ラグビートップリーグのヤマハ発動機へ、五郎丸が2シーズンぶりに復帰。
「戻ってくるなら、ヤマハしか考えていなかった。ここでキャリアを終えるつもりです」
と語っています。2015年ラグビーワールドカップでスポットを浴び一躍、時の人になった。ラグビーがわからなくても、五郎丸は知っているという人が多かったと思います。テレビやCM出演など、さながら五郎丸バブルのようでした。
ただ、アスリートは本業の露出が少なければ、すぐにファンの関心がなくなってしまう。ヤマハから16年2月、スーパーリーグ、オーストラリアのレッズへ期限付き移籍を果たしました。しかし、故障などもあって、世界の壁を実感。その後、さらなる雄飛を誓って、フランスの名門、トゥーロンへ移籍します。ここは、サッカーでいえば、スペインのレアル・マドリードのような位置づけ。各国代表のスーパースターばかりが揃っています。
「行かなければわからないことがある。自分は、まだまだだなぁ、と思った。悔いはありません」。
いずれかが望めば、契約はあと1年延長される可能性もありましたが、戦力外になりました。出場したのは数えるほどで、もう、国内復帰以外、道は残されていなかったのが現況です。そうはいっても6月、ルーマニア、アイルランドとのテストマッチには、五郎丸が加わるのでは、という噂がありました。でも、ジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)は、
「試合に出場していない選手を呼ぶべきではない」
と、五郎丸の出場は否定しています。
さて、五郎丸はどうして海外で通用しないのでしょうか。ポジションはフルバック。最後尾でバックスを統率する要のポジションです。一方、攻撃では時として、切り札的な存在にも変身。高いキック力をもつ選手が背番号15に値します。
サッカーのシステムがはやいスピードで変革を遂げているように、ラグビーも古い考えは当てはまりません。ジョセフHCの理想とするフルバックは、快速で攻撃力を備えた選手です。実際、世界のラグビー界は、その方向へ向かっています。五郎丸はキックの精度はなかなかですが、足が速くありません。ひと昔前のフルバックということが、海外で出場機会を失ってしまった理由です。
「もう1度、日本でつくりなおしたい」
と話し、新たなスタイルを模索しているところ。トレードマークの五郎丸ポーズは帰国してから、封印しています。
「そんなに重要なものではないですよ」
と説明したのは、ルーティンを捨ててまで、生まれ変わりたいからでしょう。
五郎丸にとって、空白ともいえる2シーズンをどう取り戻すのが課題です。今シーズン、新たなスタイルを確立することが、2019年ワールドカップのフィールドに繋がります。ラグビー人生をかけた大一番がスタートします。
7月4日(火) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」