北朝鮮へのミサイル防衛~憲法改正を絡めた議論が必要
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12/20(水)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!②
陸上型イージス「イージス・アショア・サイト」を2基導入 2023年度頃稼働目標
7:02~高嶋ひでたけのニュースガツンと言わせて!:コメンテーター鈴木哲夫(ジャーナリスト)
「イージス・アショア・サイト」2基導入 秋田県と山口県で2023年度頃運用開始
日本政府は19日、北朝鮮の核・ミサイル開発の脅威に対し、ミサイル防衛として陸上型イージス・システム「イージス・アショア・サイト」を2基導入することを決定した。しかし更なるミサイル攻撃に対処する為、敵基地への攻撃が可能な長距離空対地巡航ミサイルの導入も検討しており、日本の憲法が掲げる専守防衛と安倍政権の憲法改正を絡めた議論が重要になるとジャーナリストの鈴木哲夫氏は指摘する。
高嶋)いよいよ「イージス・アショア・サイト」がずっとニュースになっていましたが、導入が決まりまして、2023年度頃の運用開始に向けて、置かれる先が秋田県秋田市と山口県萩市の陸上自衛隊の演習場が有力候補地だということです。
このイージス・アショアを南北に2つあると日本列島全土をカバーできると言っているのですが、そういうことを信じるとしても、何だか後ろにトランプ大統領のニヤっと笑った顔がどうしても浮かんでしまいますね。1基1,000億円と、まず値段のことで文句を言うとこれも随分高くなりましたね。鈴木)少し上がりましたよね。最初は800億円くらいでしたよね。でも兵器そのものの値段に定価があるわけではないですし、付随するものがかなりあります。本体を1つ買えばはい終わりというわけではありませんから、そういうことで値段が膨れ上がっていくのでしょう。ある程度ミサイル防衛ということで考えれば、今の北朝鮮の脅威に対してここまでは……というひとつの考え方であるのだろうとは思います。
高嶋)防衛予算も膨らまざるを得ないという北朝鮮の脅威ですね。
ミサイル防衛の“次の段階” 専守防衛と憲法改正を絡めた議論が重要
鈴木)この“次の段階”になってくると、敵地攻撃能力を持つかどうか、ここがむしろ議論を先へ進めるというか考えていかなければいけないと思うのですよね。
高嶋)弾道ミサイル防衛――BMDということを考えると敵地を攻撃する能力も自衛隊が持ってしまう。
鈴木)イージス・アショアもそうですが、少なくともこれで最低のことはやっていけるけれども、よく言われる北朝鮮によるミサイルの一斉発射があったときに、これでは対応に限界があるということです。じゃあ次はどうするか、敵地まで撃てるミサイルを持つべきだという議論になって来ているのです。
高嶋)それは憲法の“専守防衛”との絡みでこれから政治課題になっていくということですか?
鈴木)間違い無くそうなるでしょうね。野党なんかには「それは専守防衛の域を超えているだろう」ということを言っている人たちもいます。確かに専守防衛とは何なのかということになります。
それから集団的自衛権に絡めて言えば、アメリカの軍艦などが攻撃されたときにそれを我が国への攻撃とみなして敵地に撃って良いのか、そういう問題も出てくる。
それからこれはある与党の幹部の人と丁度今週話をしたのですが、その方が言っていたのは結局専守防衛で敵地を撃てるミサイル云々という問題もそうだけれども、専守防衛の話になってくると今同時並行している憲法改正の問題にも影響して来るのではないかと。つまり自衛隊を明記する、しないというのももちろんあるのですが、自衛隊がどこまで交戦権を認めるのかというのを明記するのかしないのかを含めて、9条の議論になって来るわけです。
ミサイルで専守防衛を超えて撃つのか撃たないのかという議論と憲法改正の議論がぐちゃぐちゃになって、全てが止まってしまう可能性がある。だからそういうことも含めて非常に大きな政治課題だと言っていましたね。高嶋)大変な現実論になって来たわけですよね。アメリカが東アジアに対して、ひょっとするとエルサレムの問題でこちらの防衛を少し弱めるかもしれない、そうすると日本は北朝鮮のターゲットに全部入っているわけだから、今までのように憲法第9条さえあれば日本は安泰だという、これが通用しなくなったわけですよね。当然のことながらそれに即した憲法改正をと、安倍さんも公演でそう言ったようですね、2020年と。
鈴木)まあ年限を区切るというのは果たして良いかどうか僕は疑問を持ちますけど、なぜ2020年なのかというのもありますし。だけど本当に北朝鮮の危機と専守防衛というこの間の議論というのは本当に国会で尽くさないといけないと思いますね。
高嶋ひでたけのあさラジ!
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