米韓合同軍事演習が延期へ~すべて金正恩氏の思うツボ
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1月5日(金)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③
米韓が合同軍事演習が延期~五輪に向けての南北の思惑
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター宮家邦彦(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹・元外交官)
米韓が合同軍事演習を延期へ、韓国は五輪に向けて北と折衝を急ぐ
韓国の文在寅大統領とアメリカのトランプ大統領は昨日電話で会談し、北朝鮮がこれ以上ミサイル発射などの挑発を行わないことを前提に、来月の平昌オリンピック中に米韓合同軍事演習を行わないことで合意した。北朝鮮の大会参加に向け、韓国は北朝鮮側との折衝を急ぐ方針である。
アメリカと韓国は毎年3月頃に定例の野外機動訓練「フォールイーグル」それから指揮所演習の「キー・リゾルブ」を行ってきました。北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は元日の新年の辞で平昌オリンピックへの代表団派遣の用意があると表明する一方で、この米韓合同軍事演習の中止を要求しておりました。
これを受けて韓国の文在寅大統領と、アメリカのトランプ大統領が昨日電話会談しまして、北朝鮮がこれ以上ミサイル発射などの挑発行動をとらないのであれば来月のオリンピック期間中に合同軍事演習を行わないことで合意しました。ただ、演習の中止ではなくて時期をオリンピックの後にずらす方針だと見られています。
昨日の電話会談でトランプ大統領は「南北対話の過程で助けが必要なら言って欲しい。アメリカは100%文在寅大統領を支持する」と述べました。韓国と北朝鮮は昨日も板門店の直通電話回線を通じて連絡と取り合ったのですが、韓国が9日に開催するように提案しています南北の当局者の会談については、具体的な内容はまだ出て来ていないということです。
トランプ大統領は4日のTwitterで「もし私が断固とした強力な姿勢で北朝鮮に対応していなかったら、南北間で対話が行われるのを誰が本気で信じるだろうか」とこう呟いて、自分の政策による成果だという考えを示しております。そして対話は良いことだと強調しています。トランプ政権としては北朝鮮に対する最大限の圧力政策は守りつつも、事態の推移を見守ろうと、そういう考えのようです。
高嶋)板門店の2年ぶりの南北通信チャンネルの復活とかですね、結構お互いに歩み寄りな気配がありますが、オリンピックという特殊性なんですかね、どうなんでしょう。
予断は許されない南北情勢、北のしたたかな戦略
宮家)私は懐疑的ですね。あまり喜んではけないと思う。もちろん重要な進展ではあると思いますが、南北で思惑の違いがあると思います。ミスマッチと言って良いと思いますが。韓国の方はオリンピックをぜひやりたい、できれば戦争やりたくない。これで彼らは戦略的に動いているつもりなんですね。だけど、私が金正恩だったらね、丁度いいわと思いますね。別にこっちから戦争しかける気はないので、ミサイルは今後撃たなきゃいけないし、これをやめる気はない。だけどせっかく向こうが話し合おうと言ってきているのでそれは取りましょうと。鴨がネギを背負って来たようなものだから、鴨もネギも頂いてしまう。で、また始めればいいわけですよ。そのような形で利益を最大化しながら米韓の間に楔を打つ、もしくは日米の間に楔を打つ。その意味で、飴と鞭というかね、これを使い分けているとしか思えない。
高嶋)オリンピック期間限定とは言いながら、北の方がしたたかであると。
宮家)北はどっちみちオリンピックを壊す気なんてないですから。そんなことをしたら戦争になっちゃいますから、そんな馬鹿なことを彼らはしないと思います。いま置かれた状況の中で北朝鮮は利益を最大化しようと思っていて、それに上手く南が乗って来たなと見ているのではないかなと思います。
高嶋)トランプさんはその辺わかった上での話ですかね。
宮家)わかった上だと思います。だって韓国がそれをやりたいと言ってるものをやらせないわけにはいかないでしょ。ですからそれはお手並み拝見というところですが、どうせ上手く行かないですよ。数ヶ月間は夢を見ると、だけどもその内にまた目が覚めて、彼らはまたミサイルを撃ち、核実験を続けると思います。でもその間は少なくとも戦争はないですから、それはそれで意味はないとは言いません。しかし根本的な問題の解決に結びつく可能性は低いと思います。
高嶋ひでたけのあさラジ!
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