そもそもヌードだった?世紀の名画『モナ・リザ』を巡るミステリー
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今日は、かのレオナルド・ダ・ヴィンチが描いた女性の油絵、ご存じ『モナ・リザ』にまつわるお話。
16世紀のはじめに描かれた、この『モナ・リザ』。「世界でもっとも知られ、もっとも見られ、もっとも歌われ、もっともパロディ作品が作られた美術作品」といわれているのだそうで…なんと毎年、約600万人もの人々が、『モナ・リザ』を見るために、ルーヴル美術館を訪れています。
さて… 描かれてから実に500年以上が経過した、この『モナ・リザ』。ある時は、フランスの王様、ルイ14世の所有物となったり、またある時は、あのナポレオンの寝室に飾られたという、まさに伝説上の油絵なのですが…実は、ほんの最近!ここ数年の間に、『モナ・リザ』にまつわる新たな発見が次々となされている…というんです!
■モナ・リザは、もともとヌードだった?
まずは、なんとあのモナ・リザがもともとは「裸婦像」…つまり、ヌードだったかも(?)という話。19世紀の末あたりから、パリ北部の「コンデ美術館」という小さな美術館に、木炭で描かれた作者不詳のデッサン画がひっそりと飾られていました。ところが… つい先ごろ。世界に冠たるルーヴル美術館の学芸員たちがこのデッサン画をつぶさに調べてみたところ、なんと!「この絵は、レオナルド・ダ・ヴィンチが、モナ・リザの準備段階として描いたものである可能性が高い」ということが分かった… というんです!
学芸員たちは、この絵がダ・ヴィンチの作品であり、モナ・リザの前段階の作品だとする根拠をいくつか挙げています。たとえば…
・「2つの絵の手と体の位置が、ほぼ同じ」
・「2つの肖像画の大きさも、ほぼ同じ」
・「柔らかな表現方法が、ほぼ同じ」
これがもし本当だとしたら、まさに美術史がひっくり返るような大発見です。果たしてモナ・リザはもともとヌードだったのか、否か?鑑定はいまも慎重に続けられている… ということなんです。
■モナ・リザは、なぜ「絶世の美女」ではないのか?
続いての『モナ・リザ』を巡るミステリー。こんなことを言うと奇妙に思うヒトもいるかもしれません。「モナ・リザは、なぜ、絶世の美女ではないのか?」でも…どうですか? モナ・リザの顔を見て、本当に、美女だと思いますか?「謎の微笑(ほほえみ)」は最高だ!」「これぞ絶世の美女だ!」… な~んて、本気で思ってますか?
実は…この「謎」は、昔から美術界のエライ人たちのアタマを悩ませてきました。天才・ダ・ヴィンチがその気になれば、絶世の美女を描くにはいとも簡単だったはず…。ところが、『モナ・リザ』が描かれた15世紀後半の美的感覚に照らしたとしても、モデルの女性がけして若く美しくは描かれていないからです。
実は、日本の有名な小説家も早くからこのテーマを取り上げています。文豪・夏目漱石の短編集『永日小品』(※明治42年)に収められている作品では、『モナ・リザ』が非常に珍しい見方をされているんです。一部分を少しだけご紹介しましょう。話はまず、井深という名前の主人公が『モナ・リザ』の模写作品を古美術商で八十銭で買い入れるところから始まります…。
井深がこの上半身の画像を抱いて、家へ帰ったのは、寒い日の暮れ方であった。
壁へ立て掛けて、じっとその前へ座り込んでいると、洋燈をもって細君がやって来た。
井深は座ったまま細君を顧みて、どうだと聞いた。
細君は、しばらく物も言わずに、黄ばんだ女の顔を眺めていたが、
やがて、「気味の悪い顔です事ねえ」と言った。
さらに細君は、「この女は何をするか分からない人相だ」「見ていると変な心持ちになる」と言った。
井深は、この縁起の悪い画を、五銭で売り払った。 (※一部中略)
…どうでしょうか? 明治後期の当時、まだ日本では『モナ・リザ』が有名ではなかったのですが…あの天下のモナ・リザが「気味の悪い顔」と断じられるなんて、ちょっと珍しいでしょう? そう言われてみれば漱石の見方が当たっているような気も…?
さて、モナ・リザのモデルは、フィレンツェの商人「フランチェスコ・デル・ジョコンド」の奥さん、「リザ・デル・ジョコンド」とされています。ところが…この「ジョコンド夫人」。モナ・リザが描かれた1503年当時、まだ「24歳」であったことが判明しているんです。でも、どうみても『モナ・リザ』は、24歳には見えません。もっと年齢が高い… 言ってしまえば、40の坂を越えているように見えます。
いったいなぜダ・ヴィンチは、わざわざうら若きジョコンド夫人を年増の女性に描いたのか?これがモナ・リザを巡る、最大のミステリーとなっているわけなんです!
■もう一枚、「若いホンモノのモナリザの絵」が存在した?
さて…意外と知られていないことなんですが、実は、実は…同じくジョコンド夫人をモデルとした、明らかに若く見える“もう一枚のモナ・リザ”がちゃ~んと存在している… という話をご存じでしょうか。
ロンドンのアイルワース地方に保存されていたということで、通称『アイルワースのモナ・リザ』と呼ばれている、この作品。長らくダ・ヴィンチの手になる作品なのかどうか、意見が分かれていたのですが…これまたつい最近、2012年。10年以上に渡り、科学的な調査を続けていたスイスの「モナ・リザ財団」というチームが、こんな発表を行なったんです。
「この“アイルワースのモナ・リザ”は、まぎれもなく、ダ・ヴィンチの作品である」
「そして、ルーブルにあるモナ・リザの初期バージョンである」
「こちらこそが、モデル本来の姿に忠実である。いわば、元祖モナ・リザなのだ!」
要するに、さまざまな研究成果が真実だと仮定すると、こんな結論が浮かび上がってくるんです。
① ダ・ヴィンチは、24歳のジョコンド夫人をモデルに、木炭を使って裸婦像のデッサンを描いた。
② さらには同じくジョコンド夫人をモデルに、「アイルワースのモナ・リザ」と呼ばれる油絵を描いた。
③ ところがダ・ヴィンチは、「アイルワースのモナ・リザ」の出来映えにあまり満足がいかなかった。
そこで、同じ構図を使って新たに自分の理想とする女性像を描いた…。(つまり、ダ・ヴィンチは、「熟女好き」だった…?)そしてそれこそが、現在、ルーブル美術館に飾られている「モナ・リザ」なのだ!
もちろん、いまだ各国で様々な研究が続けられておりまして、この結論が本当に「真実」なのかどうかは、明確にはなっておりません。でも… あの謎の微笑が、いまだに世界中の研究者たちを惑わせているのは、まぎれもない事実なんです。
ここ数年来、オドロキの研究成果が矢継ぎ早に発表されている、「モナ・リザ」を巡るミステリー。
アナタは、どう思いますか?
11月1日(水) 高嶋ひでたけのあさラジ!「三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より
高嶋ひでたけのあさラジ!
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