外交から見る安倍首相の2017年
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12/29(金)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!①
もはや世界の長老となった安倍首相
6:31~ニュースやじうま総研!ズバリ言わせて!:コメンテーター宮家邦彦(外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所・研究主幹)
伊勢志摩サミットから1年あまり、残ったのはメルケル首相と安倍首相だけ
今年もあとわずか。この1年間、いろいろとあった安倍政権だが、ここでは安倍首相の外交の1年を考えていく。
高嶋)今年2017年の安倍外交を評価していただこうと思います。
宮家)去年、伊勢志摩でサミットがありました。あのときは安倍さんを入れて各国の首脳7人が来ましたが、その内、もう4人がいない。キャメロンがいなくなり、オバマさんは任期でいなくなり、イタリアのレンツィさんも、みんな国内で転けている。それからオランドも再出馬できなくなり、4人いなくなってしまった。結局生き残ったのは安倍晋三とメルケルだけなのですよ。
理由としては、これは日本の歴史の中で初めてじゃないかと思うのだけど、日本国内やヨーロッパで嵐のように吹き荒れている民族主義やポピュリズム(大衆迎合主義)、それを上手に抑えてきたのが、日本とドイツなのです。だからこそ長期政権があり、国内で不安定にならなかった。これがいま、やっと収穫期に来ているというか……トランプさんがやってきても、やはり日本の首相の言うことを聞くのですよ。こんなこと、いままで経験がない。
高嶋)史上初ですか?
宮家)初めてだと思います。むしろこっちからいろいろなことをインプットして。その中には、「インド太平洋戦略」という発想もあったし、それから北朝鮮に対する厳しいやり方。そして、中国とどのように付き合うか。これについても、いままでこれほど日米が、しかもトランプさんの元でこれだけ上手にやっているというのは、驚きですね。
もはや世界の首脳の長老格になる安倍首相
高嶋)トランプさんに会いに、いち早くトランプタワーへ行きましたよね。
宮家)ええ。飛び込みましたね。
高嶋)虎穴に入らずんば虎児を得ず……
宮家)あの人は、いい意味で「人たらし」だからね。やはりああいう変わった人たち。プーチンとか、ドゥテルテとか、トルコのエルドアンとか、イスラエルのネタニヤフとか、みんな一癖も二癖もある人たち。彼らに好かれ、誑し込んでしまう。これは政治家として、特に外交をやる意味では大事です。信頼関係がなければ、言いたいことも言えませんからね。
高嶋)それは、安倍さんにどのような資質があるから、それができるのですか?
宮家)やはり、そんなに「ギラギラしていない」のではないでしょうか? それと、言うことに筋が通っていれば、やはり通じるのではないですかね……
高嶋)けっこう言いにくいことも仰るのですか?
宮家)ええ。言いますよ。中身は知りませんが、プーチンとだって、相当突っ込んだ話をしているに違いないから。
高嶋)だけど、言っても「何だ、この野郎」とは思われない?
宮家)それは、誰でもそう思うときもあるかもしれませんが、全体として、やはり国内で支持を得て、政権が安定していて、国際会議を5年もやっていればね。何と言っても、いちばん長老格になっているわけだから。
長期政権が安定したことにより、ドイツも日本を評価するようになった
高嶋)世界の首脳から見れば、あんなトランプみたいな変わり者とゴルフしたり、調子よく喋っていろいろ引き出して協力関係を結んだり、あの技はたいしたものだと思うのでしょうね。
宮家)メルケルだって最近は日本を見直していますが、昔は中国ばかり行って、日本に来なかったのですよ。何故か分かりますか? 「日本は毎年総理が代わるから来てもしょうがない」と言われていた。「そんなバカな」と思うかもしれませんが、事実だったでしょう? けれど、5年続ければ、そりゃあ、みんな話を聞きたくなりますよ。
高嶋)いまや、メルケルさんと政権の基盤とか、逆転しましたからね。
宮家)そうですね。メルケルさんもこの間の選挙で対抗馬が出てきたから、気を付けないと。
高嶋)ということは、伊勢神宮参拝も気持ちいいでしょうね。
宮家)いや、だけど一寸先は闇ですよ……
高嶋ひでたけのあさラジ!
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