ヤクルト小川監督が構想する新たな2番打者とは?
公開: 更新:
今日で2月も終わり。プロ野球12球団は春季キャンプを終えました。1ヵ月後のシーズン開幕に向け、これからオープン戦で調整を進めていくわけですが、巻き返しに向けて手応えを感じているのが、4年ぶりに指揮官に復帰した、東京ヤクルトスワローズ・小川淳司監督です。
前回指揮を執ったのは、2010年のシーズン途中から、2014年までの5シーズン。2010年5月に辞任した高田繁監督の後を受け、まず監督代行を務めました。この年は4位でしたが、最大19あった借金を完済した上に、貯金を4つ作りました。CS争いまで演じたその手腕を買われ、そのまま正式な監督に就任。
2011年は2位、12年は3位と、チームを連続Aクラスに導きました。2014年、ケガ人続出で最下位に沈んだ責任を取って辞任しましたが、そのままフロント入りして、「シニアディレクター」という役職に就いたのは、球団トップが「小川は、チームに欠かせない存在」と評価している証です。
フロントにいた3年間、2015年の「優勝」と去年の「ぶっちぎり最下位」という天国と地獄の両極端を見た小川監督。
「優勝したときは、選手たちに躍動感があった。去年は、ただ試合をこなしているように見えた。勝負事なので負けることはあるが、そういう姿をファンの前で見せてはいけないと、改めて思った」
と言います。
外から客観的にチームを見つめた3年間の経験が、どう活かされるかも見物です。
ちなみに小川監督、現役のときは、お酒を一滴も飲まず、マジメ一徹。普通ならベテランになると、自分の打撃練習が終わったらとっとと帰りますが、小川さんは最後まで残って、球拾いをしてから帰ったそうです。当時の指揮官・関根潤三監督が
「みんな、小川を見習え!」
と言ったほど。
引退後も、スカウトをやったり、2軍監督を9年もやったり、ヘッドコーチを務めたりと、「裏方稼業」を続けてきた小川監督。監督に昇格しても、それまでと態度は変わらず、選手に
「調子はどうだ?」
と声を掛け、選手を二軍に落とすときも
「また、お前の力が必要になるから」
とフォローを忘れない気配りの人。
去年もケガ人続出で、球団ワースト記録の96敗を喫してしまったスワローズですが、小川監督は、またしても厳しい状況で、指揮を引き受けることになりました。
温厚ですが、根は負けず嫌い。前回、監督を務めた2011年、9月まで首位を走りながら、落合監督率いる中日にかわされ優勝を逃した経験があるだけに、「今度こそ頂点を!」という思いは当然あるはず。
そんな小川監督のもとに、今年は頼もしい味方が2人加わることになりました。一人は、5年ぶりにスワローズへ戻ってきた、宮本慎也ヘッドコーチ。去年の緩みきった雰囲気を一掃しようと、さっそく若手に厳しい指導を行っていますが宮本ヘッドはもともと、小川監督がスカウト時代に獲得した選手。気心は知れています。
そしてもう一人は、メジャーから7年ぶりに復帰した青木宣親選手。青木選手も、移籍前に2シーズン、小川監督のもとでプレーしており、スワローズではまだ優勝を経験していませんから、「小川監督を胴上げしたい」と心に誓っているはずです。
青木選手の復帰で、今シーズンは打順にもバリエーションが増えました。どうやら1番と3番は「山田、青木」で行くようですが、その間をつなぐ2番候補として、小川監督の口から「2番に置くのも面白いんじゃないか」とたびたび名前が挙がっているのが、キャッチャーの中村悠平選手。
打てるキャッチャーの中村を2番に置いて、初回から点を取りに行く、超攻撃的な打線ができるかもしれません。
「宮本への、つなぎの監督だろう」と言う向きもありますが、小川監督、最下位からの逆転Vを本気で狙ってます。
去年還暦を迎えた “ベテラン新監督”に注目しましょう。
2月28日(水) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」