第3改造内閣はポスト安倍のライバルを並べたしたたか人事【高嶋ひでたけのあさラジ!】

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8/9(水)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!①

ポスト安倍を狙うライバル並べ忠誠心を競わせる
6:30~ニュースやじうま総研!ズバリ言わせて!:コメンテーター鈴木哲夫(ジャーナリスト)

新閣僚

【安倍改造内閣2017】改造内閣が発足し、記念撮影に臨む安倍晋三首相と新閣僚ら 前列左から 石井啓一国土交通相、茂木敏充経済再生担当相、安倍晋三首相(手前中央)、麻生太郎副総理・財政金融相、野田聖子総務相 2段目左から 小此木八郎国家公安委員長、河野太郎外相、林芳正文部科学相、鈴木俊一五輪相、世耕弘成経済産業相 3段目左から 加藤勝信厚生労働相、上川陽子法務相、菅義偉官房長官、小野寺五典防衛相、吉野正芳復興相 4段目左から 斎藤健農林水産相、松山政司1億総括役相、江崎鉄磨沖縄北方相、梶山弘志地方創生相、中川雅治環境相 5段最終列左から 横畠裕介内閣法制局長官、野上浩太郎内閣官房副長官、西村康稔内閣官房副長官、杉田和博内閣官房副長官=2017年8月3日午後、首相官邸 写真提供:産経新聞社

来年の総裁選挙へ向けた流れを作るための改造人事

今月3日の内閣改造人事がさまざまな話題を生んでいますが、ジャーナリストの鈴木哲夫氏はとても計算された内閣だと分析しています。今回の改造人事の具体的なポイントについて解説していただきます。

高嶋)鈴木さんはいろんなところで政界の分析記事を書いていますけども。「見出しは自分で付けるわけではない!」といつもおっしゃっていますが、サンデー毎日で付けた見出しが「ポスト安倍封じ 見え見え内閣」(笑)。
それで実は安倍さんの今回の改造人事というのは非常にしたたかなもので、党内の権力基盤というものを掌握する、非常に極めて計算されつくしたものというのが鈴木さんの分析なのですよね。

鈴木)そうですね。安倍さんの周りにいるベテラン議員とかお友達とか言われている側近の方たちと話をすると、確かに言われてみればそうだなと。
つまり今度の内閣改造というのはとにかく支持率を上げる為に反省を表して頭を下げたりしながら謙虚に地味に、そして閣僚経験者を揃えてと、そういったある種の“守り”の改造だなんて言われていた。だけどよく見るとしたたかにしっかりと人事をやっているなということなのですね。
象徴的なのはやはり、来年の総裁選挙に出るという意思を安倍さんは見せてきましたよね、それで3期9年やって憲法改正も含めていろいろやるのだと。その為にはそこへ向けて自分が行ける流れを作らなければいけない、そのときに組織を統治していく方法が2つあるのですって。
ひとつは全部イエスマンを置く。これは当たり前ですよね、皆イエスマンならトップは安泰でしょう。
もうひとつは、ライバルを同じだけ、つまりポスト安倍を同じだけ抱えるのですって。例えば派閥均衡で全部の派閥に同じだけ与えるとか、とにかくライバルを中にズラッと並べると。

高嶋)今回はまさにそれですね。

鈴木)そうなのです。そうすると何が起こるかというと、ライバル同士だからみんなポスト安倍を狙っているわけで、そうすると一生懸命目立とうと思ってそれぞれが仕事をするじゃないですか。そうしたら内閣全体の仕事というのはすごくレベルが上がりますよね。
それともうひとつはやはり禅譲ですよ。安倍さんに「次は君だよ」と言ってもらえるように、これは嫌な言い方をすると忠誠を競い合うようなことなのです。それで安倍さんはその上に乗っかっていればもう全然安泰だと。


過去にも総理のポストを競うライバルを置いたことがある

鈴木)これ、思い出しませんか?かつてそういうことをやった人がいるじゃないですか。中曽根さんですよ。“安・竹・宮”。

高嶋)安倍晋太郎・竹下登・宮澤喜一……確かにね。

鈴木)この3人の実力者を要職に常に就けて、そしてライバルを競い合わせ、中曽根さんへの忠誠心も競い合わせたと。

高嶋)第1次中曽根内閣で安倍外務大臣・竹下大蔵大臣、第3次中曽根内閣では宮澤喜一大蔵大臣と。なるほど、ポスト中曽根の「次はあんただよ、一生懸命働きなさいよ」と。

鈴木)「まあ3人見るからね」という感じで、そうしたら3人はそれぞれ競い合っていい仕事をし、そして忠誠心を競い合うというね。

高嶋)まあ結果論で言えば中曽根さんのときは竹下さんだったのですけどね。安倍晋太郎さん、今の安倍総理のお父様は残念ながらお亡くなりになったので、体調を崩されたのが残念ですけども。元気だったらやっぱり総理になっているでしょうね。

鈴木)そうですね。だからそういう意味では統治していく、つまり求心力を高めていく人事というのはイエスマンを置く以外に逆にライバルを全部中に置くという方法もある。
今回の改造を見ると確かに派閥は全部均衡で、もう徹底的に敵にする石破さんだけは1人しか出ていませんけど、他のところはやはり同じだけ派閥に気を使っている。それからポスト安倍と言われている人たちも、岸田さんは外に出ましたが、政調会長です。河野さんとか野田さんとか、なるほどそういう統治だなと。


今回の改造内閣の最も危険な点とは?

高嶋)でもそうやって爆弾を抱えて、総理が余程信頼に足る「付いて行かなきゃ」というような人なら良いけども、もし仲間割れとかいろいろトラブルになった場合はむしろ怖いのではないですか?

鈴木)これは唯一危険なのは、そのライバル同士が全員手を組むことですよ(笑)。それぞれの派閥、岸田さんも何もかも皆が「よし、じゃあリベラルで纏まろう」なんて言ったら大変です。

高嶋)じゃあ今回は野田聖子・河野太郎・岸田文雄の3人くらいがとうとう閣内で。

鈴木)リベラルという意味ではもしかしたら括れるかもしれない。だからそういうリスクはありますが、そうなってくると必ず誰かがその中で「いや自分は……」と言って禅譲を狙ったりする。そういう意味では中々今度の内閣は、頭を垂れたけどもしっかりとしたたかにやっているなという感想ですね。

高嶋)やっぱり、流石政治家ですね。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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