昨日の宝富士戦で勝利し、大関獲りの目安である直近3場所で33勝をクリアした高安。審判部では、「9勝でもあげていい」との声があるそうです。裏を返せば、甘いのではなく、それだけ強い。素晴らしいから。
今場所は、稀勢の里フィーバーでした。ところが途中休場のアクシデント。しかし、休場翌日でも用意された400枚の当日券は午前7時45分に売り出され、約30分で完売しています。また、昨日25日は、次の名古屋場所前売りがスタート。こちらも約2時間で完売という絶大な人気です。
よもや、下積み時代に脱走を繰り返してきた力士とは思えないでしょう。6度、7度と言われているものの、本人も、
「わからない。今ではいい思い出です」
と渋い表情で振り返っていますが、部屋の関係者によると、「7回? そんなに少なくはない」
という声もあります。
部屋を逃げ出すと、決まって自宅へ。そのたびに、父の栄二さんが説得して一緒に頭を下げたそうです。中学から、そのまま相撲界に。それは大変な経験だったと想像できます。本気で相撲へ取り組むようになったのは、あることがきっかけでした。中学卒業といっても、相撲は3月場所が初土俵。区切りをつけることは叶わなかったのです。
そこで、栄二さんが脱走を繰り返すなど、腰が落ち着かなかった息子のために一計を案じた。母校、土浦一中の関係者へ、「卒業式をやってもらえないだろうか」と相談。遅れはしたものの、1人だけの卒業式が行われました。校長から卒業証書を手渡され、握手をした際、
「今度、君と握手をするのは、関取になる時だ。一生懸命、頑張ってほしい」。
高安は、涙を流してこの言葉を聞き、厳しい勝負の世界で生きていくことを誓ったのだそうです。初の平成生まれの関取は、こうして誕生しました。
スポットを浴びるようになっても、純粋で、生まじめ。大きな体に似合わず、手先が器用です。ピアノを弾くことも驚きのひとつですが、利き手の右だけではなく、左手での箸づかいもうまい。相撲界で、これを最初にはじめたのは、貴乃花だとか。引退しても続けており、体のバランスが良くなるとのこと。高安もすすめられ、器用に左手で箸を使います。
今日13日目は、日馬富士との大一番。
「これからの人生で大事な一番だと思います」
と高安は言っています。すでに白鵬戦は終了しており、ここは大関昇進を不動のものにするためにも、この日馬富士戦が、これからの相撲人生で大事な一番となるわけです。
5月26日(金) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」