石破茂 新型迎撃ミサイル「イージス・アショア」の必要性は?
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12/15(金)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!②
中国が韓国のTHAAD配備に懸念する理由
7:02~高嶋ひでたけのニュースガツンと言わせて!:コメンテーター石破茂(自民党衆議院議員・元防衛大臣)
文在寅政権初の中間首脳会談 中国は韓国の防衛ミサイル配備に強い不快感
文在寅大統領は14日訪問先の中国で習近平国家首席と会談し北朝鮮の核・ミサイル開発問題への考えを改めて再確認したが、中国側は韓国の終末高高度防衛ミサイル「THAAD」配備に強い不快感を表している。韓国や日本など北朝鮮のミサイルの脅威に晒されている国々がミサイル防衛システムを導入する重要性について元防衛大臣の石破茂氏が専門的見解から解説する。
高嶋)中韓首脳会談があったのでそこから北朝鮮問題を伺いたいのですが、中国側は韓国国内に配備される終末高高度防衛ミサイル「THAAD(サード)」というものに対して非常に神経質で「周知の理由で中韓関係は後退を経験した」と習近平国家主席は述べて、在韓米軍へのTHAAD配備に非常に不快感を示しているということなのですが。
文在寅(ムン・ジェイン)さんは人民大会堂で初めて会談して、最初の中国訪問なのですけど、これについてはもうどうしようもないというような印象を受けるのですけど、今中国と韓国の一番の火種というのはこれなのですか?
石破)まあ中国はミサイル防衛システムなんかを配備されてしまうと自分たちが持っているミサイルの効果がガタンと落ちるので。
日本が「BMD(弾道ミサイル迎撃システム)」を配備するときも中国は大反対しましたから、私は当時防衛庁長官でしたけど「何で反対なんですか? これはおたくがうちに撃つ物ではなくて、どこかが撃たなければ日本は迎撃ミサイルなんて撃たないのだから何が悪いんですか? 北朝鮮に対して我が国は持っている物で、まさか中国が日本に対して撃とうと思っているわけでは無いでしょう?」と言うと話が別の方に行ってしまうとか。それはもう皆分かっているので、迎撃ミサイルに反対というのは理屈からすると「自分たちが持っているミサイルの意味が無くなるからじゃないか」という話なのだけど「どこかが撃たなければうちは撃たないんだから」と言うとそこで話が止まってしまうのですよね。
高嶋)とても神経過敏になっているということですね。
トランプ政権は“サスペンスとディールの政権” 「前提条件無し」の北朝鮮との対話はどうなるのか?
高嶋)それと北朝鮮問題についてティラーソン国務長官が「前提条件無しで北朝鮮側と話し合う用意がある」ということをある公演で言ったのですが、これについて今日の新聞にもいろいろと書かれていますけども、石破さんの見解としてはどうですか?
石破)トランプ政権というのは“サスペンスとディールの政権”なので、言っていることが皆違うわけです。「何が本当なんだ?」と皆疑心暗鬼になってきて、そこでまたわやわやするわけですよね。そういう中で一番有利な状況を作り出してディール――取引をするわけだから、ティラーソン国務長官が言ったことをそのまま解釈すれば、今までは「核を放棄しろ。ミサイルも放棄しろ」というのが前提条件だったわけなのだが、それ無しというのは「あれ、そういう話はどうなったの?」ということになる。
ティラーソン国務長官が言ったこともアメリカの中のひとつの意見であって「そうなったらどうなるんだ?」ということを各国がまた考え始めるわけです。そういう効果があってサスペンスの状況が生まれている。どこでアメリカが一番有利な条件でディールをしようとしているのか、何を考えているのかということをこちらはよく慎重にかつ深く考えなければいけないことですよね。
日本にも導入が決定した陸上型イージス・システム「イージス・アショア・サイト」の重要性
高嶋)ときどきミサイルが日本列島上空を通過して、今年のニュースの中でも本当に驚いたニュースなのですけど。日本もいろいろと防衛体制を整えていて、地上配備型迎撃システム「イージス・アショア・サイト」2基導入とかいろいろとお金を掛けてやっているようですけど。これはトランプさんの商売心、ビジネスマインドに取り込まれているみたいな印象もあるし、この辺はどう見ていますか?
石破)このイージス・アショア・サイトというのは絶対に必要な物で、今日本近海にイージス艦を浮かべているわけですけどあれは人が動かしているわけで、24時間365日体制だからイージス艦に掛かる負担というのはすごいのですよ。地上に置いておけば船を動かす必要も無いし24時間365日より良い形で運用でき、その分イージス艦を他に回せるということがあって、これは必要な物なのです。ただ値段がどんどん上がるのでそこは納税者の利益をちゃんと考えないといけないですね。