巨人・畠世周 斉藤コーチに言った弱音とは?
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名前は世周。父・英彰さんが「世の中が、自分にとってプラスに回るように」と願いを込めてつけられたそうです。昨日の阪神戦に先発し、7回を1安打無失点。11奪三振という快投を披露し、4勝目をあげました。昨年10月、ドラフト2位で巨人から指名を受けて入団。ところが、決まったとたんに、右ひじの手術を受けるというニュースが流れたのです。
当初、全球団が上位でリストアップしていた。3年秋のリーグ戦で3戦連続完封するなど、右の本格派として注目されたのです。しかし、4年になると右ひじの遊離軟骨のために、思うような活躍ができない。スカウト陣の要チェックから漏れていきました。手術をしなければならないことがわかっていたから。でも、巨人の山下・前スカウト部長は、近大出身です。簡単な手術で直る。そうした情報を収集していただけに、2位で指名した。大正解。
4月には実戦復帰し、7月6日の広島凱旋登板で1軍デビューを果たします。ところが、緊張しているのは一目瞭然。4回を5安打4失点と力を出しきれなかった。でも、巨人は大竹、内海、山口俊が不振。先発が足りない。まさに世の中は、自分にとってプラスに回った-ということでしょう。第4の先発として、今は欠かせない。もし、畠がいなかったら、チームはどうなっていたか。
いわゆる、野球バカではありません。子どもの頃からプロを目指していたわけですが、独自の考えを持っていた。
「どうしたら、体を鍛えられるか」
と英彰さんへ質問すると、
「農作業が一番いい」。
そこで農業を手伝うようになりました。
「田んぼで足を動かそうとすると、まともに抜こうとしても、なかなか…。それを外から回すようにすると、楽になる。同時に、股関節も鍛えられた」。
確かに英彰さんも、アスリートではないのに体ががっしりとして、とても軸がしっかり。論より、身近な証拠というわけでしょう。多くの三振を奪う、投球フォームも農作業から得たのです。一方で、
「モーツアルトが好きで、毎晩、聴いている」
というクラシックファン。これまた、プロ野球界には珍しいことでしょう。
7月、故郷の呉市観光大使へ就任。新たな肩書を得ました。取材などで、名刺を出して、あいさつを受けると、
「ぼくも出します」。
これがユニークです。呉市海事歴史科学館・大和ミュージアムの優待券がついている。
「ぜひ、お出かけください」
としきりにアピール。このあたりも既成のプロ選手とは違います。
そうはいっても、課題はたくさん。カギはメンタルだとか。7、8回でコーチから、
「まだイケるか?」
と声をかけると、
「もういっぱい、いっぱいです」
という言葉が少々、気になる。斎藤コーチは、
「藤田(元司)さんに、いっぱい、いっぱいです、なんて、とても言えなかった」。
だから、強い精神力で、ミスター完投とも呼ばれるように。尻を叩いて、大成させようと、必死です。
8月28日(月) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」