契約更改を済ませ、書道八段の腕前を披露。『今日打たないと 明日はない』と記しています。座右の銘は今シーズンまで、「今日が終わったら また明日」でした。プロ5年目に賭ける意気込みがうかがえます。
1週間前、最初の契約交渉へ臨み、約1,600万円の提示を保留。西武の契約交渉は全員が一発サインすることで知られている。山川以前に、サインをしなかったのは、2010年の涌井、中島の二人だけ。2度目の交渉で金額が上がることはまずない。ところが、
「納得して、来年へ向かうために保留しました。今年は、自分に自信があった。決めているところがある。1週間経って、ぼくも考え、球団にも考えてもらった」
と、2度目の交渉で、1,600万円から、倍増の税抜き3,000万円。税込み3,240万円でサインをしています。また、フロントからは、複数年契約も提示されましたが、
「甘くなるので、1年に」
と固辞。来季はもっと飛躍できる自信があるからです。やはり、年俸5億円のメヒアを退けたことが大きい。78試合の出場ながら、打率2割9分8厘、本塁打23本、61打点は立派です。
「守備ができない。だから、メヒアに打ち勝つしかありません」。
チームは当然ながら、それ以外にも大きな期待をかけた人がいました。侍ジャパンの稲葉監督です。オーバーエイジ枠で4番に起用。大接戦の韓国戦でホームランを放っています。
今季は5月に不振で2軍落ちして、7月に再昇格。2位に躍進した原動力になった。「コーラが飲料水」と豪快に語り、軽く1.5リットル以上を飲みほしていましたが、1軍へ戻ると、コーラはあくまでご褒美にと、500ミリリットルに制限しました。
大好きなものを抑えて、練習に精を出したのです。こだわりは、筋力トレーニングをあえて行わず、
「バッティング練習では、全身をつかってマン振りする。でも、試合は全力でバットを振りません。心掛けているのは、ボールをバットの芯に当てることだけです」。
加えて、体を大きく見せたいからと、ユニホームは、あえてワンサイズ、大きめのものをオーダーしています。176センチ・100キロの体形は、対戦投手へプレッシャーを与えることになる。なかなかの策士です。
もうひとつ。こだわりがある。ヘルメットです。かつて、長嶋さんが、空振りでもヘルメットを飛ばして、ファンを魅了しました。山川も同じことを考え、サイズの大きいヘルメットを使用。オールドファンには、たまらないでしょう。
ホームランに人一倍のこだわりがあるのは、原点を忘れないため。高校1年で、野球をやめる決心をしたからです。当時の野球部は、超体育会系で、山川も雰囲気になじめない。登校拒否になりそうだった時期があった。そこで限界を感じて、今日で退部する、と決めた日。
「試合があって、初めてホームランを打った。もし、ホームランでなければ、ここにはいなかったと思う。だから、全打席でホームランを狙います」
の誓いを実践している。
そんな選手を見出して育てた、スカウトの目。長所を伸ばす西武の育成システムは、さすがです。
12月13日(水) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」