死にもの狂いです!大相撲幕下十九枚目・豊ノ島大樹(33歳)スポーツ人間模様

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勝負の世界の厳しさを、自ら示しているといえば、元関脇の豊ノ島でしょう。今場所3連敗後に2連勝。
昨日も、立ち合いでなりふり構わず張り差しから白星をもぎ取りました。

「相手の動きを止められるのなら、どんなことでもする。死にもの狂いです」

と言います。

「これまでは変なプライドがあった。だから、どうしても受け身になる。やはり相撲は攻めが大事だ」

と勝負に徹しています。
昨年の名古屋場所前のけいこで左アキレス腱を断裂。全休で十両へ陥落して、秋場所も全休を余儀なくされました。

一気に幕下となって、4場所目。天国から地獄、幕下では給料も出ません。

【大相撲五月場所(夏場所)7日目】○豊ノ島(おしだし)×駿馬=2017年5月20日 両国国技館 写真提供:産経新聞社

【大相撲五月場所(夏場所)7日目】○豊ノ島(おしだし)×駿馬=20170520両国国技館 写真提供:産経新聞社

33歳という年齢からも当然、引退の2文字が見え隠れしました。ところが、今年1月31日、4歳年長で弟弟子の間垣親方(元小結、時天空)が、悪性リンパ腫で急逝。

「けんかみたいな、けいこをして2人で三役にあがった。相撲をとりたくてもとれない。その分まで頑張って、もう一度、関取に戻る」

と誓ったわけです。
優勝決定戦まで駒を進めた力士が、幕下へ陥落したのは04年の北勝力以来、2人目。
169センチの小兵ながら、最高位は東関脇で、三賞10回、4つの金星と優勝次点が5回もある実力者でした。
そんな過去の実績もあって、今場所も豊ノ島の取り組みがあれば、支度部屋には報道陣が足を運びます。
加えて、その囲み取材には、一門を超え、親方衆も首を突っ込んでくるといった具合です。
九重親方(元大関、千代大海)が、2勝目をあげた一番を、

「今日は素晴らしい相撲だった」。

さらに、荒磯親方(元幕内、玉飛鳥)は3連敗の直後、

「受け身で勝とうとしている。それでいいのか」

とカツを入れたそうです。そして、豊ノ島は、

「大関から陥落して、関脇のあんまり星が上がっていない、琴なんとかさんからも言われた」

と明かしました。
琴なんとかさんとは、琴奨菊のこと。中学生からのライバルで、同期入門の間柄だけに、放ってはおけない。
これも豊ノ島の人柄がそうさせているのです。

家族の応援もエネルギーの源です。豊ノ島よりも身長が高い、沙帆(すなほ)夫人は、

「顔から弱気がにじみ出ている。そんな顔を見たくはない」

とピシャリ。今日は取り組みがありません。が、こうなると、勝ち越しの条件、残り2戦2勝は絶対です。

5月23日(火) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」

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