佐藤優 北方領土のメドヴェージェフ・プーチン・安倍の構図

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8/24(木)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!②

北方領土を経済特区に指定する文書に署名
7:03~ひでたけのニュースガツンと言わせて!:コメンテーター佐藤優(作家・元外務省主任分析官)

北方領土問題を裏で操るメドヴェージェフ首相とは?

北方領土を経済特区に指定するという主旨の文書にロシアのメドヴェージェフ首相が署名をしました。北方領土問題といえば安倍総理とプーチン大統領のイメージが先立ちますが、このメドヴェージェフ首相の実態について元外交官の佐藤優氏が解説します。

高嶋)佐藤さん、今日の産経新聞の一面トップの記事が「ロシア 色丹島に経済特区」ということで、私はいよいよ日本と今までやっていたあの共同経済活動の事業絞りというか、そういうものがまとまってきたのかなと思っていたのですが、出て来たのがメドヴェージェフ首相で、北方領土を経済特区に指定する文書に署名というので、これは逆の話なのですね。

佐藤)その通りですね。このメドヴェージェフという人が出て来ると悪い方向に進むというのが決まっているわけです。この人は本当に確信を持って北方領土問題の解決を阻止するという考え方を持っていますから。

高嶋)また北方領土によく行くのですよね。

佐藤)よく行きますね。それはプーチンが逆に行かないですからね、日本を刺激しないようにということなので。だからその点においてメドヴェージェフとしてはプーチンを牽制しているのですね。要するに「お前譲歩するなよ」と。

高嶋)それはどういう意味合いですか?

佐藤)大統領選挙に関してメドヴェージェフは豪邸を持っているとかあるいはヨットを持っているという疑惑があるからもう立てないわけですよね。でもおそらくそれはプーチンサイドが牽制したわけですよ。
そうするとメドヴェージェフの方としては第2次プーチン政権、来年の選挙でプーチンが再選された後に自分が生き残ることを考えているわけですよね。その為には自分の支持基盤を強化しなければいけない。極東あるいは漁業関係者、こういった形で北方領土問題でプーチンがやることによって利益を失いそうだという人たちを今一生懸命味方に付けているわけです。だから基本的に内政の話なのですよね

高嶋)以前は大統領と首相というのは何となく2人で上手くやっているような印象があったのですけど、今はどうなのですか?

佐藤)基本は上手くやっています。個人的には悪くないですよ。

高嶋)タメですか? 舎弟ですか?

佐藤)それは舎弟です。完全に親分子分で“兄弟”ではないです。
それはどういうことかと言うと、メドヴェージェフはメドヴェージェフを支持しているいくつかのグループがあるのですよ。プーチンにはプーチンを支持しているいくつかのグループがある。そのグループ同士の利益がぶつかっている。
だからメドヴェージェフもそういう意味においては自分の判断で動いているというよりも自分を支持しているグループ、サハリン州なり漁業関係者で動いている。


メドヴェージェフとプーチン、日本とロシアの今後の関係

高嶋)そうすると肝心要の安倍総理はプーチンさんとよく会っていて、それで2島返還、先行返還論とかいろいろ出ていますけども、そういうものというのは皆駄目になっていくということですか?

佐藤)そういうことにはならないです。というのは、日本との間の共同経済活動をしてもあくまでもロシアの法律に従っているという読み方がロシアはできるはずなのです。そして日本は日本の法律に従っていると。
例えば北方領土に墓参とかビザ無し訪問に行きますよね。あれは日本からすると「パスポートを持っていない」「ビザを持っていない」とロシアの法律に従っていないということを言っているのですけども、ロシアはそう言っていないのですよ。ロシアでは身分証明書という紙をパスポートとしてみなしている、だからパスポートと一緒だと。それから挿入紙という紙はビザとみなしていると、こういうことなのです。だからロシアはロシアとして常にロシアの法には適応しているという解釈をしているわけですから、それ自体は問題にならないのです。

高嶋)でもそういう解釈があっても、例えば色丹なら色丹に朝鮮や中国などの外国企業が入って来てしまって、もっと建物が建って漁業もガンガンやって、日本が入る余地が段々無くなっていくということになりませんか?

佐藤)それは来ないですよ、全然ビジネスとして成り立たないから。既にビジネスとして成り立つ部分は全部ロシア企業が食べちゃっていますから。

高嶋)じゃあ安倍さんとプーチンさんの話は生きていると?

佐藤)もちろん生きています。それから仮に例えばどこか朝鮮企業とか中国企業が入るにしても、多分そういったときには日露の合弁会社を作るわけですよ。その規則というのは日本の規則でもあるわけですから、それに従って外国企業が入って来るということだったら別に日本からすれば問題無いわけです。

高嶋)じゃあプーチンさんとメドヴェージェフさんの関係も壊れないし、ロシアと日本の関係も交渉事はそのまま続くということですか?

佐藤)そういうことです。ただこれからメドヴェージェフによるこういうような仕掛けというのはどんどん起きるでしょうね。

高嶋ひでたけのあさラジ!
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