北の富士に「これほどの若い力士が日本人でいたのか!」と言わしめた十両・貴源治とは?

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貴源治

【大相撲三月場所】二日目 貴源治=2017年3月13日エディオンアリーナ大阪(大阪府立体育会館) 写真提供:産経新聞社

横綱の白鵬と稀勢の里が相次いで休場。関脇の御嶽海や平幕の朝乃山など、若手力士の活躍が目立つ初場所となりました。

実は十両にも、将来が楽しみな力士がいます。それが、西の十両11枚目。貴乃花部屋の20歳の関取、「貴源治(たかげんじ)」です。

デビュー前から期待されていました。5年ほど前、貴乃花部屋のおかみさんの花田景子さんが嬉しそうに、こんな事をおっしゃっています。

「うちの部屋に、楽しみな双子の中学生が入った。バスケットをやっていて、二人とも背がとても高い」

その双子のうち、弟の方が貴源治。兄は東の幕下7枚目の貴公俊(たかとしよし)です。

この貴源治。身長は横綱の白鵬(192cm)とほぼ同じ191cm、体重は白鵬を7キロ上回る163キロ。20歳にして、横綱級の体格。豪快な突き押し相撲もスケールが大きく、相撲関係者の間で、「大関以上は確実」と太鼓判を押されている、逸材です。

プロとアマの差が最も大きいと言われるのが「相撲」。その常識を打ち破ったのが、この貴源治と言えるでしょう。

本名は「上山(かみやま)」という名字ですが、中学時代は双子の兄とともに「上山ツインズ」とも呼ばれたバスケットの有名選手。茨城選抜として全国3位に入った事もあるそうで、バスケットの名門校からスカウトが来る程の腕前。
凄いのはポテンシャルの高さだけではありません。ハートも強い。あの貴乃花親方が惚れ込むほどの「稽古、練習の虫」です。

「四六時中、相撲の事を考えている」

と言い、昼はトレーニングジムに行って、筋トレ。夜は稽古場で電気もつけず、四股や鉄砲、すり足といった基礎練習。このストイックさが実って、去年の5月場所で、19歳の若さで十両に昇進。相撲の素人で、バスケットに打ち込んでいた中学生がわずか4年で、関取になってしまうのですから、末恐ろしい。

ちなみに、バスケットの選手から横綱になった力士には、ハワイ出身の曙さんがいます。実は白鵬や鶴竜もバスケットの経験者と言われています。そして、バスケットではありませんが、稀勢の里も野球からの転向組。

他の競技で鍛えた能力を相撲に生かす。これは、出世する力士の共通点なのかもしれません。

あの辛口で知られる元横綱の北の富士さんが以前、こうおっしゃったそうです。

「これほどの若い力士が日本人で、まだいたのか!」

世代交代のカギを握るのは、貴源治かもしれません。

1月19日(金) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」

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