3/15(木)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ！』今日の聴きどころ！②
トランプ大統領の性格を把握する北朝鮮
7：02～ひでたけのニュースガツンと言わせて！：コメンテーター佐藤優（元外務省主任分析官・作家）
米朝首脳会談実現へと伝える街頭テレビ 提供産経新聞
ティラーソン国務長官解任に関して、過度な深読みは意味がない
ティラーソン国務長官が電撃解任されたが、トランプ大統領との間に大きな政策の違いがあったのだろうか。また、トランプ大統領と金正恩委員長の会談をめぐり、韓国はどのような動きをしてきたのか？ 佐藤優が独自の視点から解説する。
高嶋）噂には何度も出ていましたが、アメリカのティラーソン国務長官。とうとう解任されました。その解任をまず知ったのがトランプ大統領のTwitterだったそうで、会見でも大統領に感謝の言葉は一言も述べなかったとか。
その後を継いだのが、トランプさんのイエスマンとも言われているポンペオCIA長官だそうですが、この動きをどう判断しますか？
佐藤）まず、今回の原因は、ある1冊の本だと思うのですよ。ウォルフさんが書いた『炎と怒り』です。この中で、ティラーソンをはじめとして、いかにトランプのことをバカにしているか。そしてティラーソン自身はトランプのことを「バカ」と言っているのですが、撤回していません。あの本は、いまものすごい影響になっているのですよ。私は「思い出し怒り」だと思います。「この野郎、オレのことをこういう風に……」と思い出し怒りが出てきたところで、「お前そろそろやめた方がいいよ」とシグナルを出したのだけど、「やめない」と言っている。「えぇい、お前はクビだ！」とやってしまった。
つまり、大きい政策の違いとかではない。おじさんがカッとしてしまっただけなので、これで「対北朝鮮政策やイラン政策が強硬になる」と見方が出ていますが、深読みのしすぎです。政策とか関係ない。おじさんが怒っているだけ。
金正恩氏はトランプ大統領の性格を把握している
佐藤）対北朝鮮政策に関しては、トランプ大統領は“deal”と言っているのです。“negotiation”は「交渉」で、お互いの立場をすり合わせていくという意味ですが、dealというのは、そういう立場とかでなく、「あれをすればこれをしてやる。ここは1つ、私の顔立てて……」、つまり「取引」なのです。だから、「dealする」と言っているのだから、席に着いたら妥協するに決まっている。
それで、トランプさんは「成功」か「大成功」しかないから。自分で企画立案して、自分で行動して、評価も自分でする。だから、成功か大成功しかない。「失敗」がない。ということは、ICBM(大陸間弾道ミサイル)だけ凍結すれば、「まだいいか！」となると、日本全域が北朝鮮の核ミサイルの射程圏内に入る。
高嶋）北朝鮮の金正恩さんは、トランプさんのそういう性格は調べ上げていますか？
佐藤）読んでいる。特にポイントは、この前のオリンピックのとき。金与正さんが、「ペンスに会いたい」と言ったら、「会ってもいいよ」と言った。そこで、「あ、トランプはやる気満々だ」と読まれてしまった。その意味では、金正恩はなかなか頭のいい男ですよ。
高嶋）機を見るに敏であると？
佐藤）ニコニコ笑いながら外交することもできるし、高射機関砲で人を殺すこともできる。両面を持っているので、選択の幅が広いですよね。
反米だった文政権はいつの間にかアメリカに近付いていた
高嶋）ということは、平昌オリンピックのとき、文大統領は何か1人で勝手に「親北」のようなことをやっていて、「ちょっと変じゃない？」みたいなのがありましたが、そうではない？
佐藤）実は親方トランプと既に組んでいた。だから向こうの安保室長の鄭義溶さんが、トランプより先に会見したでしょう？ これは外交の世界では通常ないのですよ。ということは、「綿密に相談してやっている」という外交のプロ達へのメッセージなのですよ。「アメリカと韓国は一体でやっていますよ」と。文政権は反米と思われていたけれど、いつの間にかトランプさんの周辺にくっつき、「いや、トランプさん、あなたの圧力が効いてここまできました！ すごい、他の人にはできませんでした！」と持ち上げた。そういう形でトランプさんは気持ちよくなってしまった。「韓国はいいヤツだ」と。それで、我が総理大臣は、完全に蚊帳の外……
高嶋）まあ、来月早々行きますけどね……。
佐藤）率直に言って、カッコ悪いことになってしまっている。ところが、それが森友騒動で見えない。国会を閉じていたのは、本当は安倍さんにとって大きなプラスだったのですよ。国会が開いていたら、この姿が見えてしまいましたから。
高嶋）いろいろな見方があります。
高嶋ひでたけのあさラジ！
FM93AM1242ニッポン放送 月～金 6:00～8:00
