男子体操の次世代エースとして期待されている白井健三(しらい・けんぞう)選手。体操の世界選手権、カナダ・モントリオール大会。白井が種目別の床で2大会連続の金メダルを獲得しています。2位に1.100点差をつける圧勝に世界が驚きました。個人総合で銅メダル、さらに、男子跳馬で金メダルを獲得し、三つめのメダルとなりました。
エース、内村の故障には肝を冷やしたものの、日本勢が個人総合で11大会連続の表彰台に上がりました。ただ、白井は、
「(内村)航平さんが出ていれば、4位でしたね」
と謙虚に語っています。
まだ、21歳。ただ、世界選手権で7つのメダルをモノにしています。これは、あのムーンサルトで有名な塚原光男の6個を超えました。
「練習では、ある程度の力でしかやっていない。でも、本番で考えられない力が出ると、とてもいい結果が出ます」
要は、力をセーブして、大一番に強いことを証明しています。とりわけ、床は、ひねり王子の冠があるようにスペシャリストの域。
「ぼくにとって、食事を摂ったり、眠ったり、お風呂へ入るのと同じ感覚。自分のために演技をしている。だから、プレッシャーはありません」
と心強い。そうはいっても、日本の体操はお家芸のひとつ。2020年、東京オリンピックへ向けて、さらなるスーパースターを育成しなければなりません。これまで体操界をけん引してきた、内村が今大会、個人総合の跳馬で左足首を負傷し、よもやの棄権。28歳という年齢を考慮しても、誰が次に来るかでしょう。
白井を個人総合へ抜てきしたのは、そんな狙いもあります。スタンドから演技を見守った内村は、
「着地でミスがあった。デキ次第では金メダルもあるんじゃないかなと思っていた」
さらなる飛躍を期待した様子です。東京オリンピックでは、競技時間短縮を目指し、団体の代表を5人から4人へ減らす予定。銅メダルを獲り見事、期待に応え、今後に期待が高まります。
日体大在学中ですが、8月からはマネジメント事務所がつきました。現在、アスリートの世界は、20年へ向けて選手をいかに抱えるかの争奪戦が展開されています。そんな状況も、より高い自覚をうながしたのでしょう。世界選手権前から、
「チームを背負っていかなくてはなりません。いつまでも、航平さんばかりに頼っているわけではないですよ」
一方、種目別の床の前には、
「とても状態がいい。演技には、きっとぼくが一番、感動するんじゃないかな」
と自信たっぷりでした。なるほど、最も美しい演技者へおくられる、エレガンス賞も手中にしています。選考では、美しさだけではなく、技の完成度やカリスマ性まで評価を受けました。冨田洋之、田中理恵、通算3度の受賞歴がある、内村に続いて日本勢では、4人目。
そして、同一種目別で3度の世界一は、日本初という快挙まで達成した白井は、どこまで内村へ迫れるでしょうか。ますます興味がわいてきました。
10月9日(月) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」