ティラーソン国務長官はこうして更迭となった
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12/1(金)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!②
後任候補にCIA長官のポンペオ長官
7:0 2~ひでたけのニュースガツンと言わせて!:コメンテーター宮家邦彦(外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所・研究主幹)
ティラーソンと外交官たちの関係はガタガタになってしまっている
ティラーソン国務長官は、職業外交官では無く、独自の部下を利用して仕事をしていた。その結果、国務省内部の人間関係はガタガタになってしまった。これについて、詳しい流れを開設する。
高嶋)アメリカのニューヨーク・タイムズの電子版が、「ホワイトハウスが、年内にもティラーソン国務長官を更迭し、後任にはCIA長官のポンペオさんの起用を検討していると伝えた」とのことです。私は、写真とかでティラーソンさんを見ていると、やはり、エクソンモービルの元トップだけあり、重厚で、幅の広い感じで。それで、「こういう人がいるから、トランプさんでも支えてもらっているのだろうな」と思っていたところ、宮家さんの評価はぜんぜん違うそうですね。
宮家)まるでダメですね、この人は。ビジネスマンとしては立派でしょう。ですが、アメリカの外務省である国務省。そこに職業外交官が何千人もいるわけですが、彼らとティラーソンの関係は完全に無茶苦茶です。そして、ティラーソンさんがいる7階の廊下には、どこから連れてきたのか分からないような若者が沢山いて。それで、職業外交官には何も言わず、大臣や長官と一緒に物事を決めて。もう、完全に分離してしまっている。
高嶋)7階には、ティラーソン国務長官の執務室があるのですよね。その廊下に?
宮家)ええ。その廊下に職業外交官ではない、外から連れてきた若者たちが、スタッフをやっていて。彼らを使って仕事して、下へおろすわけですよ。そうしたら、他の職業外交官はやってられないでしょう。
高嶋)6階から下の人は、ようするにプロ中のプロ……
宮家)職業外交官が多いですよね。それで、政治任用も決まっていないから、溝ができてしまった。日本でも昔あったでしょう。誰とは言いませんが……あのときも大変で、あそこまで酷くないかもしれませんが、やはりティラーソンさんも、外交官として、もしくは政治外交を担当する組織の長としては、彼は不適任だったと思います。
しかも、いくらおかしくても、ボスを「バカ」と言ってはいけない。それから、何だかんだで予算を30%もカットしているわけです。これはみんなが怒りますよ。ですから、組織をちゃんとリーダーとして運営できず、大統領との関係も悪い。
高嶋)では、とうとう「その日」が来るということですか?
宮家)そうです。
現在のアメリカの外交は、ホワイトハウスがメインで行っている
高嶋)次にやるポンペオさん。この人は良いのですか?
宮家)どうでしょうね。同じ穴のムジナじゃないかな? いままでCIAでクビになっていないところを見ると、まあ普通の人なのでしょう。ですから、ある程度のことはできると思いますが、私は未知数だと思うし、そもそも、推測ですが、現在アメリカの外交は、国務省はやっていません。やっているのはホワイトハウスの、安全保障担当補佐官と、それから首席補佐官。
高嶋)エンジンに例えれば、ドデカい高出力を持っているのに、機能していない、ということですね。
宮家)ええ。残念ですけどね。まあ、そういうことはあるのですよ。昔もあったから。
高嶋)えっ、そうなのですか。いまのイランとか、北朝鮮とか、けっこう「これはヤバい」というのが沢山あるじゃないですか。
宮家)ええ。でも、恐らく彼はそれらの政策決定には関与していないと思います。外されてしまっている。だから溝ができて、更迭という話になっている。
嫌われ、信用されていない外務省外交官
高嶋)でも、それで「国務省が機能しないからホワイトハウスで」となると、例のおなじみのメンバーが大統領の周りにいて、グチャグチャやっているだけでしょう?
宮家)でも、あっちの方がまともなわけですから。
高嶋)まともなのですか?
宮家)あちらの方がまともです。ですから、いま国務省では、いい人がどんどん辞めていっている。ですから、やはり、いい人を集めなければいけない。こういう組織の運営をやっていれば、ティラーソンさんがクビになるのは当然です。
高嶋)「集めなければ」はもちろんですが、いままでの実績があり、力のある人を使いこなさなければいけないのですよね。
高嶋ひでたけのあさラジ!
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