2月8日(木)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③
北朝鮮は平昌五輪に金与正氏派遣を発表
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター佐藤優(元外務省主任分析官・作家)
安倍総理とペンス米副大統領が会談~北朝鮮は平昌五輪に金与正氏派遣
安倍総理大臣とアメリカのペンス副大統領は昨日総理官邸で会談し、北朝鮮の核ミサイル開発の放棄に向け、あらゆる手段で圧力を最大限まで高める方針を確認した。一方北朝鮮は明日行われる平昌オリンピックの開会式に金正恩朝鮮労働党委員長の妹・金与正氏を北朝鮮高官代表団の一員として派遣すると韓国に伝えた。
安倍総理とペンス副大統領は昨日の会談で北朝鮮に対しあらゆる手段で圧力を最大限まで高める方針を確認した。また、米韓合同軍事演習の実施については重要だという認識も共有した。延期されている軍事演習をオリンピック・パラリンピックの後に予定通り行う必要があるという考えを確認したとみられている。その上で会談後の共同記者発表で安倍総理は南北融和路線に傾く韓国を念頭に次のように述べた。
安倍総理)北朝鮮のほほえみ外交に目を奪われてはならないことを訴えて行くことで一致いたしました。日米で確認した方針を文在寅大統領との間でも確認し、対北朝鮮政策における日米韓の協力関係は揺るぎないということを示したい。
またペンス副大統領も「北朝鮮の体制宣伝がオリンピックをハイジャックするのは許さない」と訴えた。ペンス副大統領は今日韓国に入り、安倍総理は明日訪問して、それぞれ文在寅大統領と個別に会談することになっている。平壌での日米韓3ヶ国の会談は見送りとなったが、3人揃って写真撮影を行うということで、これは日本の外務省が主導で日程調整を進めたということだ。
一方アメリカは北朝鮮との対話の可能性も残している。ペンス副大統領は開会式に出席する朝鮮労働党序列2位の金永南最高人民会議常任委員長との接触について排除しないという考えを周囲に示しているということ。こうした中、北朝鮮は今日朝鮮人民軍創建70年の記念日を迎えて、平壌の金日成広場で大規模な軍事パレードが行われる見通しだ。アメリカ本土を狙うICBMなど核戦力を誇示するかどうかが注目されている。今回は外国メディアを招待しての取材は認められておらず、内部行事という印象を強める方向と見られている。
それから北朝鮮は開会式に金正恩朝鮮労働党委員長の妹の金与正朝鮮労働党第一副部長を派遣すると表明した。文在寅政権は、金正恩氏が最も心を許すとみられるこの与正氏が代表団の一員に加わったということで手応えを感じている模様で、南北対話の環境を整えたいということに力を尽くす方向。ただこの与平氏については、アメリカ政府の資産凍結の制裁措置の対象になっている。また北朝鮮のサムジヨン管弦楽団の団員らを乗せて昨日韓国の港に入った貨客船・万景峰号に燃料を提供するように北朝鮮側が韓国に要請しているということだ。
高嶋)オリンピック憲章では要するにオリンピックの政治利用はいかんと勿論言ってるわけですけど、過去にも色々妥協はありましたが、今回ほどこんなに色濃くですね、主催国のトップが率先して北に対して、言いなりと言ったら怒るんだろうけども、いろいろ便宜を図って一緒にやるなんていうのは、これはどう思いますか?
佐藤)ただしですね、文大統領からすると内政基盤を強化するっていうのが目的なわけですよ。そうすると、例えばこのサムジヨン管弦楽団を観に行きたいという応募っていうのは物凄い数になっちゃったでしょ。それを考えると草の根から支持されてるんですよ。それだから、文大統領にとっては合理的ですよね。それから北朝鮮に関してはですよ、これによってほほえみ外交を成功させてはならないじゃない、成功しちゃってるんですもう。
高嶋)既に。
韓国がどう出てくるかチェックしている北朝鮮
佐藤)ええ。例えばですよ、万景峰号来るときに片道の燃料だけで片道特攻作戦じゃないですからね、来ることはないわけですよ。燃料たっぷり入ってるんですよ。ところがそこで入れてくれっていうのは何かというと、そこで国際社会の制裁に対して韓国がどの程度それを破るか、そこのところを見たいわけですよね。こういう風にして少しずつチェック、チェックを入れていく。
高嶋)踏み絵を踏ましていく。
佐藤)そうです。それでチェックをして良い感じだなと思うから妹に行かせると、こういうことですよね。この妹は隠し玉ですから。昔、プリコフスキーっていうロシアの大統領極東代表が長時間お父さん、金正日をアテンドしたわけですね。その時にうちの家族の中で二人政治適正があるのがいると、子供の中で。金正恩と金与正。でも彼女は女の子だからね、これがすごく政治適正あるんですよっていうことを言ってたという話があるんですが、帝王学を受けて、きちんと国家を運営するということはどういうことだっていうことを彼女も受けてる一人なんですね。ですから来るっていうのはデカい意味ありますね。
高嶋)ということは北側は南の行動、或いは実際にやってくることに対してどういう答え方をするか判断して、今のところは上手くいってるから金与正を出そうということになった。
佐藤)そういうことです。トランプさんにしても金容淳と別途会談の日程は付けなくても、皆で集まるところで顔を会わせることはあるんですね。そういう所で「やあ」「やあ」っていう形で自然発生的な形で接触は行われる。即ち交渉はしないけども会話はする。こういうような形での接触の可能性は十分にありますね。でもそれ日本もやってるわけでしょ。要するに日米韓の3ヶ国で交渉するような状況にはいま無いんで、日本が中に入って3人で写真を撮ると。写真を撮るときに仏頂面で一言も話をしないことはないんで、その意味においては3人で会話はするわけですよね。
北朝鮮へかける最大の圧力は仮想通貨ハッキング問題だが
高嶋)ペンスさんとか安倍さんは最大級の圧力をということを確認し合ってますけども。
佐藤)でも最大級の圧力を確認し合うって言ったってね、これじゃ何の圧力があるかと。いま加えられる圧力あるんです。例えばこういう言い方。「仮想通貨市場に対する北朝鮮によるハッキングと不正流出に関し両国で協力し、真相究明に努める」とかやれば、これは新しい圧力になるし北はカンカンに怒りますよ。日本の国民だって関心持ってるでしょ、このテーマだったらいま。
高嶋)北が出て来てますからね、韓国がそういう報道してますからね。
佐藤)韓国の国家情報院が「証拠はないけども」と。あんな話証拠が出てくるのは最終段階ですからね。情報機関は全く根拠のないことは言わないですから。ということは、そういう最大限の圧力を切るカードはあるのに切ってないということは何かっていうことですよね。やはり日本もこれ以上喧嘩したくない、口先圧力だっていうことですよ。だっていまのタイミングで仮想通貨問題を両国で取り上げるっていうのは物凄く意味がありますから、それを強くプレーアップして行けば、これは北に対する新しい圧力になりますよ。
高嶋)確かにそうですよね。前からそういうパソコンを操る軍団があって、世界中で悪いことをやってるわけでしょ。
佐藤)ハッカーたちがいるわけですからね。
高嶋)それも当然のように今回の一件っていうのは関係している。
佐藤)もしかしたら後ろでは話しているかもしれないけど、少なくとも報道で見る限りにおいてはそこが強くアピールされているとは思えない。
高嶋)遠慮しているわけですか、いま。
佐藤)二つの可能性は、一つは遠慮してる可能性だったらまだ外交戦略あると思うんですよね。もし気付かないでそういう話が出てないっていうことだったら、これは日本の外交戦略の能力の問題になりますよね。だから、いまこの仮想通貨市場が急速に、特に日本で発展している中において、北の関与を韓国は疑っているわけでしょ。これについて日本としてあらゆる方法においてそういうような情報を友好国から調べるとか言えば、これは本当に圧力になりますよ。
高嶋)安倍さんは表向きはそういうことは言ってないんですよね。意地でもね。
佐藤)でも意外と政府関係者がこのラジオ聞いておっとそれがあったかと言い始めるかもしれないですけどね。
平昌五輪を最大限に利用している北朝鮮
高嶋)なんか北朝鮮の思うがまま、やりたい放題みたいなね。相撲取られちゃう。
佐藤)残念ながら勝っちゃってますね。ですからそれを認めないといけないんですよ。北朝鮮のハイジャックを許さないじゃなくて、ハイジャックされている状況をどうするか、ハイジャック対策から入らないといけないと思うんです。ちょっとね、半歩日本もアメリカも遅れていると思います。
高嶋)新聞によると金与正と金永南さんですか、片やお飾りのお爺さんと片やトップにツーカーの妹と。3人で文在寅さんと話し合うっていうと成果は出るんですかね? テーマはなんですかこれ?
佐藤)こういうことだと思いますよ。「じゃあ兄に全部正確に伝えておくよ、それで私のルートからこの人を通じて返事するね」という、北朝鮮との間に非常に硬い正確な連絡ルートができますよね。個人的信頼関係に繋がります。ですから、これは北朝鮮としてもいま切れる最大のカードを切って来たということです。
高嶋)文在寅さんというのはそこまで深く読んで動いてるんでしょうかね。
佐藤)読んでないです。状況対応は結局こういう風になって、北に利用されたと見た方が良いです。だから怖いです。
高嶋)じゃあ意識の差は非常に激しいじゃないですか。片やわかってない。
佐藤)激しいですよ。何も考えてなくて支持率の向上しか考えてないから。トランプに似てるんです。
高嶋)とりあえずオリンピック、何事も無いように。
高嶋ひでたけのあさラジ!
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