南北閣僚級会議~北朝鮮の軟化のシグナルは何を示すのか?
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1/9 (火)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!②
板門店で当局者会談開催
7:02~ニュースやじうま総研!ズバリ言わせて!:コメンテーター富坂聰(拓殖大学教授・ジャーナリスト)
本日、南北閣僚級会議が板門店で開催
北朝鮮と韓国は、本日午前10時から、南北閣僚級会談を行う。一見は軟化の姿勢を示しつつあるように見える北朝鮮。南北の外交について、北朝鮮ウォッチャーでもある富坂聰が、2014年の仁川アジア大会を例に解説する。
高嶋)今日の朝10時から、休戦ラインの板門店で、2年1ヶ月ぶりの当局者会談を行います。まずは「平昌オリンピックへの北朝鮮参加問題」が主な議題と言われていますが、世間では、その他のプラスアルファの議題の方に、興味関心が移っているのですよね。
富坂)そうですよね。やはり、これに続く会談の入り口になるのではないか、という部分もあるし、あとは離散家族の問題もある。それから、開城の問題もあるし、その向こうにも多くの問題があるので……
ただ、全体的な流れで見ると、私は北朝鮮の軟化のシグナルが気になります。景気循環みたいに強まったり弱まったりさせてくるのですが、いまは弱めている。そのサインをどう受け止めるか、という大きな流れだと思うのですが、思ったのは、「韓国は割と外交が強(したた)かだな」と。というのは、いまは朝鮮半島の非核化の問題は、どう考えても北朝鮮路アメリカの問題になっていかざるを得ないのは、だいたい分かりますよね。そうなると、たとえば6カ国の参加国で、それぞれがここに自分たちの何か楔を打ち込んでこなければいけない状況になっていますよね。ロシアはかなり強かにやっていますが。
そこで、決定的に素通りされるのが日本と韓国だったわけですが、韓国はこの方向性で、しっかりとここで存在感をアピールしているので強かだなと、私は見ています。高嶋)北朝鮮側も、「平昌オリンピックには、金正恩さんの妹の金与正政治局員候補が出るかも」というニュースもありますね。
富坂)私が思い出すのは、2014年の仁川アジア大会です。「かなりの大物を出してくるのでは?」と言われていた。その人物よりも格上の人間を3人出してきたのです。こういう感じで、一気に雪解けムードを演出するのが北朝鮮のやり方なので。ただ、そういう風になったとしても、一気に問題解決というより、上げ下げする循環の1つだと、我々は捉えた方がいいと思うのですが、南北はようするに狸と狐で、なかなかのものだな、と。外交的に見ると、手腕としてはなかなかのものだと思います。
金正恩委員長が演説で掲げた朝鮮労働党党旗の意味するところは?
高嶋)昨日は金正恩委員長の誕生日でしたが、祝賀行事とかは一切やらない。そして、新年の辞をやっているとき、富坂さん含み北朝鮮ウォッチャーの人たちが、30分の演説から、いろいろ北朝鮮の動きを掴み取っている。富坂さんは、旗のことについて、心に響いているとか。
富坂)そうですね。旗はスゴく目立ちました。あれは朝鮮労働党の党旗ですよね。国旗ではなくそれを全面に出してきたのは、何の意味があるのかな、と。朝鮮半島の専門家に、詳しく分析してもらいたいと思いました。
高嶋)肖像徴章(バッジ)もはずしていたとか。
富坂)そうですよね。非常に注目されることもよく分かっていて、それを利用して情報を出している感じがしますので、ある意味、これまでずっと張り詰めてやってきたことの収穫に入ろうとしている、という感じに捉えられますね。
高嶋)北側からの宥和政策というのは、北朝鮮が参ったから、そうしているのか。それとも戦略の中、新たな一手としてやっているのか。その辺はどう判断していますか?
富坂)私は、「ある時期で緩めていく」というのは、元からあったと思います。ただ、それとは別の話として、ある程度制裁も効いていると思います。これはかなり中国が、嫌なところに手を伸ばしてやっていますので。ただ、ちょっと中国も朝鮮半島の問題では存在感がなくなってきているので、焦りとかもあって。今回、どちらかというと韓国に主役の座を奪われつつありますよね。
高嶋)平凡な昔の言葉ですが、「狐と狸の化かし合い」みたいな。そういう状況が相変わらず続いていますね。オリンピックは、興味関心が高まりますね。
高嶋ひでたけのあさラジ!
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