女子カーリング・吉田知那美、夕梨花姉妹が味わった失意の日々とは?
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日本のメダルラッシュに沸く平昌オリンピック、メダル獲得まであと1勝と迫っているのがカーリング女子です。予選リーグの通算成績は5勝4敗、オリンピックで男女を通じて初となる準決勝進出を決めました。
カーリングは4人1チーム、投げる順番によって、リード、セカンド、サード、スキップの4つのポジションに分かれていますが、そのうち2つのポジションを担うのが吉田姉妹。サードの吉田知那美選手・26歳とリードの夕梨花選手・24歳です。
カーリングの町、北海道北見市の常呂町、ホタテ漁師の家に生まれました。この吉田姉妹、実は3姉妹で、姉の知那美選手は次女、妹の夕梨花選手は三女、一番上に長女の菜津季さんがいます。菜津季さんもカーリング選手で、さらに、母親の富美枝さんも元カーリング選手、しかも、日本選手権で優勝したほどの実力者です。
そんなカーリング一家に育てば、幼い頃から競技をやるのはごく自然のこと。次女の知那美選手は7歳、三女の夕梨花選手は5歳からカーリングを始めました。姉は、おしゃべり好きの明るいムードメーカー、妹は、落ち着いたしっかり者と性格は真逆。2人は地元のカーリングチームで一緒にプレーし、中学時代には、北海道選手権で優勝、日本選手権で3位に入るなど、当時からカーリング界で将来を嘱望される存在でした。
幼いころから同じチームで戦ってきた2人ですが、高校卒業後、道が分かれます。姉の知那美選手は、「北海道銀行」へ。妹の夕梨花選手は、現在、キャプテンを務める本橋麻里選手に誘われ、「LS北見」の発足メンバーとなりました。
姉妹の明暗が別れたのは4年前。2014年のソチオリンピック代表決定戦で、日本代表となったのは、姉の知那美選手が所属する「北海道銀行」。「LS北見」は決勝に進めず敗退。妹の夕梨花選手は涙を飲みました。
カーリングのまちで生まれ育ち、2歳上の姉と共にオリンピックを目指してきた妹。それ故に、姉のオリンピック出場を素直に喜べず、周囲からかけられる
「お姉ちゃん、すごいね」
という何気ない言葉にも深く傷ついたといいます。
一方、オリンピック出場の夢を叶えた姉の知那美選手。当初は控え選手でしたが、本番ではインフルエンザになったメンバーの代役として活躍。9試合中8試合に出場し、チームの5位入賞に貢献しました。
「世界は遠くない」と自信と経験を得た大会になるはずでしたが、オリンピック閉幕前、失意のどん底に突き落とされることになります。滞在していた選手村のホテルで関係者から告げられたのは、
「来シーズン、知那美はチームにいられないことになった」
という突然の戦力外通告。
「自分の全てに自信が持てなくなった」
と、帰国後は、行き先を告げずに2カ月もの一人旅に出ました。そんな、知那美選手に手をさしのべたのが「LS北見」の本橋選手です。
「一緒にやらない?」
と声を掛けられ、知那美選手は、自分を必要としてくれるチームで再起を誓いました。
こうして高校生の時以来、およそ10年ぶりにチームメートとなった、姉の知那美選手と妹の夕梨花選手。紆余曲折を経て辿り着いた平昌オリンピックで、メダル獲得まであと1勝!
今夜行われる韓国との準決勝、吉田姉妹の活躍に期待しましょう!
2月23日(金) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」