昨日27日、東京・両国国技館で行われた「社会人として守るべきルール・マナーについて」の講習会。久々に稀勢の里が公の席に姿をみせ、「しっかり調整してやりたい」と、5月14日に初日を迎える夏場所へ向けて、意欲を語りました。5月6日には、都内のホテルで昇進パーティーも控えている。こちらも、この手のお披露目では、過去最高の招待客が足を運ぶことは間違いなし、と言われています。
そんなフィーバーでも、本人は全く浮かれた様子はなし。むしろ、これまで以上に、自分へ厳しくなったとの評判です。心配されるのは、春場所で負傷した左大胸筋損傷、左上腕二頭筋損傷の回復具合。全治1カ月の重傷でした。これがどれくらい回復しているのか。
当の稀勢の里は、4月3日からけいこを再開。春巡業には参加せず、江戸川区の田子の浦部屋で調整を行っています。ところが、事前に完全非公開の通達があり、どんな状況なのか、全くわからない。当然、報道陣だけではなく、一般ファンにも公開してない。これは、リハビリを含め、稽古により集中したいという本人の強い希望からです。
部屋には、師匠の他に、入門時から付け人として基礎を叩き込まれた西岩親方(元関脇若の里)もいます。奇跡といわれた春場所の優勝の際も、千秋楽前夜に2人で、大逆転へ向けて作戦を立てた。授けられたのは、「左へ、左へ回っていけば勝てる」。なぜならば、対戦する照ノ富士の左ひざに、2カ所の治療あとがあったから。その通りの取り口で、本割と優勝決定戦で2連勝を飾りました。
ここ一番で発揮した、底力の源は先代親方直伝の食事。自身が糖尿病で苦労した経験から、愛弟子の食事にはとにかく気を配っていました。まさに、食育です。入門した鳴門部屋のちゃんこは、特においしいと評判だったのは、ちゃんこ番の力士も料理に土俵同様、魂を込めていたからでしょう。たとえばカレーライス。一見すると、ただルーだけのように見えますが、野菜が溶け込むまで、前日からじっくりと煮込んでいます。
稀勢の里がずっと病気や故障などがなかったのも、しっかりと体に良いものを摂り続けたからでしょう。新弟子の頃から、「人が残すものをしっかり食べろ」と指導を受けた。キャベツの千切りや、セロリなども喜んで口にする。外食の際にも、お寿司屋さんなどへ行くと、トロなどは口にしない。かっぱ巻きやのり巻きなどを食べる。現在、部屋近くのマンションでは、基本は自炊。賃貸で、家賃は9万円だそうです。
強くなってもおごった所がない。ひたすら、相撲道の求道者でい続けることは、並大抵の精神力ではありません。稀勢の里。存在そのものが、奇跡のような力士です。
4月28日(金) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」