世界が認めるそのスタート 陸上男子・多田修平(21歳)【スポーツ人間模様】

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多田修平

【世界陸上】ロンドンでの世界陸上の日本代表に選出された関西学院大の多田修平=西宮市・関西学院会館 2017年7月3日 写真提供:産経新聞社

陸上の世界選手権が4日(日本時間5日)、12年ロンドンオリンピックのメイン会場だったロンドン・スタジアムで開幕します。13日まで10日間の日程ですが、第1日の注目は男子100メートル予選。日本選手初の9秒台の期待がかかる3選手が準決勝進出を目指します。

東大阪市出身。中学時代は府の大会で100メートル5位入賞がある程度でした。しかし、花牟禮監督が「走りがいい。将来性がある」とスカウトし、研さんを積んでいます。卒業後、関西学院大へ進学。2017年6月10日、日本学生陸上で多田は素晴らしい走りを披露しました。準決勝で国内の競技会で日本人初の9秒台をマーク。追い風4.5メートルで参考記録になったものの、日本中が驚いた。決勝では、自己ベストを大幅に更新する10秒08で優勝。まぐれではないことを証明しています。

振り返れば、多田の名前が全国区となってからまだ3カ月も経っていません。5月21日、ゴールデングランプリ川崎で、リオデジャネイロオリンピック銀メダル、米国のジャスティン・ガトリンが優勝を飾っていますが、

「素晴らしいスタートを切った選手がいた。本当に驚いたよ」

2位のケンブリッジ飛鳥ではなく、3位だった多田の名前を最初にあげたのです。

急激に変わったのは今年になってから。大阪陸上協会が主催し、米国遠征が行われました。そこで、ジャマイカのアサファ・パウエルと合同練習するチャンスに恵まれ、スタートや筋力トレーニングのアドバイスを細かく受けたそうです。この出会いがターニングポイント。少しのヒントで眠っていた素質が開花したといいます。ちょっと信じられませんが、多田を取材した報道陣が異口同音話すのは、「賢い」。

これは高校時代、指導を受けた大阪桐蔭高陸上部・花牟禮(はなむれ)監督のおかげといえるでしょう。根性や忍耐などのいわゆるスポ根を排除。ただ、走るだけではなく、脳を活性化させるトレーニングを叩き込まれています。体育会系の部活では早朝練習を決まって行いますが、同校ではミーティングを通じ、脳トレやメンタルトレを推進しています。コツコツと積み上げ、パウエルとの出会いで開花しました。

体操の内村は「美しい体操」を目指していますが、多田のスタート、走りも実に美しい。日本陸連の伊東浩司強化委員長は、

「足の回転がこれほど美しいランナーを見たことがない」

と話しました。
勢いはロンドンへ移っても変わりません。

「プレッシャーは感じない。それが、ぼくの武器です。また、大会が大きくなればなるほど楽しい」

と言います。世界のトップとスピードを競う。まわりに引っ張られて、初の9秒台を、ぜひ。楽しみです。

8月4日(金) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」

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