日馬富士暴行事件~相撲協会の役割とは何か?

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11/27(月)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③

鳥取県警は年内に日馬富士を「傷害容疑」で書類送検する見通し
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター須田慎一郎(ジャーナリスト)

白鵬 八角理事長

【大相撲十一月場所】千秋楽、協会御挨拶で言葉を詰まらせる八角理事長、白鵬(右)=2017年11月26日福岡国際センター 写真提供:産経新聞社

九州場所千秋楽にて、相撲協会の理事長が異例の謝罪を行った

横綱日馬富士が、平幕貴ノ岩を暴行した問題は、今日、東京の両国国技館で開かれる、日本相撲協会の諮問機関「横綱審議委員会」の定例会合で議論され、真相究明に向けた取り組みが本格化します。

昨日の九州場所千秋楽では協会挨拶で、八角理事長による異例のお詫びをしました。横綱白鵬は優勝インタビューで「場所後に真実を話し、膿を出し切って、日馬富士と貴ノ岩を再び土俵に上げたい」と話し、館内に万歳三唱を促しました。これについては若手の親方の中から、「酒の席に同席した人間が万歳三唱を促すなんて、信じられない」と指摘する人もいました。一方、横綱審議委員会は今日の夕方、定例の会合を開きます。協会の危機管理委員会の調査内容などを聞いたうえで議論する予定で、処分問題について話し合う可能性もあります。

ただ、危機管理員会は、暴行を受けた貴ノ岩を聴取できていないので、今日は中間報告に留まる見通しです。横綱審議委員会では、「横綱としての体面を汚す場合」等、全委員の3分の2以上の決議により、激励・注意・引退勧告を行うことができます。2010年には、知り合いへの暴行問題を起こした朝青龍に対し、引退勧告書を出しています。

警察の動きですが、鳥取県警は、九州場所が終わったことで、今週、日馬富士を再聴取すると同時に、白鵬についても、参考人として聴取する方向で調整しています。捜査関係者によると、日馬富士は「酒を呑んだ上で、貴ノ岩の態度に腹を立て、素手やカラオケのリモコンで殴る等した」と説明しているとのことで、鳥取県警は年内にも傷害容疑で書類送検する方針になっています。

貴乃花

【大相撲十一月場所】十三日目、会場入りする貴乃花親方=2017年11月24日福岡国際センター 写真提供:産経新聞社

相撲協会の最大の役割は2度と事件を起こさないよう「再発防止策」を講じること

高嶋)テレビのワイドショーはこの話題で持ちきりですね。いくつかの視点があります。1つは、内部調査というものが、鳥取県警と並行して行われていますが、貴乃花親方が、弟子である貴ノ岩をまったく正面に出さず、自分も何も言わず……つまり、司直の手にゆだねていて。「これは相撲を越えた、暴行事件だ」ということで、「仲間内の情状酌量も何もない。カタはキッチリ付ける」みたいな、非常に頑固な態度で。どれだけ頭を下げられても、「貴ノ岩は出さない。証言させない」と。これで、みんながずっと止まってしまっている。

須田)確かに、高嶋さんが言うように、警察の捜査と協会の調査が並行して進んでいるからわけが分からなくなっています。ただ、貴乃花親方が言うように、「協会の調査に全幅の信頼を置けない」という気持ちも分からなく無い。
しかし、警察と協会は、役割が違うのです。「協会の役割は何か?」となると、いちばん大事なのは「再発防止策を講じること」なのです。警察にはそれができないのですよ。真相を究明して、責任の所在をはっきりさせて、責任を負わせるところまでしかできない。だとすると、貴乃花親方としては、きちんと協会の、真相究明のための作業にも手を貸すべきでは、と思います。この問題に決着を付けるには「2度とこういうことを起こさない」というところをきちんと決めていくのが大事なことなので協力すべきではと思います。

日馬富士

福岡空港に到着する日馬富士=2017年11月21日福岡空港 写真提供:産経新聞社

あらゆることが曖昧になっている

高嶋)厳しい人に言わせると「暴行傷害で取り調べられたような経歴の人を、現役力士の中では「神」とも崇め奉られるべき横綱が、再び土俵に上るのは、あり得ない」という声もあります。
朝青龍のときは、全く関係のない第3者(一般人)に暴行をしました。それで、功労金とか、ああいうのもいろいろ問題があって、「クビになったら貰えないから、自分で引退した」という話も伝わっているし。これはどうしますか? 長引いて、巡業とかにみんなで普通に行くのですか? もちろん、日馬富士は全休で出ませんが、相撲協会としてケリを付けないで、商売は普通にやっていくのですか?

須田)まあ、できないでしょうね。イメージの問題もあるし、もう1つは、所管省庁である文部科学省の動きもあるでしょうから。やはり最終的には決着を付けなければ、所管省庁も含めて、みんな納得しないでしょう。決着とは、先ほど申し上げた、「再発防止策を講じる」ということですけどね。

高嶋)人によって捉え方がぜんぜん違っていて。「モンゴルから来ている人は、母国と環境がぜんぜん違う日本の相撲社会に閉じこめられて。そりゃあ、憂さ晴らししたいときもあるよ!」と。「あれは身内の、仲間割れの喧嘩なのだからそんなに騒がなくてもいい!」と言う人もいます。難しい。

須田)ただ、「酒を呑んで、腹が立ったから殴ってケガをさせた」というのは、明らかな暴行事件ですからね。

高嶋)だけど、その「暴行された側」が何も言わないのですよ? 「旭鷲山にだけ、何か言った」というのも、真偽は分からない。親方はとにかく弟子の貴ノ岩を外に出さないのですから。
それでは、どの程度のケガを負ったのか……医者も喋らないでしょう? 最初に診断書を書いた医者は「そんなになるとは思わなかった。私がいちばん驚いている」と言っている。まったく、曖昧模糊としているのですよ。国技が泣いていると思います。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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