大相撲夏場所11日目、初日から連勝が続く白鵬が単独トップに立ちました。それにしても、大関豪栄道を上手ひねりで下した一番は、お見事のひとことにつきるでしょう。
「これで(優勝は)決まりだな」
とたくさんの親方衆から、思わず声が漏れたほどです。当然、白鵬もご機嫌。支度部屋では、この日の一番を自ら解説しています。
「張り差しで右を差す。右四つになる。左上手をとって出る。3つ、4つ揃わなければ、なかなかできない。あとは、力と技だね」
と舌も滑らかです。
また、この日から3連覇を狙った稀勢の里が休場。それについても、
「今場所休んで、名古屋からと考えても良かったかもしれない。まぁ、10日間、よく頑張った」
と気持ちを代弁するように語っていました。
高安に頭をつけて勝った一昨日までは必死の土俵が続きましたが、この日豪栄道を投げ、日馬富士に土がついたことで、ようやく余裕が見えてきた白鵬。とにかく、今場所は存在感が違う。
振り返ると、去年の夏場所を最後に優勝から遠ざかっている。こんなことは、2006年夏場所で初優勝を飾った大関以来、なかったこと。一時は限界説もささやかれたほどですが、「ここにおれがいたよ、と見せつけたい」と気合を込めています。
白鵬が輝きを取り戻したのは、どんな要因があったのか。師匠の宮城野親方(元幕内、竹葉山)は、
「春巡業を休んだことが大きい。下半身と体幹を徹底的に鍛え直したのが良かったと思う」。
公にはしていませんが、春巡業を休み、モンゴルへ帰っていました。稀勢の里の台頭で危機を感じ、軍隊に依頼して、特別なトレーニングを行いました。ヨガなども取り入れた他、食事から見直したそうです。
とはいえ、本来は巡業に参加しながらそうしたことを行うのが、力士のつとめ。
表立っては言えません。裏を返せば、白鵬がそこまで追い込まれていた証でしょう。日馬富士とデッドヒートを展開していることに、
「みんな万全で出てきてほしい。おれが夢に見た4横綱時代になったのだからね。まさか、現実になるとは思ってもいなかった」
と話しています。毎場所、奮闘したひとり横綱時代を懐かしんでもいます。
場所前、両国国技館の館内に掲げられている2011年秋、九州と、自身の2枚の優勝額が下げられ、新たに稀勢の里の2枚にとってかわられたことも復活への起爆剤でした。1枚は東大阪市へ寄贈されることが決定。
2019年に開催されるラグビーワールドカップの開催地だけに、日本初のラグビー専用グラウンドとして開場した花園ラグビー場へ「ぜひ、飾ってほしい」という希望を持っています。
5月25日(木) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」