長女死去も「みんなが勝たせてくれた」中日・森繁和監督(62歳)【スポーツ人間模様】

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前日、点灯した広島の優勝マジックが1日で消滅。中日にとって昨日の広島戦は、何が何でも勝たなければならない大一番でした。7-1の圧勝。大島はウイニングボールを森監督に手渡しました。

「娘のところへもって行けということだろう。みんなが勝たせてくれた。感謝している」。

森監督の長女、矢野麗華さんが乳がんのため7日、35歳の若さで亡くなりました。訃報を受けたのは、名古屋へ帰る新幹線の車中だったそうです。そのまま引き返して、8日の広島戦では再び、指揮をとりました。球団からは忌引きとして、そのまま付き添うようにすすめられたそうです。でも、森監督は、

「みんなと一緒にやらせてほしい」

と答えたということです。試合開始、2時間前、選手とスタッフが集められ、森監督からその話を伝えられました。

森繁和

【プロ野球中日対広島】試合前練習、中日・森繁和監督(右)と岩瀬仁紀=2017年8月8日 ナゴヤドーム 写真提供:産経新聞社

ところが、8日は1-1の引き分け。昨日の試合は、是が非でも勝たなければならない状況でした。なぜなら、選手全員が森監督を父親のように慕っているからです。

「監督のことを悪く言う人は、1人もいない」

と関係者が断言するほど。その求心力は想像以上です。

今季も開幕前、森監督は新外国人、ルーキーへグラウンドを整備するトンボの使用法を徹底指導しました。長嶋茂雄さんは、巨人の監督時代、

「トンボがうまい選手は、野球もうまい」

と、よく話していたのを思い出します。とりわけ、あまりトンボの経験がない新外国人へその使用法を手とり足とりで教え込む姿には、ジーンときました。開幕から5月までチームは低迷状態でしたが、6月は14勝9敗と持ち直しています。

これに喜んだのは、白井オーナー。

「この戦力でよくやっている。もう1年、やってほしい」

と報道陣には来季も続投を明言したのですが、当の森監督は、

「そんなことは聞いていない。おれは引き受けた以上、途中で絶対にやめないけど…」。

続けて、

「いつも1年契約のつもりでいる。でも、1年や2年で自分がやりたい野球を教えられたら、こんな楽な仕事はないけどなぁ」

と語っています。

プロの世界は勝敗がすべて。

「広島に独走してほしいよ」

と漏らしているそうですが、このまま指をくわえて待っているわけではありません。

「借金をひとつずつ返す。勝率が5割になったら、何かが見えてくる。見える気がする。その何かは、おれにもわからない」。

確かに優勝は無理でしょうが、CS進出の3位以内なら自力で勝負できる。終盤戦、中日が台風の目になるのではと感じます。

8月10日(木) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」

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