続けてこられたのは映画が好きでタフだったから
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3月20日放送 ゲスト:映画監督・演出家 和泉聖治 第2回
テレビ朝日で3月放送のアガサ・クリスティ二夜連続ドラマスペシャル、『大女優殺人事件~鏡は横にひび割れて』で監督を務める。前作『そして誰もいなくなった』に続く、アガサ・クリスティ作品!
映画への憧れは一連のヌーベルヴァーグ作品を観てから
黒木)毎日、さまざまなジャンルのプロフェッショナルにお話を伺っていくあさナビ、ゲストは、映画監督・演出家の、和泉聖治さんです。
監督とご一緒したのは今回で3回目ですが、昔から知っているので、ぜんぜん3回目って感じがしないんですよね。監督になられる出発点を伺おうと思うのですが、もともと監督のお父様が演出家で、映画も撮られて、俳優でもあったという。そういう環境から、ご自分で?
和泉)僕が監督やるときも、逆に反対されたこともあるし。父親の影響というのはそれほどないのですが、もともと、映画好きでした。ほとんど映画館に足繁く通っていた。ヌーベルヴァーグ(映画運動)というのがフランスで生まれてきて、キャメラが表に出てくるようなのが、とても新鮮で。僕は昔から絵を描いていて絵描きを目指していたので、パリにあこがれていたのですよ。パリの街中で手持ちキャメラがだーっと走っている。これがまずスゴくて。いろいろなヌーベルヴァーグの映画を観ましたが、そこから映画に目覚めました。
黒木)それはおいくつくらいのときですか?
和泉)14、5~20歳過ぎくらいまで、スゴく影響を受けて、「映画っていいなぁ」と。絵を描いていたのですが、漠然とあこがれというか、ああいう世界に入りたいなと思い始めたのがその頃かな。
黒木)その後、具体的にどうしたのですか?
デビュー作品は『オン・ザ・ロード』
和泉)それから、当時の映画界というのは、撮影場、映画会社で採用試験を受けて助監督を経て監督になるのがほとんどでした。まだ僕たちの頃はなかなか映画会社に入れないんですよね。だから、その辺で閉塞的な状態がずっとあって。「いつかやるぞ!」という気持ちを失わないでずっとやっていたのですが、ある時期に僕たちの仲間が、一斉に監督をやり出すようになって。僕はそのデビューが『オン・ザ・ロード』という白バイ警官の不祥事から始まる映画なのですが、これを書いていて、「本当に映画になるのかな?」と。お金もスゴくかかるし。何回か映画会社に通ったんですけど、ほとんどみんなは「うーん」という答えが多くて諦めかけていたのですが、たまたま上手く、ある配給会社と話が進んでいって。その代わり、「監督も制作費、半分作っておいてね」みたいな(笑)。映画作るよりお金作る方が大変だった思い出がありますけど、そこからですね。たくさん映画を撮るようになったのは。
黒木)ということは助監督時代は経験していないのですか?
和泉)ええ。助監督は経験していません。ちょっと珍しいですけどね。
黒木)監督から採用された?
和泉)ええ。自分の撮りたい作品を撮ろうとして、がんばってやったのですね。
黒木)ある意味、自己流でやってらしたということですか。
和泉)自己流というか、昔からさんざん絵を描いたり、アメリカのニューシネマとか、衝撃を受ける作品を観て、どんどん傾斜していったので、「映画っていいな」と思うようになって。そういう思いが、強くて頑張れたのかな?
黒木)キャリアは、もう45年ですか。
和泉)なりますね。
映画を続けてこられた原動力
黒木)ずっと続けてこられた原動力とか、その辺りはどういったところにあるのですか? やはり「映画が好き」ということですか?
和泉)そうですね。それと、「タフだった」ということですね。
黒木)それは必須ですね(笑)。
和泉)一般映画になかなか人が入らない時代だったんですよね。そういう時代で、よく頑張れたな、と。1つステージが見えると、またその先に壁があって。また「そのステージを見てみたい!」という、常にそういう気持ちがあったので……身体もスゴく頑丈でタフだったのもあって、ずっと続けてこられたのかな。
黒木)そこに情熱をかける物があった、ということですよね。
(2018年3月20日放送分より)
和泉聖治/映画監督
1946年9月25日、神奈川県横須賀市出身。
父は彫刻家・劇作家・舞台演出家、元俳優で映画監督の木俣堯喬(あきたか)。
1972年に成人映画『赤い空洞』で監督デビュー。
1982年、36歳の時に『オン・ザ・ロード』で一般映画デビュー。
『さらば愛しのヤクザ』『南へ走れ、海の道を!』『お日柄もよくご愁傷様』など、数々の映画・ドラマの監督を務め、2000年からはテレビ映画『相棒』シリーズのメイン監督を務めるなど、監督・演出として幅広く活躍。
テレビ朝日で3月放送のアガサ・クリスティ 二夜連続ドラマスペシャル、『大女優殺人事件~鏡は横にひび割れて』で監督を務める。前作『そして誰もいなくなった』に続く、アガサ・クリスティ作品!
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