石破茂「アベノミクスとは別の薬を効かせなければいけない」
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8/22(火)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③
今後の見極めは自分自身にしかできない
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター石破茂(元防衛大臣、衆議院議員)
民進党代表選~前原氏と枝野氏の違いが明確に
来月1日に行われる民進党の代表選挙に立候補した前原誠司元外務大臣と枝野幸男元官房長官が昨日記者会見し、国政選挙での野党共闘や消費税増税を巡る考え方の違いが明確になりました。会見で前原氏と枝野氏は、いずれも安倍政権との対立軸を打ち出す方針を強調し、相次ぐ離党の動きを阻止するべく挙党体制を訴えました。
森田解説委員)蓮舫代表の辞任表明に伴う民進党の代表選挙は昨日告示されまして、前原元外務大臣と枝野元官房長官が立候補を届け出ました。来月9月1日の投開票に向けた論戦がスタートしました。争点は国政選挙での野党共闘や消費税増税、憲法改正への対応などということですが、昨日の共同記者会見で共産党を含めた選挙協力、野党共闘については前原さんと枝野さんの違いが明確になりました。
前原元外務大臣)政権選択をする選挙で、理念・政策が合わないところと、協力するということは私はおかしいと思います。
枝野元官房長官)現実に地域で頑張っている仲間たちを一人でも多く当選させる。そのことによって今の政治の暴走に少しでも歯止めをかける。これも私たちの大きな責任だと思っております。できないことはできない。しかしできることはできる。それがどこなのか最大限の努力をしたいと思っております。
森田)前原さんは選挙協力そのものも見直す意向を明言しています。消費税の増税について前原さんは「高級財源を担保する責任を持ちたい」とし、枝野さんは「現状は上げられる状況ではない」と否定しまして、こちらも見解が別れました。また憲法改正について前原さんは「時間をかけて憲法改正論議を進めるべきだ」とし、枝野さんは「憲法9条改定への反対」を明言しております。それから小池百合子東京都知事の側近、若狭勝衆議院議員は昨日もこの番組に出演しまして、年内の国政新党への結成に意欲を示しましたが、これについて前原さんと枝野さんは次のように述べています。
前原元外務大臣)小池さんが進めておられる都政については、私は一定の評価をさせていただきたいと思います。他方で、若狭さんがやられようとしているものは、小池さんとどれだけ連携されているかどうかもわかりません。理念、政策が一致をするところと協力すると。
枝野元官房長官)安保法制にも賛成し、アベノミクスにも賛成し、特定秘密保護法にも賛成し、共謀罪にも賛成してこられた方とは、我々とは立ち位置が違う。自民党の補完勢力の可能性が高いと見ざるを得ないと私は思っております。
森田)枝野さんはこのように小池新党については完全に疑問を呈しています。今日の産経新聞に出ました、産経新聞とFNNの合同世論調査を見ますと、民進党の支持率は6.9%で7%を割り込みました。低迷が続く民進党にとって今回の代表選、自民党に代わる政権担当能力を示せるかどうか正念場です。4月に長島昭久元防衛副大臣が離党。それから細野豪志元環境大臣も離党。その他、藤末健三参議院議員、横山博幸や木内孝胤の2人の衆議院議員も離党届けを出すということで、どちらが勝っても離党ドミノの静止、阻止が大きな課題となるのは間違いない状況です。
旧民主党のように政策的に一致しなければ組んでも失敗する高嶋)野党のことではありますが、敵ながらということで。見ていて今度の前原・枝野の論争はどう映っていますか?
石破)前原さんが言うことが正しくて、政策的に一致しないのに組んで結局失敗した例はたくさんあります。旧民主党がそうですよね。自民党を倒すということだけでやってきて、鳩山内閣、菅内閣はあの有様ですよ。だから政策が違ってもいいから組みましょうという失敗をやっちゃいけないということは、やはり民進党の全ての方が肝に銘じるべき。
高嶋)政治の基本はそこですよね。そこを崩してしまったら、誰でもいいということになってしまう。
石破)政権を取るということは誰でもできるかもしれない。そこから先はどうなるのでしょうか。日本はそんなことをやっているときではないと思いますが。
高嶋)ということは自ずからということになりますかね。
石破)それはわかりません。今の自民党に代わることが大事だという価値観もあるでしょうからね。民進党のサポーターの方や国会議員の方がどうお考えになるのか。他党たる私にはわかりません。
国会議員票では前原さんが有利高嶋)石破さんは安倍総理と争ったときに地方票では圧勝したけど、国会議員票で逆転されましたが、今度の前原・枝野を見ているといろいろ感じるものがありますよね。
森田)国会議員票では前原さんが有利ということです。ですから枝野さんがどこまで党員サポーター票などで挽回できるのかというところが確かにあります。
高嶋)党員はわかりますが、次の国政選挙に出馬予定の人とか、いろいろ範囲が広がっていて。
森田)公認候補の人もこの投票の権利があります。
高嶋)そうですか。今のところ前原さん有利と言ってかまわないと。
森田)今のところそう見られています。
クリアなはっきりとした政策方針を出すべき
高嶋)小池百合子さんと若狭勝さんの話が出ていますが、自民党の不人気というか支持率が落ちてきています。『受け皿論争』に対しては小池さんと若狭さん、今度また新しく政党を作ると言っている流れに対してはどんなお気持ちですか?
石破)それは自民党と全く違わなくてもいいのであって、基本的な政策は一致して構わない。ですから消費税どうしますか、消費税を上げると言ったって社会保障の改革をどうしますか。消費税があげられる経済的環境って何ですか、憲法9条どうしますか。そういうことに対して「こうだ」というクリアなものがないと、あーだこうだと議論している時間はないと思っています。小池さんにしても練達な政治家ですよ。前原さんもそうだとしたら、みんながわかるように議論して、どっちでも取れるようなことはもうやめてください。自民党との違いをとくに際立たせる必要はない。こっちの方がよっぽど実行可能性があるね、こっちの方が説得力あるねとやってもらいたい。野党がピリッとしないと自民党だってピリッとしませんから。
高嶋)対立軸として、一番怖さを感じるのは小池さんですか?
石破)小池さんそのものは自民党三役までやって、大臣も2回か3回やっています。ずっと一緒に仕事をしてきました。小池さん自身はある意味で卓越した政治家だと思いますが、それに連なる人たちはいったいどうなの?と。小池さんのイエスマンを並べているのであれば、それは決して良いことではない。そういう人たちの顔は全然見えない。
高嶋)理想論ではそういうことですけど。要するに賛成反対の要員と考えれば、何か動きやうねりを起こして世論を吸収することができると、この間の都議会議員選挙みたいな現象ができなくはない。
石破)その後をどうするかですよね。天下だけとっても後はしないでは困るので。いやしくも都会議員、あるいは国会議員たらんとする人だから、単なる賛成要員では困るわけ。だから選挙が終わっても常に有権者との対話やインターネットでの発信も常にやってもらわないといけない。
アベノミクスとは別の薬を効かせなければいけない高嶋)石破さんのご自身の政治家としての矜持、これからの自分が歩むべき道をいろいろと考えて。例えば早期の解散がある、なくても来年の12月までには任期がくるわけで。どういうふうな政局というのを描いていらっしゃいますか?
石破)政局はすごく不得手なので動きませんが、何を取るかということですよね。消費税は上げざるを得ません。ですが上げられる環境って何ですか。やはり地方創生というプラジェクトは、アベノミクスって中央と大企業には非常に効きました。だけど地方と中小零細はどうだろうか。とくにGDPの7割を占めるサービス業ってどうなのか。農業・漁業・林業はどうだろうか。アベノミクスとは別の薬を効かせなければいけない。だからそれをきちんとやって、消費税が上げられる環境を作らなければいけないし、格差が開くということは決して良いことではないので、そうやって縮めていくのかに対し、具体的に「こうだ」と示さないといけないです。
高嶋)いずれ安倍内閣は終わるわけですよね。今までやってきたアベノミクス。日本はものすごい借金を背負っていて、もしその借金をポーンと自分に渡されたら恐ろしさを感じません?
石破)恐ろしいですよ。常に恐ろしいです。
高嶋)後始末は俺かよ、みたいになったら。
石破)でも誰かがやらないといけないことでしょう。
高嶋)けっこう腹が座っていますね。
石破)それはしょうがないですよ。もう30年もやっていますから。そこで失敗したら政治家にならないほうがよかったということですよ。その見極めは自分以外できないので。
高嶋)非常に決然たる一言でした。
高嶋ひでたけのあさラジ!
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