米朝会談の中止から見える北朝鮮とトランプ政権それぞれの思惑

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2月22日(木)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!②

北朝鮮代表団がペンス米副大統領との会談を直前キャンセル
7:02~ひでたけのニュースガツンと言わせて!:コメンテーター佐藤優(元外務省主任分析官・作家)

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平昌冬季五輪の開会式に出席したペンス米副大統領(手前)と北朝鮮の金与正氏(右奥)、金永南最高人民会議常任委員長(中央奥)=2018年2月9日(ゲッティ=共同) 写真提供:共同通信社

米朝会談が予定されていたが北朝鮮によって直前、中止に

韓国の青瓦台において、アメリカのペンス副大統領と北朝鮮の金与正朝鮮労働党第1副部長・金永南最高人民会議常任委員長による米朝会談が予定されていたが、会談2時間前に北朝鮮側によって中止されたことが報じられた。この報道から見える北朝鮮とアメリカの思惑とは?

高嶋)昨日のニュースには驚きました。20日付けのアメリカのワシントンポストが、米朝会談、金与正・金永南とペンスアメリカ副大統領、青瓦台で文在寅大統領と会談した直後に本当は会談する予定であった。ところが北が2時間前にその中止を通告してきたと報道しました。

米朝会談の中止から見える北朝鮮とトランプ政権それぞれの思惑

米朝会談、北朝鮮の思惑は?

佐藤)私も非常に衝撃を受けました。というのは私も完全に見方を間違えてたんです。私が最初に見たのは韓国が自分たちの場所をプレーアップするために米朝に場所貸しをしようとして独り相撲だったと、そういう風に見ていました。殆どの専門家もそう見たと思います。あるいは別の専門家は韓国が北と交渉したいのだけどアメリカを巻き込もうとしたと。こういう見方だと思っていましたが実際は違った。北から行っていた。それで2時間前にキャンセルしたと。これはね、北朝鮮外交の大勝利なんです。どういうことか、北の狙いはアメリカが交渉に応じる意図があるかどうかということなんですね。交渉というのは第一段階では「交渉はしないけど話はするよ」という形で始まるわけです。そこのところに応じるかどうかと、応じるということがわかったと。そしたら今度、金与正は金正恩さんの妹です。金日成・金成日の血を引いている人です。その人が外交に関わって失敗をすることは絶対に許されないわけです。それだから最初から金与正が出て来るシナリオはない。事前の詰めも何もしないで「ジャスト・セイ・ハローと、こんにちは」という話はないでしょ。北朝鮮の弾道ミサイル止めろと言って、これが原因でまた硬直したとか決裂したと言われたら彼女の責任になる。ひいては金日成、金成日、金亨稷の一族が失敗したということになるでしょ。だから最初からできるはずないんです。

高嶋)そういう取り方になるのですか。じゃあ端からやる気はなかったといことですか。言っておきながら。

佐藤)瀬踏みです。やる気はないです。もしこれが金永南だったらやる気はあったかもしれませんよ。最高会議委員長、形の上の元首だったら。

高嶋)我々一般市民はペンスさんの言い分を全部100%信じて、目も合わせなかった口も聞かなかったのはわざとやったんだと。

佐藤)これは普通です。外交関係のない国の外交官同士とか政治家は、口も聞かないし目も合わせないのは普通なのです。

高嶋)対話はしてもいいけど交渉は一切しないとずっと言っていました。ところがその裏があったということですからね。

米朝会談の中止から見える北朝鮮とトランプ政権それぞれの思惑

見北朝鮮の「核開発は止められない、ならば仲良く」というアメリカの考え

佐藤)そういうことです。しかもね、この裏っていうのは普通は極秘にされてますから。こういう風になった、しかもアメリカ外交がある意味瀬踏みされて負けですからね、表に出て来ないものなんです。ちらちらとしたリークが出て来るのも早い。ということこの後は私の深読みのし過ぎかもしれませんよ、穿った。トランプ政権っていうのははじめとして、あるいはペンスも含めて、北朝鮮情勢はもうどうしようもないと。なぜならば脅威っていうのは能力と意思によってつくられるわけですよね。北朝鮮の核開発は止められないと。そういうことならば意思を失くすしかない。そのためには交渉が必要だと。仲良くしないといけない。

高嶋)意思を失くすってどういう意味ですか?

佐藤)要するにアメリカを攻撃する必要がないと思わせる。そうするためには仲良くならないといけない。だから最初は会話、それが交渉になって妥協になるという。対話と妥協になっていくわけですよ。そっちの方向に舵を切ろうとしていることに危機を覚えている人たちがアメリカの中にもいると。それで、こんなことが行われているんだよとリークしたと。これが表に出れば北朝鮮との対話なんてもってのほかだと向こうが蹴っ飛ばしてくるだろと。

高嶋)じゃあアメリカ国内でどうしようかとせめぎ合ってるわけですいま。真っ向から。

佐藤)そうです。それがこういう不思議な現象になってきたということだと思うんです。そうすると全体の流れとしてはですよ、要するに戦争でもし処理するっていうことになるならば、何百万人も死んじゃいますから。それは避けるという動きが強いんですね。

高嶋)日本はその辺をちゃんと読んでますか?

佐藤)理解できてないと思います。ですからここの分析とても重要になります。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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