沈黙を貫く貴乃花親方の「相撲道」とは?

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貴乃花 親方 日本相撲協会 第65回 理事会

日本相撲協会第65回理事会に臨む貴乃花親方=2017年11月30日両国国技館 写真提供:産経新聞社

元横綱日馬富士の傷害事件から発生した、相撲界の大騒動は今や、国民的な関心事。今日20日、ヤマ場ともいえる、横綱審議委員会と臨時理事会が開催されます。渦中の人といえば、事件を起こした当事者よりも、被害者となった貴ノ岩の師匠、貴乃花親方でしょう。

巡業部長の要職にありながら、秋巡業中に起きた問題を、相撲協会へ報告する義務を怠り、あえて鳥取県警へ被害届を提出。その行動が不可解です。ここまで一貫して沈黙を貫き、黙して語らない。今日の臨時理事会では処分を免れない、と言われています。

貴乃花親方が、相撲界へ一石を投じる行動にあえて出たのは、白鵬などのモンゴル人力士が、その強さを背景に怠慢で傲慢になりすぎたことでしょう。これまで、現役横綱が不祥事で引退したのは4人。そのうち、朝青龍、日馬富士と2人がモンゴル出身でした。

傷害事件の酒席には、白鵬、鶴竜も同席。止めに入れば、事件にはならずにすんだ。一方で、白鵬は、外国人枠の撤廃などを盛んに訴えており、仮に引退後、日本国籍も取得せずに親方になったら…。貴乃花親方は、そんな将来のことまで危惧したからこそ今回、異例の行動へ出たと言われます。

急先鋒の改革派と目されてきましたが、

「それは、違う。ニュアンスが違います」

と、以前から語っています。では、どうしたいのかといえば、こんな持論がある。

「日本の文化を後世に伝えたい。年長者を敬い、礼を重んじる精神が日本には、あります。街を歩いていて、肩がぶつかった時、すいません、というでしょう。電車やバスに乗って、お年寄りが立っていたら席を譲る。相撲には、そういう精神がありますね」

品格とはそういうところから、スタートするものかもしれません。たとえば、現役、引退後も変わらないこと。貴乃花親方は、こんなことをしている。道にごみが落ちていると、見逃せない。さりげなく拾って、ごみ箱へ。こういった行為を、長男で靴職人・タレントの花田優一は、幼少時代から、いつも見てきたようです。特にイタリアで靴職人としての修行時代、知らず知らずの内に、道端のごみを拾う。イタリア人の親方が驚いたそうです。

今日午後の臨時理事会で、貴乃花親方へは、何らかの処分を受けることは必至でしょう。とはいえ、ここで降格しても、来年の初場所後には、理事選があります。そこで復活すればいいと腹をくくっている。「散るも咲くも同じ道」という言葉は、このあたりからきているのかもしれません。貴乃花一門という同士がいるわけですから…。立田川親方(元小結豊真将)は、井筒一門の錣山(しころやま)親方(元関脇寺尾)の弟子です。今年1月に引退興行を行った際、貴乃花親方が協力して、チケット販売へ尽力するなど、慣習にとらわれない、やさしさとおもいやりを発揮して、支持を集めてきました。

最近は独自のファッションなども重なり、さまざまな批判を浴びていますが、ひたすら沈黙の人。でも、良く考えてみると、今回同様、貴・りえ騒動、洗脳騒動、親子、兄弟の断裂騒動などの時も、多くを語っていません。自身の信念は揺るがないから、大横綱に。理想とする相撲道実現のために、今日はどんな手を繰り出すのでしょうか。

12月20日(水) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」

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