういった意図がありますか?

鈴木) 僕は2つの背景があると思っています。ひとつは焦り。加計学園にしても逆風が吹き荒れている中で、あらゆることを前倒して上書きすることによって加計学園で負った傷を覆い隠していく手法が問題。もうひとつは、総理と直接話したわけではないけれども心情のところでいくと「かなりマズい」という思いがあると。官邸と自民党のすり合わせが上手くいっていない気がします。総理が発言したことに対して、みんながちゃんと情報を共有していてなく、官邸の中での調整ができていない。

高嶋) 総理が先走ったと。

鈴木) 心情的なものなので2つとも繋がってきますけど。安倍総理は支持率には非常に敏感だと言われていますけど、軒並み支持率が下がってくる、その中で足を引っ張る身内が山ほどいる(笑)

頑固として国会は開かない、負のスパイラルに突入

高嶋) この間の記者会見のときは、最後に新しい疑問点が出てきたら必ず丁寧に説明するとおっしゃっていながら、閉会中審査とか国会の召集には全く応じない。

鈴木) 閉じて何もしないのがいいと思ったのでしょうけど、負のスパイラルに入ってきていると思います。先程も言った通りどんどん上書きをする。内閣改造やりますよ、7月はどんどん外交をやりますよ、憲法改正もやりますよ、とやるよりも加計学園の問題に対して一番にやるべきことは国会を開いてきっちり決着させることですよ。そこを隠して他のことをやっているので、読売新聞が「安倍一強に陰り」というのはそういうニュアンスだと思います。

高嶋) 最初にボタンの掛け違いがあったのではないかと。例えば森友学園の籠池元理事長は大変な役者ですよ。安倍さんの奥さんがやっている神田のお店まで行って100万円を返したとか。

鈴木) 100万円も中に白い紙が見えちゃって(笑)

高嶋) 翌日本物を用意していましたけどね。不明を恥じるけど、当初昭恵夫人はそれにたいへん感動した。それを聞いた総理も感動して、国会の答弁の中で触れている。問題が起きたときに正面に立って「人を見る目がなかった」と不明を恥じれば国民は許した気がしますけどね。


都議選には間違いなく影響が出る

鈴木) 森友と加計は違うものですけど、一連の流れの中で、証人喚問でさらされたのは籠池さんだけ。あとの関係者は全員その土俵の外で言うだけで会見もしない。けじめがついていない。それをやっちゃったからずっと尾を引いているわけです。

高嶋) 都議選には相当影響が出そうですか?

鈴木) 間違いなく出ます。各政党の世論調査を含めて数字に変化が出てきています。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

Page top