現在、相撲界で最も礼儀正しいという評判は、礼をする姿をみれば一目瞭然です。体を90度に折って、丁寧にお辞儀をする。
埼玉県所沢市出身初の関取・北勝富士が今場所、館内を連日、わかせています。昨日も大関の照ノ富士を下した。3日目には横綱、鶴竜を破り、日本出身力士として最速15場所で金星をあげています。
小学4年から相撲を始め、所ジョージが卒業した南陵中時代に全国制覇、埼玉栄高でも高校横綱に輝くという相撲エリートです。日体大では2年で学生横綱に。そこから1年以内にプロ入りすれば、幕下付け出しデビューを飾ることができました。しかし、先日ご紹介した嘉風と同様、学業を優先しています。
北勝富士は3年の時も国体で優勝し、権利を再取得します。ところが、
「両親に高い授業料をだしてもらって学校に来ているわけですから、絶対に教員免許をとります」
と、またも断念。大学を卒業しました。大学通算で13のタイトルを獲得しながら結局、前相撲からのスタート。師匠の八角理事長も当時から、北勝富士の前向きな態度を、とても気に入っていたようです。
そうはいっても、こと現在となれば、どうしても厳しい目になります。好調の今場所の印象を質問されると、
「性格がいいだけでは、この世界は生き残れない。すべて足りません」
と、これからを強調しました。序盤で礼節の話をしましたが、北勝富士は、
「相撲とは神事。礼儀を重んじるのは当然です。親方は当然ですけど、両親への感謝を忘れてはいけない」
といつも口にして、
「スポーツは必ず誰かが支えてくださっている。感謝をしないといけない。いつもそんな気持ちを持ち続けていれば、成功する可能性が増すでしょう」
と付け加えます。
昨年の秋場所で十両優勝。九州場所で新入幕が決定して、大輝から北勝富士へしこ名を改めました。本名は、中村大輝。名字をしこ名にすることは珍しくはありません。でも、名前をしこ名にすることは、あまりありません。
さて、北勝富士は、師匠の現役時代のしこ名、北勝海に加え、解説でおなじみ、師匠の親方、北の富士さんから、それぞれ2文字をいただいたもの。期待が見え隠れします。八角親方は、保志からしこ名を改める際、出身地の十勝地方から、十勝海などが候補にあがっていましたが、「それでは10勝止まりになる」と北勝海に。この改名を期に横綱に駆けあがります。やはり名は体を表すということでしょう。
今場所の北勝富士の活躍に期待しましょう。
7月13日(木) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」